レジスタンス
Azu
レジスタンス
私はこの世界からいなくなりたくて、こんな高台に立っている。
自分では必死に考えたのだ。自分の生きる意味を。
たかが18歳って思われるかもしれないが、私にとっては死活問題なのだ。君のための私じゃない。最期の時ぐらいは私のための私でありたい。
以前友人にこんなことを言われた。
『未来と過去、どちらが大切かい?』と。
すぐには答えられなかった。悩む私の姿をみて彼はにやにやと嗤ってきたのを覚えている。
『あなたはどうなのよ』と私は逆に聞いてみることにした。
でも、聞きたかったわけじゃない。私はこの質問から逃げたのだ。
『僕かい?僕は、未来を大切にするね』彼はそう答えた。
私は羨ましかったのだ。はっきりと答えられる彼が。もちろん、彼は私なんかよりずっと年上だから年の功というものもあるかもしれない。だが、私自身過去に色々とありすぎたのだ。たった18年間の間に。おそらくは…いや、明らかに他人の18年よりずっと濃い経験だったと思う。何度普通の生活を願ったかはわからない。経験があるということだけには自信があったのだ。だからこそこの質問にだって答えられると思っていた。けれど、結局なにも答えられなかった。
私はいつも霞みがかった何かに覆われていた。もやもやと、ふわふわと。もしかしたら、自分に自信がないだけなのかもしれない。ここまで気づいているのに、自分を変えられなくて、追い込んで、嫌いになっていって。いつのまにか誰も周りにいなくなっていた。
唯一、頼りにしていた彼ですらいなくなっていた。
人間は一人では生きていけない。
一人は寂しい。
いつの日か、母がこう言っていたのを思い出す。どこぞの小説で一匹狼を演じていた奴もら結局は仲間に囲まれて生きている。
人間は一人では生きていけない。頼り頼られ生きていく。それが人間という社会。
私はその社会から一人放り出された。どうやら私はこの社会には必要ないらしい。
だから私は一人でこの世界からいなくなってやるのだ。
これは私のひとりぼっちのレジスタンス。
きっと人間社会にとっては痛くも痒くもないだろう。
それでも、これが私にできる最期の抵抗だから。
ただ一つ心残りなのは、私がいなくなった世界を私がみることができないということだけ。
レジスタンス Azu @Azusa_0220
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