第57話 旭はヒロイン達から奉仕を受ける
「今から明日の朝まで部屋から出てこない。戻ってきてすぐで悪いが、誰かが俺たちを訪ねてきても通さないようにしてくれ。今夜の夕飯代はもう支払ってあるが……それは返金しなくていいから」
俺は宿泊している宿に戻るなり、受付にいた女性にそのように告げる。
これから俺の女達と素敵な時間を過ごすためには、誰もこないようにしておく必要がある。
……まぁ、【遅延空間】を使用するから、入ろうにも入ってはこられないんだけどさ。
「朝まで部屋から出てこない……?ま、まさか……夜通しするのですか!?……わかりました。私の命に代えてもどなたも通しません!」
……なんか受付のお姉さんが変なやる気を出している件について。
まぁ、夜通しというか数日間部屋の中で過ごすし、間違ってはいないんだが。
俺は部屋の鍵を受け取って、部屋に向かう。
レーナ達はここまで静かにしているが……これからすることに期待しているだけのようだ。
だって頬が真っ赤に染まっているもの。
「パパ。そういえば【遅延空間】って1日を1ヶ月にするんだよね?細かい調整とかできるの?」
部屋に入ったレーナが俺に質問してきた。
今回は朝まで【遅延空間】を使用すると思っているからこそなのだろう。
俺は暗算が苦手なので、叡智さんに計算してもらってレーナの質問に答える。
「一応できるぞ?と言っても、叡智さんに計算してもらったんだが……。まず、1日は24時間だということはわかるか?」
「……うん、なんとなくだけどわかる。スマホに時間表示されているし」
「それなら話が早い。……でだ。遅延空間は外での1日を1ヶ月にする。大体空間内で1日を過ごすと、外では48分経過していることになるらしい」
「なるほど。48分ということを踏まえて計算すれば、何日いれば外でどれくらいの時間が経過したのかがわかるのですね」
「ルミアお姉さん!私も理解していたからね!?本当だからね!?」
俺の言葉にレーナではなく、ルミアが答えた。
レーナはもーっ!とルミアの背中をポカポカ叩いている。
理解していたと言ってたが……怪しいところだろう。
ルミアの言葉を聞いた途端に、なるほど!っていう表情をしたのを俺は見逃さなかったぞ。
「お兄ちゃん。【遅延空間】と外の世界の時間の関係性はわかったけど、部屋の中で何日も過ごすのって厳しくない?」
「そうでもないぞ?俺達が宿泊している部屋はキッチンが完備している。食材はまだまだたくさんあるから、ご飯の心配もない。水に関しても俺の魔法でなんとかなるからな。今のところメリットしかないな。問題点があるとしたら、運動不足だけかもしれないが……それも問題ない」
リーアの質問に【遅延空間】で過ごすことでのメリットを告げる。
デメリットは運動不足だが……それは大丈夫だろう。
【色欲魔人】と【サキュバス】のスキルの効果で運動不足になることはないと思うし。
リーアはそのことに気がついたのか、特に気にした様子も見せずにお風呂の準備に向かった。
戦闘したから早くお風呂に入りたいのだろう。
この部屋には貸切の家族風呂があり、4人で入っても問題ないくらいに広い。
俺は残ったルミアとレーナに話しかける。
「じゃあ、俺も魔法の準備をするから、ルミアとレーナは夕飯の準備をしてくれ。必要な食材があったらいつでも声かけてくれていいから」
「わかりました。では、旭さん。早速ですが、ハブとブラックオニオン、スッポンを出しておいてもらえますか?後の食材は冷蔵庫にしまってあるもので足りますので」
ルミアは早速俺の【無限収納】に収納されている精のつく食材をリクエストする。
ここからどんな料理が作られるのかは想像もできないが、ルミアの腕なら問題ないだろう。
家事も万能にこなせる美人な猫耳族、それがルミアなのだから。
「じゃあ、パパ。私もルミアお姉さんの手伝いしてくるね。美味しいって言わせてあげるから楽しみにしててっ!」
レーナはそう宣言すると、トコトコとルミアの後を追いかけていった。
うん、やっぱりレーナは可愛い。
あんなに可愛いのに重い愛情を俺に注いでくれるとか……マジで天使だわ。
この世界に転移される前に付き合っていた彼女とは雲泥の差である。
あいつは束縛してあげるとか言って全然してくれなかった上に裏切ったからな。
「さて……俺の方も魔法の準備を始めるか……。…………ん?」
魔法の準備を始めようとしたところ、部屋の隅に光る物体をみつけた。
…………?
