凡人からの秀才。コミケでチートどもを捻じ伏せる!!

藤宮 結人

第1話 高見沢高校入学編 1



窓から見える桜。

カーテンが温かいそよ風に揺らされる。そして桜の花びらを舞い上がらせる。

けれど、それは他に真っ白い紙も同様だった。

「・・あ~あ、せっかく珍しく家まで出向いてあげたというのに」


筆跡も何もない真っ白い紙はどうやら勉強机から飛んでいたようだ。

・・・・台風より、竜巻より優しく全てを包み込んでくれそうな春風は今まさに1人の少年を抱いていた。

見ているとこっちまで眠そうになってくるベビーフェイス。身長も今日男子高校生になる子とは思えないほど小柄で華奢で、まるで女の子みたいな艶のある黒髪。それに、着ている服が浴衣というのがこれまた現実ばなれしている。


「・・私の幼馴染はどこまで可愛くなればいいの――――――!!」


と、いいながら絶賛女装した少年の寝顔を観察中の彼女は小城優奈おぎ ゆうなという。毎日手入れしている自慢の金髪が自身のトーレドマーク。その他にも巨乳で安産型という周りの女子からしたら羨ましいであろうスタイルを持っている。

しかし、お頭は弱い。

誰だって弱点みたいなものはあると思う。もしくは苦手意識があるものともいうが、

人間なら1つや2つはある。

例えば、英語で良い点を取れるが、どうしても数学だけは赤点ぎりぎりの点数を取ってしまい、文系か理系を選ぶ上で「苦手だから」の一言で文系を選ぶ・・・・・みたいなこと。

決してそれは浅はかな考えではないのだが、理系を選びたかった人もきっといるはずだ。



・・・・・して、優奈の場合頭が悪かった。もうそれはそれは文系、理系云々以前に。

だからであろうか。

今、彼女の足元には無数のビー玉が転がっている。

昭和の喜劇でバナナで転ぶなどのボケがあったが、そんなことは気にしていない。

なぜなら・・・・・天使のほっぺたをぷにぷにしたかっただけである。

前に、前にと足を進ませる。足取りは忍者を意識し、起こさないように配慮。



・・抜き足

・・差し足

・・・「忍び足、っと・・・・???????!!!!!!!!!!」


数秒だけリアクションが遅れた。それも無理はない。

前だけ見て、足元を見ていなかったのだから。

そしてこれまた不運が重なったのか、優奈は典型的なテンプレを起こしてしまうのであった。


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