第12話
「デアゴオミーラが姿を消しただって!?」
その驚くようなニュースに真っ先に反応したのはまぎれもなく僕自身だった、
デアゴオミーラは倒すと祠の鍵を落とすモンスターでこの先進むつもりならば絶対に倒しておかねばならないモンスターだったからだ。
「どういうこと?」
妹が小首をかしげて酒場の親父に尋ねると、やれやれといった口調で口を開き始めた。
「どうやらひきこもったらしいんだ、なんかもう嫌にでもなってしまったのかな」
「ひきこもりって…」
妹が腑に落ちない様子でしばらく考え込んでいた、そしてあっと言って何か閃いた様子で立ち上がる。
「鍵をもらうチャンスじゃない!今敵はきっと弱ってるわ!」
「そんなうまくいきますかねえ」
イリアが水を差すと再び妹は考え込んでしまった。
小ボスとはいえ僕らより数段レベルが高いデアゴオミーラを倒すにはまだまだレベルが足りない。しかし今のデアゴオミーラならば可能性は低くもない。
「マタコンガをしばらく狩ったら城に乗り込もう!」
「そうしようよお兄ちゃん!」
妹が乗り気で身を乗り出す、今日も相変わらず鼻毛がでていた。
危険なマタコンガ狩りをするために元の町に戻っていた僕らは再び奴らに出会った。
鷹の爪の連中だ。
「なんだお前らまだいたのか」
ニヤニヤして僕らを取り囲む、アレックスは相変わらず女をはべらせていた。強い冒険者というものはもてるものなのか、僕らには美人のサーシャがいる、鼻毛が出てるけど。
「うちのパーティに入りたかったらいつでも言ってくれよな」
アレックスは妹に触れようとして顎にパンチをくらった。
「気の強い女だ」
アレックスは顎を押さえながら退散した、やつらはどうやら妹が目的のようである。
誰が大事な妹を渡すものか。しばらくマタコンガ狩りを続けているうちに妹は新しく呪文を覚えた。弱い魔物が出なくなるというノニフォラムという呪文と、全体攻撃のできる雷の呪文デオラである。ノニフォラムはほとんど使い道がない(なぜなら僕らは弱いモンスターでも必ず一掃する方針だからだ)デオラはかなりの威力だ、これでよりいっそう妹の呪文は役に立ちそうだった。ただ、魔法を使うたびに鼻毛が飛び出して思わず笑ってしまいそうになるという弊害を除けば。
イリアのほうもレベルが上がり、回復魔法キュアを覚えたところであった、僕はただ剣を振るうだけなのだが、魔法だって使ってみたい。
二人を羨ましく思いながらマタコンガ狩りにいそしむ僕らのレベルはやっと10に届いていた。ひきこもっているというデアゴオミーラを引きずり出すにはよいころあいである、マタコンガが防具を狙って噛み付いたところを僕は新しく買ったロングソードで真っ二つに奴の体を引き裂いた。また防具を破壊されたのではせっかく貯めたゴールドが無駄になってしまう、細心の注意を払いながらマタコンガ狩りに勤しみ、僕らのレベルはどうにかレベル12までには上がっていた。そろそろデアゴオミーラのレベルに近づいてきた!
「そろそろデアゴオミーラの城に突入しよう!」
僕がそう提案すると、二人ともすぐさま同意した。デアゴオミーラたちの巣食う城は結構目立つところにどんと構えてある。蝙蝠が飛び交い、血塗られたその城には今まで何千何万という冒険者が乗り込んでいったことであろう。僕らは小ボスデアゴオミーラを倒して鍵を手に入れるため、意気揚々として城に乗り込んでいったのである。
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