元同級生とH

尾形昭

第1話中学同窓会

 8月11日、卒業以来初めての同窓会。10年振り。

「駆け落ちしたの」

「そう」

「いつ」

「高校3年のとき」

「なぜ」

「相手の親に反対されたから」

「どこに行ったの」

「金沢」

すごい事をやるもんだ。

でも、ももちゃんはこの話を聞いて、頭の中には、18歳で就職し、会社の男の人に待っていたかのように釣りあげられ、結婚し子供ができた自分の人生は、果たして正しかったのだろうかとの疑問が湧くのであった。

 恋愛がしたかった。燃えるような恋がしたかった。心の中に隙間風が吹いた。

 そんなとき、同級生だった坂東が訪ねて来た。

「これ、中学の時にひどい事を言ったお詫びと結婚・出産のお祝い」

「へーえ、ありがとう。まあ、どうぞ」

「おじゃまします」

「何飲む、ビール飲む」

「ええっ昼間っから」

「いいじゃん、飲みなよ」

「大瓶なんか、ご主人よく飲むのだね」

「まあね」

「じゃあそろそろ帰るよ」

「駅まで送って行くから、子供を寝かしてくる。ちょっと待ってて」


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