第33話

その日の午後、大体二時位だろうか。リナは思い切って母親へ話しかけた。      「ママ、ねー、一寸話があるんだけど。」「話?」                「うん、一寸聞いてほしい事があるんだけど。」                 「何か変な話じゃないだろうね?」   「変?いや、別に変じゃないと思うけど…。」                リナはそこで思い切って全てを話した。母親は黙って聞いていたが、段々と顔が険しくなってきた。最後の方では、丸で鬼か何かの様だ。                  「一寸あんた、何を言ってるのか分かってんの?!」                「うん、分かってるよ。」        「じゃ、何でそんな下らない馬鹿な事聞かすの?!」               「別に馬鹿な事じゃないよ!凄く良い事だと思う。」                「あんた、頭がおかしくなったの?あぁ、そうか!あんた、そんな水商売なんかやってるから頭がおかしくなっちゃったんだ。じゃなきゃ、そんな馬鹿な事言う筈がないからね。」                「何でそれが馬鹿なの?私は凄く良い話だと思う。だって、そうすれば一生面倒見てくれるんだよ?!それに子供だって普通にできてさ、普通の家族みたいにできるんだから。」「どこが普通の家族みたいなの?そんなの、只の愛人だよ。それで、もし何かあれば捨てられるんだよ。嫌になったら!」     「そんな事、しないよ。そんな人じゃ無い から。」                「あんた、騙されてるんだよ。」     「そんな事ないってば。とにかく一回会ってよ!そうすれば分かるから。」      「嫌だよ。」              「ねー、ママ。ママがそう言うのは分かるけど、とにかく会ってくれればそう言う人じゃないのは分かるから。」         「嫌だね。そんな男、誰が会うか!」   「ママー!」              「いい、あんた?そんな下らない事いつまでも言ってないで早く目を覚ましな!!」  もう何を言っても駄目だ。話にならない。 やっぱりこんな風になるとは思ったけど。 あぁ、どうしよう。

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