なんぞこれ……?
なんかカメラみたいにも見えるが……この世界にカメラなんてあったっけ?
いや、転移してすぐに入った家電量販店にそんなようなものが置いてあった気がする。
それにしても……こんなところにカメラ?
しかも録画モードになっている……。
……これはまさか!?
ーーーー[旭、それは盗撮カメラでは?魔法を使用する前に撤去することをお勧めします。ついでに探知魔法で探しておくのも忘れずに]
疑問が確信に変わった瞬間だった。
……誰だよ、俺の部屋に盗撮カメラなんて仕掛けたの。
探知魔法を全力で使用して見つけたカメラを部屋の外に無造作に投げる。
もちろん録画されていたデータは消去してある。
神霊魔法を使えるのがバレるのは問題ないが、夜の情事まで録画されるのは流石にダメだろう。
ハメ撮りは自分で楽しむようだけで十分だ。
「……あぁ!せっかく仕掛けたカメラ達が!!」
……外から受付のお姉さんの悲痛な声が聞こえた気がしたが、気のせいだろう。
気のせいだと思いたい……。
宿泊している宿の従業員に盗撮されかけるとか……どこのありふれた世界だよ……。
「……【遅延空間】発動」
俺は少しげんなりとした表情で、【遅延空間】を発動した。
これで外からは中の様子が見えなくなる。
この疲れはレーナ達で癒されよう。
▼
ルミアとレーナお手製の料理を美味しくいただいた後、俺達4人は風呂場にきていた。
レーナの料理はどうだったのかって?
……もちろんめちゃくちゃ美味しかったに決まっているじゃないか!
前まで料理ができなかったはずなのだが、ルミアに教わったらしい。
あれか、【遅延空間】で訓練している時に習得したのか。
ちなみに、リーアも料理ができるらしい。
明日の朝食はリーアに作ってもらうのもいいかもしれない。
「パパ、気になっていたんだけど……このマット何?」
レーナは風呂場においてある大きなマットを指差して、俺に質問してきた。
ふむ、早速それに気がついたか。
「それはな……。俺の世界でいう『ローションマット』だ!!」
「「「????」」」
しかし、俺の言葉に3人は頭にハテナマークを浮かべている。
……あ、あれ?この世界にはマットプレイの概念がないのか?
まぁ、俺も経験したことはないんだけど。
「……コホン。この『ローションマット』を使って行うマットプレイは、簡単に言うとお互いの体にローションを塗って、体同士を擦り合わせるプレイのことだ。お互いに気持ちよくなれるらしいぞ?」
「……つまり、このマットの上で情事を行うと言うことですか?」
ルミアが顔を真っ赤にして尋ねてくる。
どれだけ気持ちいいかを想像したのだろう。
「そう言うことだな。俺も経験はないから手探りだけど」
「お兄ちゃん!この液体なんかヌルヌルする!!」
ルミアとマットプレイについて話していたら、先にマットの近くに寄っていったリーアが液体を手にとっていた。
その液体こそローションなのだが……ヌルヌルする感触を楽しんでいるようだ。
「リーア。それがローションだよ。局所に塗るタイプもあるけど、こう言うプレイ専用のローションがあるらしいから買ってきたんだ。それを体に塗るんだぞ」
「へぇ〜……。ねぇ、お兄ちゃん。本当にこれで気持ちよくなれるの?」
リーアはローションを手で弄りながら、俺に疑いの視線を送ってくる。
まぁ、実際に触ってみただけじゃ分からないよなぁ……。
その気持ちはよくわかる。
「じゃあ、試してみようか。全員服は脱ぎ終わっているしね」
俺はリーアの近くに行って、ローションを手に取り…手で擦り合わせてからリーアの体に塗りつけた。
「……ひゃんっ。なんか冷たいんだけどー」
「まぁ、擦り合わせたとはいえども、ローションだからなぁ。さぁ、これを全員に塗っていくぞ……?覚悟するがいい!」
「「キャーー」」
