電話がきたのです!!
4月30日。
朝目覚めると爽やかな日差しがカーテン越しに光を送り込んでくる。
場所は何百回とこれを目にしただろうかってくらいに見飽きちまった俺の自室だった。
昨日は不思議な事がいろいろと起こっていた気がするが、今日目覚めた感想を言えば『今までどおり』という感じで、寝起きは普段と変わらずそこまで良くはないし、まだ若干意識が朦朧としていてふわふわっとなっている。
というか起きるにはまだ眠すぎる。時計に目をやると、時刻はまだ九時前だった。
俺は休日の特権を利用してふたたび布団に包まった。
チリィリィリィィィイイイリン!!!!
チリリリィリリリリリイリリリイリリリィィイイイン!!
電話が鳴っている。
俺は目を覚ました。しかし動くのはかったるい。ふたたび寝る。
チリィリィリィィィイイイリン!!!!
チリリリィリリリリリイリリリイリリリィィイイイン!!
チリリリィリリリリリイリリリイリリリィィイイイン!!
チリリリィリリリリリイリリリイリリリィィイイイン!!
またもや電話が鳴っている!!!
流石に俺は我慢できなかった。
だから俺は布団からササッと出て、電話機のもとに歩み寄って受話器を手にした。
「もしもし、新城ですが……」
『おい、新城。お前何してたんだ? これで二回目だぞ』
「なんだ、その声は斉藤か。何の用だよ? 俺じゃなくても良い用だったら切るぞ?」
『ちょっと!!! 待てってば! 俺の話をちょっとだけ聞いてくれないか? 俺の隣には辻内も居るしさ』
「なんだよ、自慢話をするためだけにわざわざ俺に電話をかけてきたのか。呆れた奴だなお前は。切るぞ?」
『お、お――』
――ガチャン。
電話をかけてきたのは斉藤だったようだ。俺の優雅な睡眠時間を邪魔しやがって、あいつは何がしたいのかサッパリわからん。
というか昨日俺はあいつに胸を揉まれたんだったな。身の毛もよだつ出来事だぜ。
今あいつの隣には辻内もいるらしいからな。辻内と斉藤はスケベさが滲み出てるってクラス中で話題になってるほどスケベ男子ってことで有名な二人だ。
そんな奴らとつるんでスケベ男子の集いを結成していると思われたくないから俺は電話を切ったわけだ。
だけどあいつのおかげですっかり目も冴えちゃったし、今日はどうやって過ごそうか。
時計に目をやると、まだ午後二時だ(一般的にはもうと表現するのが正しそうだが、俺にとってはまだなのだ)。
明日からはマギアゲームという得体の知れない大会をテレビで見ながら過ごすという暇つぶしイベントがあるわけだが、今の俺には暇を潰す方法はないぞ。
俺は考え事をするために無意識にポケットに手を突っ込んだ。
すると、何かがそこに入っているのに気がついた。
ん?
ポケットの中に入れてあったのは、魔法少女に変身するための道具(というか俺がはめると女の子になっちゃう道具)、アクセスリング(仮)であった。
俺はそのアクセスリングをいろんな角度からじろじろと眺めてみた。しっかり見てみると玩具コーナーで買ったとは思えないほど精巧に作られていることがわかる。
これをはめたら俺は女の子になれる。しかも男の時と力は同じだ。
あ! その手があったじゃないか!!
せっかく女の子になれるんだから、変身して暇つぶしに外に出て女の子体験を満喫すればいいじゃないか!
パンケーキ屋でも行って女子感出すか。やっぱり今の俺に必要なのは女子感なのだ!!
斉藤にさえ見つからなければ女になったって不便はないだろうからな。
とは言っても、女子って一人でパンケーキ屋なんかに行くか、普通?
俺は人差し指にリングをはめる。
次の瞬間、超巨大な光の柱が俺を包み込み、俺の服は消失してゆき、俺は全裸になった。
だけど超眩しい光に照らされてるから、俺の身体が外に見えることはないだろう。
それで、光が消えた頃には俺は魔法少女になっていた。
やっぱりこのリングが俺の姿を変えていることは間違いないようだった。
リングには不自然なくぼみがあったが多分それはイマドキのお洒落な造形なのだろう。
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