グレンデラ防衛軍最終防衛ライン中央軍団軍団長チュー・オ

 私チュー・オは、いつものようにこの地を守護していた。

 そういつまでも変わらない、このグレンデラを、このナザリックを、至高の御方々が愛したこの地を守り続ける、この場所で、朽ちることなく永遠に。

 だが、気付けば空は星が瞬き煌めいていた。

 どうする?今ナザリック城では、全権移譲の式典が開かれている時間だ、流石にこの様な時に空が美しいですねと、我が主に声をお掛けするのは憚られるが・・・、このヘルヘイムの世界で夜空がこんなにも美しく見えるというのは非常に稀有なこと、出来れば主とご一緒に眺めたいのですが。ん?星の配置が・・・。

「チュー・オよ、外の様子で何か変わったことはあるか?」


 う~ん、さっきまでのシリアスな状況はどこにいった?

 先ほどまでの重苦しい雰囲気はどこへやら、今アルベドは俺に抱き着きそれはもう好きなように撫でまわしていた。

「あー、アルベドよ。」

 アルベドの名前を部分を少し力を込めて呼ぶ。

「はい、モモンガ様♡」

 やっと、反応してくれた・・・、クフクフ言ってるが。

「今は緊急時だ、私があれほど取り乱してしまうほどのな、先にそれらの問題に関して話をしたい。」

「はっ、申し訳ありません。」

 うん!公使の区別が一瞬で済む素晴らしい。

 決して残念とか思ってないからな!

「さて、見苦しい姿を見せてしまったな。色々と話を積み重ねたいところではあるが、先ほど言ったように今は緊急事態だ。まずはその件を片づけて行こう。三人は何か異変を感じてはいるかな?」

 一瞬で仕事の顔になった俺の子供たちは、今俺の前に傅き跪いている。

「はっ!一つありますモモンガ様。」

「ふむ、言ってみよアルベド。」

「はい、レベルが上がっております。」

「え?アルベドのレベルがか?」

「左様でございます。」

「二人は?」

 100レベルに到達した者たちのレベルが上がっている?

 デミウルゴスとパンドラもレベルが上がっていると言ってきた。

 ふ~む、

「少し待て。」

 あ、俺も上がってる・・・って、なんだこれ?カリスマレベル10?ナザリックの絶対支配者レベル15・・・、シェイプシフター15!?

 何なのだこれは・・・、

「ふむ、どうやら私も精神の変容だけではなく、レベルも上がっているな。」

「父上、変容ですか?」

「あー、その変化が先の私の失態に繋がった。」

 そう、日付が変わるまではこの子たちはNPCと思っていたし、俺は鈴木悟だったけど、今の俺はモモンガで、この子達は俺と皆の子供たちだ。

「仔細については私もまだ把握しきれていないが・・・、それと幾つかのレベルを新たに獲得している。私はこれを世界の法則が変わった結果・・・、このナザリックが別の世界へと何らかの理由で転移してしまったのではないかと思っている。」

「転移・・・ですか?モモンガ様。」

 まー、突飛だろうな~。そうなるのも解るよデミウルゴス。

 しかし、ユグドラシルⅡという線も考えたけど、流石に運営が犯罪を犯さ・・・ないよね。こんな拉致めいた方法で、ゲームユーザーを新作ゲームに放り込むとは思えない、それに、この子たちは生きている。俺も・・・、いや!俺骨だけど!


「ふふっ。」

 笑われてしまった。

 この状況から、推移できない程度だと、笑われてしまった・・・。


 あ、あれ?デミウルゴスが心なしかってか、思いっきり落ち込んでる!・・・あー!あれか、自分の発言が笑われたと思ったのか!?

 さっきパンドラに言われたばかりだろうに。

「デミウルゴス違うぞ?今のはあー、何だ昔からよくやる言葉遊びを思い浮かべてしまっただけだ。許せ。」

「いっいえ!モモンガ様の言動を曲解してしまった私が悪いのでございます!」

「よい、許そう。」

「ありがとうございます。」

 重い、その思い重すぎる・・・。これは、後で個別で子供たちと話し合わなければ。

「さて、転移とは言ったがな私自身未だ確信を持っているわけではない。さて、どうしたものか。」

「それでは、父上!グレンデラ軍に連絡を取り、外の様子を聞いてみてはいかがでしょおう!」

 パンドラ惜しい、ちょっと素が出て来てるぞ。

「そうだな、メッセージ、チュー・オよ外の様子で何か変わったことはあるか?」

「はっ!空に美しい星々が煌めいております!」

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