レーナとリーアは可愛らしい声を上げながらも、俺にローションを塗られていく。
ローションを塗るたびに色っぽい声が漏れる様は……なかなかくるものがあるな。
ルミアは真っ赤な顔をして俯いているが、そんなルミアにも容赦はしない。
「ルミアはローションが猫耳とか尻尾にかからないようにしないとな。さて……覚悟はいいか?全身くまなくローションまみれにしてあげよう」
「…………わかりました。……あっ。わ、わかりましたけど……自分で塗らせてください!……んんっ。旭さんにしてもらうのも嬉しいですが……感じすぎて変になってしまいそうなんです!」
ルミアはそんな可愛らしいことを言ってくるが、俺は当然無視をする。
細い腰周りから上半身へ。
その途中にある豊かな双丘もくまなくローションを塗り込んでいく。
その都度ルミアから色っぽい声が響き渡る。
「むぅ……。パパ!ルミアお姉さんばかり構っていると……こうしちゃうんだから!いくよ!リーア!」
「……ッ!なるほど、2人で攻めるのね?わかったわ!お兄ちゃん覚悟!」
ルミアの全身を余すところなく触っていたら、レーナとリーアが前後から抱きついてきた。
もちろんローションまみれの状態でだ。
2人に抱きつかれたことで、俺の体もローションでヌルヌルになる。
「……んっ。こ、これローションがぬるぬるって……いつもより気持ちいい……っ」
「お兄ちゃんの肌が擦れるたびに……あんっ。感じちゃう……っ!」
俺に抱きついてきたレーナとリーアだったが、ローションがもたらす快感に戸惑っているようだ。
ちなみに俺もかなり困惑している。
2人の体温が高い柔肌が俺の肌と擦れるたびに……言いようのない快感が押し上げてくるのだ。
おかしい……まだ【色欲魔人】を使っていないと言うのに……!
「レーナさんとリーアさんばかりずるいです。……私も抱きついちゃいますからね!!」
俺とレーナ、リーアがしているマットプレイを羨ましく思ったルミアも参加してくる。
3人の美女にもみくちゃにされるこのマットプレイ……。
買っておいてよかったと心の底から思う俺だった。
さぁ、現実世界の時間が朝になるまで、今日は思い切り楽しむとしよう!
俺は【色欲魔人】を発動させながら、3人を感じさせるべく準備を整えていく。
「じゃあ、答え合わせの開始だ。……3人とも覚悟しておけよ?【魔力分身】を使用開始、意識は全て本体に統一」
「……ちょ、お兄ちゃん!?【魔力分身】の意識を統一できるなんて聞いたことがないんだけど!?」
「……リーアさん、恐れていたことが起きてしまいましたね。これは私達も本気を出すしかないでしょう」
「リーア、ルミアお姉さん!パパに主導権を握らせないようにしないと!あの魔法を使うよ!」
「「「【狂愛ノ束縛】!!!」」」
ここに俺とヒロインによる生々しい聖戦が開始された。
本体は【狂愛ノ束縛】を回避しつつ、【赤き鎧】も展開させていく。
さぁ、どちらがより多く感じさせられるか勝負しようじゃないか!
▼
一方、その頃の宿屋の受付では……。
「すみません!ここに響谷旭という冒険者が宿泊しているって聞いたんですけど!!!」
「お言葉ですが、貴女とその方の関係を伺ってもよろしいですか?」
「前の世界の元カノよ!名前は笹原丹奈!本人に問い合わせればわかってもらえるはず!」
「申し訳ありませんが、旭様は朝まで部屋から出てこられないと仰っています。どなたであろうとここを通すわけにはいきません」
「そこをなんとか!すぐに伝えないといけないことがあるんだってば!!」
なぜか1人で宿を訪れている丹奈と、断固として通してなるものかと決意を固めた受付のお姉さんが言い争いをしていた。
旭はそれに気がつくことなく、ヒロインとの情事に励んでいく……。
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