その2 恐怖からの救世主
ピピピピッ、ピピピピッ……
スマホの目覚まし音。
はっとして目が覚めた。
外はもう明るい。
チュンチュンと雀が鳴いている声もしている。
うん、気のせいだ。
悪い夢だったんだ。
汗をかいている服を上下全部着替え、布団を部屋内の布団干しにかけておく。
今日も一限から授業がある。
うちの学校は国立で人数が少ないせいかきっちり出席を取る授業ばかり。
なので休むわけにもいかない。
そんな訳で手早く学校へ行く準備。
半ば逃げるような勢いで家を出てスクーターで学校へ。
寝不足気味でふらふら状態で授業を受けて飯食べて授業を受ける。
そんな訳で無事授業は五限も終わった。
本日は教習所は入れていない。
でも何となくこのまま家に帰りたくない。
足が向かないというか何というか。
窓の外には
あれも慣れてしまったのでもう怖くない。
そんな訳で夕食でも食べるかとゆっくり席を立ったところで。
「何か顔色が悪いですよ。大丈夫ですか」
城間さんが声をかけてきた。
いいところで声をかけてくれた。
いや本当は彼女にSNSで連絡を取って相談しようかとも思ったのだ。
でも彼女いない歴=年齢の僕に女の子に気軽に連絡出来るメンタルはない。
「いやちょっと家が古くてさ。少し眠れなかっただけ」
「何ならその話を伺いましょうか? 夕食でも食べながら」
ああ、凄くありがたい。
話を聞いて貰って何でもないと言って貰えればそれだけでも少し気が休まる。
それに美人さんとお話しするのはやっぱり楽しいしさ。
そんな訳で第二食堂へ。
僕はやっぱり微妙に安めの組み合わせ、城間さんはやっぱり野菜多めの組み合わせで開いている席に陣取る。
「それでどんな感じなんですか?」
そんな訳で僕は食べながら城間さんに昨夜の事を説明する。
城間さんはうんうん頷きながら聞いてくれた。
「勿論気のせいという可能性もあるとは思います。でも何かがいて気づいて貰いたがっている、そういう可能性もありますね」
真面目な顔でそんな事を言うのはやめてほしい。
帰るのが余計怖くなる。
「何なら今日お家にお邪魔しましょうか。行けば理由もすぐわかると思いますから」
その提案はとっても有り難い。
でも問題点がいくつかある。
「うちの家はここの研究団地から少し離れていて遠いんだ。スクーターの二人乗りは危ないしさ」
最大の問題は交通機関だ。
ここからのバスは新幹線の駅へ行くルートのみ。
過疎化し消滅したうちの家のある集落近辺への公共交通機関は存在しない。
「大丈夫です。地図上でだいたいの位置を教えて下さい」
「でも歩くには遠いし自転車だと坂が厳しいかな」
「ご心配なく。私も交通手段を持っていますから」
自家用車だろうか。
取り敢えずスマホの地図で俺の家の場所を教える。
「わかりました。GPSを使えば大体大丈夫ですね」
「携帯電波は届くと思うけれどさ」
その辺は確認済みだ。
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