その6 GWの終わりに

 そんな感じでGW後半も色々遊び尽くした。

 例の改造カブで山道を走ったり川で小魚や川エビを捕ったり。

 金子先輩主催の春のキノコ・山菜教室とかも楽しかった。

 キノコは最初なかなか見つからない。

 でも目が慣れると一気にあそこにもここにもとわかるようになる。


 採るのも面白かったけれど採った後の食事まで美味しい。

 今回の採取メニューは生パスタの山菜とキノコのチーズクリーム和え。

 これが冗談みたいに美味しかった。


 サバゲー組も元田んぼ跡だった平地にもう一つサバゲ場を開設した。

 竹や灌木で障害物を作ったり、五メートルから五十メートルまで五メートル刻みで調整できる射場も作ったりしたらしい。

 摩耶先輩曰く『ほぼ理想のサバゲ場になった』との事。


 山や沢やバイク用林道やサバゲ場を他の人と使う時のルールを考えたりもした。

 亜人女子の皆さんだけでなくその友達の一般人と楽しみたいという声が多かったためだ。

 そんな訳で取り敢えず普通の友人と来た場合は

  ○ 誰かここの事情を知っている人が責任を持って引率する

  ○ 使う時はかならず美鈴さんに声をかける

  ○ 家はトイレ部分以外は使わない。あと極力立ち入らない

  ○ 山菜やキノコ、川魚等の採取は取り切らないよう限度を考える

というルールでやっていく事になった。


 そんな訳で五月六日の昼食、今まで採った山菜やタケノコキノコてんこ盛りのつけ麺を食べた後、皆で片付けをして解散。

 賑やかだった家が一気に静かになる。


「何か寂しくなったけれど、これがここ本来の静けさなんだよね」

 真理枝さんがお茶を飲みながらそんな事を言う。


「座敷童としては賑やかなのは好きだそうです」

「美鈴さんの意見じゃ無くて亜理寿ちゃんの意見はどう?」

 亜理寿さんは少し考える。


「悪くはなかったです。賑やかなのは苦手だと思っていたのですけれど」

「なら良しかな」

 ちょっと冗談で聞いてみる。


「僕には聞かないんですか」

「可愛い女の子がいっぱい来たんだから文句ないでしょ」


「自分達で可愛いって言いますか?」

「可愛くなかった?」

 そう言われるとなあ。


「まあ可愛い位は認めますけれど」

「じゃあ誰がタイプ?」

 おいおいおい。


「特に考えていないですね。あれだけ女性ばかりだと慣れるだけで大変ですし」

「でもむさい男ばかりよりはましでしょ」

「確かに大学の理学部と工学部だけで充分です」

「ならいいじゃない」


 うーん。

 何か違う気がするがまあいいか。


「まあここまで賑やかなのはそうないと思うしね。夏休みは皆さん実家に帰ったりするだろうし。でも夏休み始めに露天風呂作るって言っているからその時はまた賑やかになるかな」


「あれって本当に作るのかな」

「作ると思うよ。美久コンは元々DIY好きが講じて建築学科に入ったという位だし、イライザ先輩は元々機械科で熱機関の研究しているらしいから。二人とも相当本気でCADいじっていたし、多分夏休みになった途端本気で作るんじゃ無いかと」


「でもどうせ女性用だろ、今の人数比考えると」

「何なら混浴にしてもいいよ」

「だが断る!」

 相当気疲れしそうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る