カンブリオール!

狐付き

プロローグ

 この世には六法書に存在しないルールがある。

 昔は「表六法裏八法」と言われ、表の世界では知らないものが多い、裏の法が存在している。

 例えば世界犯罪助法。ある条件の下に行われた犯罪であれば減刑或いは無罪となる法律である。国連の裏法であり、加入国であれば準ずべきであるため、日本だけ特別にどうこうできるものではない。

 この世界犯罪助法にもいくつかカテゴライズされ、そのひとつが怪盗法。



 2年ほど前、ある泥棒グループが逮捕された。

 犯罪件数は7件。被害総額は40億円ほど。高価なものでは1枚13憶の絵画もあった。

 だというのに裁判が行われず、捕まったはずの泥棒は行方不明。

 仲間が助けたというわけではなく、裁かれることがなかったのだ。


 そこで世間に知られてしまったのだ。怪盗法の存在を。

 とはいえ完全に理解されたというわけではなく、様々な検証、たくさんの逮捕者を出して確認。大体以下のルールを守れば大丈夫ということだ。


 ひとつ、盗むときは1週間以上前に時刻及び盗む品を知らせなくてはならない。

 ひとつ、少数──凡そ4人以下でなくてはならない。

 ひとつ、盗難時に正体を晒してはならない。

 ひとつ、守衛などに大けがなどを負わせた場合、傷害罪が適用されてしまう。但し全治2週間以内であれば問題ない。

 そして、盗むものは美術品に限る。


 他にも表面に出ていないルールを守れば盗みを働いても投獄されない。

 そのため世間では怪盗が増え、メディアも取り扱うようになった。


 かくして日本で怪盗エンターテインメントが始まった。

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