綴る手を伸ばして
沢木圭
プロローグ
最初は小さな雑音だった。
次にそれはハーモニーに変わった。
そして、次には確かな意思をもった何かに変わった。
その次には私の大切なものへと変わった。
それからはもう覚えていない。
ただ漠然と大切になって、失っていく。
大切なものってそういうものでしょう?
私が何を言おうと、何をしようと、決して私のものにはならない。
大切なのに手元にはない。
手に入れたくて、そばに居たくて、自分のものにしたくて、追いかけても追いかけても、結局その先には後悔しか残らない。
その歌を聞いた時、私は運命だと思った。
歌唱力。パフォーマンス。歌声。どこをとっても一流の歌手と遜色ない。だが、所詮は何千人といる一流と同じに過ぎない。
でも私は何かに惹かれた。
そういうものだろう。きっと。何かを好きになるって。理由なんてよく分からないことの方が多い。
私がこの歌手と巡り会えたのは運命だった。
『
私の愛しい人。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます