XXXX最後の生き残り
めか
終末の親友 "Angel Feather"
砂原恵一は何事にも無関心な少年であった。
世間のあらゆる流行から取り残され、学校にも馴染めず、惨めな生活を送っていた。
本人とて望んで無関心になったのではない。本当に関心が持てないのだ。
しかし、そんな彼に転機が訪れる。両親の突然死は、彼が十二歳の時であった。
「へー、そんなことがあったんだ。大変だねぇキミも」
「別に。親が死のうがなんだろうがどうだっていいんだ。むしろそんときは収入源なくなったのがマズイなと思ってた」
両親の付き合いも少なく、幼い彼を引き取る親戚もいなかった。
そんな彼も、ある要素が幸運を呼び込み、奇跡的に保護されたのであった。
「能力者だったから?」
「ああ、らしいな」
能力者特区。第三次大戦終焉後、戦火で痛手を負った日本海側の都市群を、総合企業連合が立て直す際に作られた特区である。
第三次大戦後、世界中で急増した”超能力者”を集め、安住の地を提供する。崇高な心をもって創られた能力者たちの聖域は、恵一にも多大な恩恵を与えた。
衣食住を保障し、経済的に潤沢な支援が行われた。
「ありがたいことだね」
「助かってるよ、お前と会えたのもこのおかげだ」
昔話をしていると気が休まるのは、昔から変わらない。恵一は隣にいる友人を傍目で見やる。
――当然、そこにはだれもいないわけなのだが。
「なんだい、いきなり」
「いいや、別に。話の続きでもしようか」
ともあれ、そんな特区での生活のせいか、恵一自身の内面も変わりつつあった。
次第に友人と呼べるような存在も増え、いわゆる『普通』の十代とそん色ない少年になっていった。
「僕みたいなね」
「俺の友達はみんな変わり者すぎて普通とは程遠い気がするけどな」
特区で暮らし始めてから数年。能力に囲まれて感受性豊かになった恵一少年は、とある事件に巻き込まれることになる。
それはある意味、過去の自分との決別の直接的な原因の一つだったのだろう。
「だから、キミの昔話はどこかおとぎ話くさいんだよ」
「そうかね。俺はそうは思わんが」
その事件も、話せば長くなる。彼は隣の友人へ、話してもいいか、と問うように目配せをする。
構わないよ、というようなジェスチャーが返ってきたのだろう。彼はおもむろに口
を開いた。
「ま、話せばだいぶ長くなるんだがな。せいぜい辛抱して聞いてくれ」
「うん。僕も話を聞くのが好きだ。言うより楽で、しかも楽しい」
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