第6話 かっちゃんの部屋

「ただいま〜。あれ? まだ帰ってないの〜?」


 先にかっちゃんが鍵で開けた茶色いドアをひらいて家の中に入って行った。


「靴ないからいないや。お姉ちゃんとお母さん。……ゆい? どうしたの? 上がんなよ」


 玄関の脇には水槽があってこの間かっちゃんがとってきたザリガニがハサミをカチャカチャやってわたしを見ている。


「あっ。うん。……お邪魔しまぁす」

ゆい。鍵閉めといて〜」


 かっちゃんはリビングの方に行ってしまった。

 いつもと同じはずなのに。


「ねぇ、結。うん? どうしたの?」


 廊下にまだいたわたしにかっちゃんはリビングの扉からちょこんと顔を出して、こっちを見ている。


「あっ。待って」


 かっちゃんがまたリビングに戻ってしまうから、わたしも慌てて追いかけた。


「あ〜、そうだ。ゆいに、見せたいもんがあったんだよね」

「見せたいもの?」


 なんだろう?


 わたしはかっちゃん家のリビングのソファに宿題を入れたうさぎのキャラクターのバッグを置いた。


ゆい〜、先、俺の部屋行ってて。俺、おやつのジャガイモチップス持ってくから」


 いつも来ているから、わたしはかっちゃんの部屋がどこだか知ってる。

 だけどかっちゃんの部屋に向かうのが、ドキドキしてるのはなぜだろうか?

 リビングの階段から二階のかっちゃんの部屋に行ける。

 わたしは緊張しながら、かっちゃんの部屋に続く階段をゆっくり上がる。

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