ヤンハブコンビの初めて 1
映画館での日常系ドラマ映画とは名ばかりのフレンズ同士の濃厚な恋愛を描いた作品『トキとツチノコの初めて』。
何も知らずにそれを見ていたヘビのフレンズ、ハブは顔を真っ赤にして映画館を飛び出した所を知り合いのフレンズであるヤンバルクイナと出くわす。
「どんなロマンチックな映画を見たんでしょうねぇ?」
タイミングがタイミングなだけに、顔を近付けて妖艶に微笑む彼女に妙な胸の高鳴りを覚えてしまったハブは必死に否定の言葉を早口に放つ。
「うふふふ、冗談ですよぉ。いやですねぇ、本気にしちゃって」
そんな彼女の反応を見て面白そうに笑うヤンバルクイナに、ハブは呆気にとられたままその場に一人残される。
未だ紅潮した頬が元に戻らないハブは我に返ったかのように早足で自分の住む部屋へと戻るが、そこからはどうにもぼんやりして何かをする気も起きず、とうとう夜になってもジャパリまんをかじる以外に何もできずじまいだった。
「フレンズ同士の恋愛、か……」
時間をかけてジャパリまんを食べ終えた後、日課の歯磨きすら忘れて布団の上に身体を投げ渡し、ぼそりと呟くハブ。
その脳裏には、昼間に見せたヤンバルクイナのイタズラな笑みがこびり付いて離れなかった。
〜〜〜〜
「ガールズベストカップル、ね……」
時を同じくして夜のうみべエリアの砂浜。
潮の香りを運ぶ風に目を細めるヤンバルクイナは、なびく髪に手を当てながらあの映画に出てきた言葉をぽそりと呟き、イタズラな笑みを誰に見せるともなく一人口元に浮かべる。
「……ちむわさわさー……ってね」
パーク・セントラルに灯る街の灯りを一瞥するヤンバルクイナは、聞き慣れない言葉を口にすると浜辺の後ろにある森の中へとゆっくりと立ち去っていった。
〜〜〜〜
栗饅頭氏原作
『トキノココンビの初めて』リスペクト編
原作↓
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