スライドとAN

そっと愛撫するように退屈を舐めた


なまめかしくおくよかしく


時よりあくびをチラつかせる


そこにも、やはりセクシーさが


垣間見えている


退屈をしゃぶり尽くすと


次は


立ち上がり歩き出した


フラミンゴの羽に染められた部屋


そこへ着くと、男を悦ばせた


スライド式の日々の中で


それでも必死にしがみつく彼女の


シルクのようにミルクのように


病的なまでに白い身体と顔


顔の中には立派な黒目がふたつと


取ってつけたような紅い唇がひとつ


鋭利とでも形容したくなるほど高い鼻


彼女はまるで女神のようであった


でも、死神のようでもあった


始まりのようでもあったし


終わりをもたらしそうでもあった


不可解だと思うかもしれない


しかし、彼女はやってのけるのだ


五十音の「あ」と「ん」が手を取り合って


「暗」を作るくらい、極めて平凡に


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