第4話 魔法のある剣道

 ここは恵比寿高校剣道部の試合会場。

「ああ、何もできないまま負けちゃった。」

 猿野楽子は初めての試合で一歩も動けずに負けてしまい落ち込んでいる。

「最初は誰でもそんなもんだ。がんばれ、楽子。」

 顧問のアンディが楽子を励ます。

「ありがとう。アンディ。」

 楽子はアンディの優しさに触れる。

「がんばれ! 渋谷高校剣道部!」

 代官山男はアンディと楽子が良い雰囲気であることに気づかなかった。

「誰が誰を許さないですって?」

 話は試合に戻る。

「無駄口を叩くより試合でケリをつけよう。」

 栞は銀河なデザインの剣道着を着て、いざ、中堅戦に望む。剣道着のデザインが自由になると楽しくなるだろう。スポンサーも付くから選手もお金が儲かるだろう。

「あなたも秒殺にしてあげるわよ。」

 恵比寿高校剣道部の中堅は恵三姉妹の三女ユウリーだった。遂に栞とユウリーの戦いが始まる。

「中堅戦! はじめ!」

 試合は始まったがメアリーは動かなかった。

「どうしたのメアリー? 余裕こいてるんじゃないわよ。」

「そうよ、瞬殺しなさいよ。」

 恵三姉妹のラブリーとメアリーが動かないユウリーを急かす。

「う、う、動けない!? バカな!? この私が!? プレッシャーを感じているというのか!?」

 ユウリーは余裕がある訳ではなかった。体を動かしたくても動かすことが出来なかったのだ。

「私のカワイイ怪獣ちゃんをいじめたことを後悔させてやろう。おまえは永遠に宇宙を彷徨うがいい! いでよ! 銀河! エル・エル・エルメス!」

 栞は魔法を唱える。試合会場を銀河空間に変えてしまう。

「ぎ、ぎ、銀河!? バカな今は剣道の試合中のはず!? どうして私の体が浮いているんだ!?」

 ユウリーは栞の魔法で銀河の宇宙空間を彷徨っている。

「あなたに選ばしてあげよう。1、ブラックホールに吸い込まれる。2、土星を落とされてペッチャンコ。3、銀河の誕生ビックバーンで爆発する。」

「どれも嫌よ! あなたを倒して、こんな幻覚から抜け出してやる!」

 栞の優しさはユウリーには届かなかった。

「せっかく情けをかけてあげたのに。残念。罰として1、2、3、全てと、4番。剣道部なので、銀河系最強のギャラクシー・竹刀で銀河の墓場に送ってあげるわ。」

 栞は竹刀を銀河の輝きで輝かせる。

「それがどうした!? 私は負けるものか!?」

 メアリーは最後の決戦を挑む。栞に突撃する。

「星よ! 惑星よ! 月よ! 太陽よ! 宇宙よ! 私に力を与え給え! ギャラクシー・スラッシュ!」

 栞の銀河の一撃がメアリーの胴に命中する。

「ギャアアア!?」

 メアリーの剣道着を破壊して吹き飛ばす。その衝撃は試合会場の壁も破壊してしまう。

「い、い、一本! それまで!」

 渋谷高校剣道部、記念すべき初勝利であった。

「勝った!」

「やったー!」

「お姉ちゃん強い!」

「ドキドキした!」

「怪獣ちゃんのために勝ったわよ!」

 谷子たちは栞の勝利を喜んだ。

「メアリー!? 大丈夫か!?」

「タンカーだ!? 救急車を呼べ!? 早く!?」

 三女ユウリーの敗北に、慌てふためくラブリーとメアリー。

「当然じゃない。私たちは魔法少女なんだから。」

「泪、早く終わらせてくれないとロブションで朝食が出来ないんだけど。」

 その前に壁が壊れて試合が中止にならないのだろうか。

「副将! 前へ! はじめ!」

 恵比寿高校剣道部の副将は恵比寿高校剣道部員A。名前すらない。

「あ、動かないで。」

 泪は静止を促す。しかし、恵比寿高校剣道部員Aは泪を目掛けて突撃してくる。

「地雷を仕掛けてあるから。」

 ドカーン! 時すでに遅し。恵比寿高校剣道部員Aは地雷に場外まで吹き飛ばされた。

「場外! 渋谷高校剣道部、勝利!」

「やっぱり剣道に魔法は反則だよね。」

 魔法少女の泪は素直に喜べない。


つづく。

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