森林

橋は崩れ落ちようとしている


老朽化が進みすっかり色あせてしまった


誰もその色彩を復活させようとはしない


青々とした森はそんな橋を見ていた


その橋の下には川が流れていた


それほど急ではない川の流れもまた


橋を見ていた


その中の魚も


ふと、一人の人間が恐る恐る通ると


橋は大袈裟な音をたてたが崩れはしなかった


それどころか橋は久しい来客に少し


喜んでいるようであった


まだまだこれからと橋は言う


ミシミシギシギシ音をたてて


震える体を揺らしながら


苔をたくさん蓄えて


森の奥へと続く道筋



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