17 王女様の野望
なんだかとても良い夢を見た気がする。
覚えていないのが残念!
(でも、素敵な気分だわ)
機嫌よく目を開くと、長児王子が部屋の隅にいた。
身体を起こすと、体を覆っていた綿布がはらりと落ちる。
「王子、その隅っこで何をしているんです?」
本当に何をしてるのかしら?
「んー!何をしてるっていうか、ナニがしたいっていうか!
裸は不味いと思うんだ!裸は!
・・・その、服を着てもらえるかなああああ!」
まごまごしている王子。
「着てもらえないと落ち着かないというか!
昨日寝てしまった俺がいうのもなんだけど、今夜はちゃんとするからというか!」
「・・・」
昨日の夜・・・とりあえず、私はできることをした。
陰の気と陽の気は、体をくっつけたのでまじりあうことも出来たはず
性交までは行かなかったけれどご先祖様には顔向けできることはした。
(服か・・・)
そうね。改めて言われると恥ずかしいものね。
昨日の夜は王子が眠っていたから平気だったけど、向こうも照れているみたいだし、私だって痴女ではないから、裸を恥ずかしいとは思っちゃったりもする。
「・・・」
気まずい思いをしながらも、ごそごそと綿布で体を覆い、脱ぎ捨てていた薄絹を身に着ける。
腰ひもを縛ってみたけれど、切れ目のついている腰下の部分は太ももまで露わになっている、また、胸の部分は露骨に形が浮かび上がるような構造になっており、白狐の一族好みの服ということは良くわかった。
「着ない方が、よかったかも」
長児王子が前かがみになって、呻いている。
「が、がまん・・・がまんだぞ、俺」
「我慢はいいけれど、婚姻についてちょっと相談が」
「うがああああ」
身を乗り出すと、寄るなというように、長児王子はあとずさった。普段は胸とかお尻とか平然と触ってくるくせに、こういう時は気弱になるなんて、
「王子、もしかして童貞!?」
「ええええええ!王女ちゃんの口からそんな言葉を聞きたくなかったあああああ」
(あ、間違いなく童貞だ!)
大柄な王子が私を怖がるように後ろへ行くのは少し面白い。面白いけれど会話が成り立たないのは困りもの。
蛮族の上に童貞という物件は、果たして奇貨をかけるに値するのか。
「王子、相談したいことがあるのですけど」
「これからの相談?」
「婚姻の儀式における子作りは、侍女がいるので侍女に任せますね」
「えっ?ちょっと待って?」
不可解な顔をした長児王子。
「私は美人でも未通だから上手くできない可能性があります。青の国から連れてきた侍女なら大丈夫です!本来なら黄緑の国でも婚姻の前にそういった指導が入っているはずだけど、王子には指導がなかったみたいだもの」
「いやいやいやいや、俺、初めての相手は
正妻って決めてて、俺は正室の子と愛を育みたいわけで。王女ちゃんは可愛いし、初めてて愛し合うなら王女ちゃんがいい」
「え!?私が他の男と実地練習してこないといけないの?」
ちょ、ちょっと、この王子、本気で私を自分の家臣とかに姦すつもりじゃないよね!?
「違う違う!俺に寝取られ趣味はないし!!練習は二人でしよう」
必死に首を振っている王子。良かった姦されはしないみたい。
相手は誰になるのかな。
「誰と?」
「俺と」
俺と??
つまり、侍女と練習する気になったのということ?
王子と話すのは文化の違いのせいで苦労するわ。
念のため、確認してみる。
「王子と誰が練習するの?」
「王女ちゃん」
「、、、、、」
私と王子が練習かあ。
超道のり長そうなんですけど!
(まあ、子作りは避けて通れない訳よね)
子どもを作ってその子を次世代の王とするのは、青の国の女のロマン!
頑張るわ!
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