◆幕間-1◆




「本当にごめんなさいね?」





 いやいやいや。ごめんなさいとかで済む問題じゃねーだろ?





「そう思うなら早く生き返らせてくれないかな?」





目の前の美少女はどうやら神様か何からしく、俺がこんな所に来た理由をあれこれ説明してくれた。





概要はこうだ。





何かの手違いで俺が死んでしまった。


本当はもっと長生きして悠々自適な生活を送る事が出来るはずだったらしい。


そりゃそうだ。


俺は頭も良いし外見だっていい。


その上自分で言うのもなんだがこの天に与えられた物に甘んじてはいない。


若干チャラく見られがちだが本当は向上心を持ち続け正義の心を忘れない。





…自分で解説すると馬鹿みたいだが俺は本当にそういう人間だ。





なのにそんな将来有望な俺を手違いで殺しただと?





「それ相応の保障はしてもらえるんだろうな?」





「えっと…それがそのぉ…」





 頼りない女神は申し訳無さそうに言った。


「一度失われた命をそのまま復活させるっていうのはできない決まりで…」





「…はぁ?じゃあどうすんだよ。俺死んじゃったじゃん。もしかして諦めて死んどけって事?」





「ち、違いますっ!あの、実は貴方に提供できるプランがいくつかありまして…」





 プランってなんだよ携帯の契約かっつの。





「…で?」


「…で、と申しますと…?」





「ほんと要領悪いな…そのプランとやらを聞かせてよ」


「な、納得して頂けるんですか!?」


「そんなのプラン聞いてからに決まってるだろ!てめぇいい加減にしろよ!?」





 俺は頭の悪い人間が嫌いだ。


いや、こいつは人間ではなかったか。


どっちでもいい。


要領が悪くてノロマな奴は会話するのも疲れる。





「で、では一つめのプランですが、また赤ん坊からやり直して…」


「却下」





「えぇー!?決断早くないですか?」





赤ん坊からやり直しだと?


今までどれだけ頑張って今の自分を作り上げてきたと思ってるんだ。





「で、でしたらおまけも付けますよ!?今の貴方の知識や記憶を持ち越しっていうのはどうですか?」





 …なに?


それなら少し話が変わってくるぞ。


確かにまた一から人生を始めなければいけないというのは非常に面倒だ。


だが、生まれた瞬間から今の俺の記憶で人生を始められるのであればもっと素晴らしい俺を作り上げる事が出来る。





「しかしそんなうまい話があるのか…?何か裏があるんじゃ…」





「う、裏なんてそんな…ちょっと外見とか親とかを選べないだけで…」





「却下」





「えー?どうしてですか??」





 どうしてって…今の外見を失うのは惜しい。


それにどんな親の元に生まれてくるか分からないんじゃ困る。


万が一ネグレクト親だったり極端に貧困だったりしたら俺は生きるのが辛くなってしまう。





「とにかく却下だ。次のプラン」





 女神らしき女はしょぼんとしながら次のプランの説明を始める。





「新しい人生っていうのがダメだったらもう異世界転生くらいしか…」





「な、異世界…?」





 異世界なんてほんとにあるもんなのか?いや、現にこうやって女神(みたいな女)が存在してるわけだし…。そんな不思議な話もあるのかもしれない。





「その異世界について詳しく聞かせてくれ。そこは俺の今の知識が何かしら役に立つ世界なのか?」





「えっと…それは難しいかもしれないです。もう一つの世界は…」





 たどたどしく女神が異世界についての説明を始めるが要点を得なくて分かりづらいのでところどころこちらから質問をしつつなんとなく把握した。





どうやらゲームとかでありがちなファンタジー世界ってやつらしい。


漫画やゲームみたいに異世界に転生っていうのは非常に興味深い。


…が、





「そっちの条件はどうなってる?人生一からやり直しか?」





「えっとですねぇ…そっちの方ならある程度融通がききますよ?赤ん坊からやり直しでもいいですし今の年齢外見のままあちらに身体を再構築して…ようはそのままの姿で行く事ができます」





 …ふむ。それは悪くない。だがいきなりファンタジー世界に放り込まれたらどう考えても生きていくことはできないだろう。





「お前、俺が死んだのは手違いだったって言ったよな?要はお前らの不手際、俺は被害者と言うことだよな?」





「は、はい…そうなります…ごめんなさい」





「そんな形だけの謝罪はいらないよ。そんな事より、誠意を見せてもらおうか」





 俺が新しいファンタジーの世界で生きていくために出来る限りの事をしてもらわないと割に合わない。





「…で、出来る限り対応させてもらいますね」





「当然だ。それで、その詳しいプランだが…」


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