転生先の異世界で『神様』はじめました。

そると。

プロローグ. 死にました。


「あ、猫。」


独りで帰るいつもの道。普段は見かけない猫がいた。

猫好きの俺にとっては嬉しい出来事だ。

変わらない日々にちょっとしたアクセントって感じ。


(三毛猫の…多分オス。確か三毛のオスは珍しいはず。)


猫好きのくせに猫にそこまで詳しくない、俺。…猫好きの人に土下座したいです。すみません。にわかですみません。…何してんだろ。


充分もふもふを堪能してから再び歩きだす。

この細い道を抜けるとそこそこ大きい道路があって、横断歩道を渡って左に曲がって少し歩けばすぐに家がある。学校に割と近い。

まぁ通ってる高校には近いからって理由で入学したんだけどな。公立だったし丁度良い。


(ねむ…。)


道を抜け横断歩道に出る。丁度青だったのでそのまま渡ろうとしたとき車のエンジン音が聞こえた。道路だから当たり前だと思ったが音のする右側を見るとかなりのスピードでフラフラしながら走るトラックが突っ込んできていた。

避けようと思うのに動けない。頭では理解してるのに体が追いつかない。恐怖で足が竦んだのだと分かった。


(居眠り運転かよ…。でも異世界転生モノの主人公の気持ちが分かったかも。これは動けないな。)


こんな時まで冷静な自分が嫌になる。


(ああ、死んだな。これ。ごめん陽太。母さん、父さん。先に逝くことになるかも。)


死を覚悟した瞬間体に衝撃がはしった。

痛いどころじゃない。むしろもう何も感じない。

体が動かず目の前が真っ赤に染まって意識が途切れる直前。さっきの猫がこちらをみて


『ご め ん ね。』


――そう、言った気がした――

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