【ファンタジー/ほのぼの】クルポッポ星人とスッゲーナ博士 …2

 そうやって、いろんなクルポッポ星人がたまごを貰いにきたり、他のお願いごとをしに訪ねてくるわけですが、ここで、先ほどのティティとププのペアのその後を覗いてみましょう。


 ティティとププは、二人のおうちに到着すると、さっそく、ベビィたまごを料理することにしました。このベビィたまご、いろんな料理に使えるのです。ケーキにしたり、クッキーにしたり。玉子焼きやスープに混ぜることもあります。


 ティティとププですが、二人はパンケーキを作ることにしたようです。

 まずはベビィたまごを割らなければいけません。

 ベビィたまごは種類も様々。

 簡単に割れるものもありますが、二人のたまごはとても堅いたまごでした。


 ティティがトンカチを用意すると、ププがたまごを支えて、ぐっと腕に力を入れます。せーので、ティティがトンカチを振り下ろします。


 カンカンカン。

 火花が散りました。

 トントントン。

 またまた火花が散りました。


 今度はププがトンカチを振るう番です。


 カンカンパキ。

 トントンパキ。


 たまごにヒビが入ります。


 カンカンピキピキ。


 二人が交代でトンカチで叩くと、やっとたまごは半分にパカリと割れました。ふぅと、二人は汗をぬぐいます。でも、まだまだパンケーキ作りは続きます。


 どろりとした中身をボウルに取り出すと、殻も砕いて飾りつけに使います。ティティがボウルに小麦粉と砂糖、たまごの中身を入れて混ぜ、ププが、サラサラのパウダーになるまで、殻を砕いていくのです。


 二人は、ひぃひぃ言いながら、なんとか作業を進め、夜になってお月様が輝くようになる頃、やっと大きなパンケーキが完成しました。


 こんがり焼けたパンケーキ。

 仕上げに振った殻パウダーがお洒落です。


 いただきまーす。

 パクパクパク。


 とってもおいしいパンケーキ。

 二人は嬉しくなって、いっしょにダンスを踊ります。


 るんるんるん。


 そうこうしているうちに、朝が来て、夜が来て。

 ある日、ティティは自分のお腹がぷくりと膨れていることに気づきました。


 あらあら、便秘? いえいえ、違います。

 どうやら、ティティのお腹にベビィが誕生したようです。

 ププは急いで、スッゲーナ博士の元へ駆けていき、報告します。


 ティティです。ベビィはティティのお腹を選びました。


 博士は、パチパチ拍手をしたあと、ちょっとだけ残念がっているププに言いました。ププは自分のお腹を選んでほしかったのです。


 ティティに、優しく、優しくしてあげるんだよ。

 暖かくして、たくさん栄養をとらないと。


 しょんぼりしていたププも、これにはしっかりとうなずき、博士から『丈夫なベビィの育て方』の本をもらうとすぐにティティの待つお家へと飛んで帰りました。


 さてさて、月日が経ちまして。

 ついにベビィの誕生です。


 スッゲーナ博士も駆けつけて、たくさんのクルポッポ星人たちでお祝いです。


 おめでとう。おめでとう。ぱんぱかぱーん。おーめーでーとーう。


 ティティとププは自分たちとそっくりのベビィに、ティププと名前を付けたのでした。こうやって、クルポッポ星人たちは、繁栄していくのですが。


 ある日のこと。不幸な出来事が起こってしまいました。


 なんと、クルポッポ星人たちが住む国に、ヤッベーナ将軍が攻めてきたのです。ヤッベーナ将軍は、たくさんの軍隊と凶悪な武器を持っていました。次々とクルポッポ星人たちの土地を侵略し、たくさんの命が消えていきました。


 こうした状況を、スッゲーナ博士がただ黙ってみているわけがありません。スッゲーナ博士は大きなシェルターを作ると、そこに多くのクルポッポ星人たちを避難させました。


 スッゲーナ博士は大変有名で優秀な発明家でしたが、残念ながら、武器は開発したことがありませんでした。彼はクルポッポ星人たちが、楽しく暮らせるため、幸せがいっぱい増えるための道具作りは得意でしたが、戦いに有利になる道具を作るのは苦手だったのです。


 あるクルポッポ星人は、ヤッベーナ将軍の軍隊と戦いました。また、あるクルポッポ星人は、シェルターで安心して暮らせるようにと、生活に必要なものを集めたり、情報を皆に伝えたりと忙しくしていました。


 そうやって、スッゲーナ博士とクルポッポ星人は、なんとか危機を乗り越えようとしたのですが、ヤッベーナ将軍はとても強く、話し合いも通じません。


 ついには、クルポッポ星人たちの半分が死に絶えてしまいました。スッゲーナ博士は、シェルターもいずれ壊されてしまうだろうと言い、これを聞いたクルポッポ星人たちは、残念ですが、白旗を上げる決断しました。



――3につづく。


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