1-10 朝食からのステータス確認

 俺が歯を磨いているあいだに、客の多くは食事を終えたのか、1階に降りると食堂は半分以上空席になっていた。

 みたところセルフサービスみたいなので、奥に調理場のあるカウンターっぽいところに行ってみる。


「すいません、食事をいただきたいのですが?」

「あいよー。もう日替わりランチしかないけどねー」


 調理場のほうから背の低い、まるっとしたおっちゃんが出てきた。

 なんかの獣人かと思ったけど、こりゃ普通のヒトだね。


「いくらですか?」

「5Gだよー」

「じゃそれで」

「あいよー」


 おっちゃんが手際よく、区切りのあるプレートに盛りつけていく。

 小さくて黒いパンふたつと、サラダ、ハンバーグみたいなのが盛りつけられ、空いたスペースにスープが入った器と水がのせられた。

 トレイを持って、空いたテーブルに座る。


(これが噂の黒パンかぁ)


 異世界もののラノベなんかに出てくる、黒っぽいパン。通称黒パン。


(……やっぱ硬ぇー!)


 試しにかじってみたけど、噂通り相当硬いな。

 でも大丈夫。

 これはスープに浸して食べるんだよねー。


(うん、いけるな!)


 スープに浸せばちゃんと柔らかくなるし、スープの旨味を吸っていい感じだ。

 試しにスープもすすってみたけど、野菜の旨味がしっかり出てるし、塩味も結構効いてるわ。

 異世界モノでよくあるのが、塩とかの調味料が結構な高級品で、食事が味気ないってのが多いんだが、ここのメシは普通に美味い。

 サラダには油と塩となにかの果汁っぽいのを混ぜた、ドレッシング的なものがかかってたけど、これもすげー美味しかった。


(さて、これはハンバーグだよな、どうみても)


 メインディッシュはひき肉を固めて焼いたもので、形も匂いもハンバーグそのものだった。

 ただ、ソースはかかってなかったけど。

 ナイフで切ってみると、中から肉汁が出てきたよ、ちゃんと。


(お、うめー! ソースはかかってないけど、ちゃんと味付いてるね。胡椒の味がしっかりしてるわ)


 料理については当たりの世界に来たみたいだ。

 もともと食に関してはこだわるほうじゃないけど、不味いのは勘弁して欲しいからな。

 メシが美味いってだけでも、モチベーションは上がるってもんよ。

 さて、食事も終えたし、一応ステータス確認しとくか。


――――――――――

名前:山岡勝介

職業:見習い冒険者

レベル:4


HP:127

MP:23


物攻:G+(G+)

魔攻:G-

物防:G+(G+)

魔防:G-(G-)

体力:F-

精神力:G+

魔力:G-

賢さ:F+

素早さ:G

器用さ:G

運:G+


【所持金】

現金:0G

カード:15G


【装備】

麻の服:物防G- /魔防G-

革の靴:物防G-



【所持アイテム】

歯ブラシ

洗口液

革の巾着


【スキル】SP:104

稲荷の加護

言語理解

恐怖耐性:Lv2

毒耐性:Lv1

気配察知:Lv1

空腹耐性:Lv1


【称号】

Gランク冒険者


【スタート地点】

トセマの街 西門

572/06/22

09:048:32

――――――――――


 おお! 念願のニート脱却!!

 さらば昔の俺! そしてこんにちは新しい俺!!

 見習い冒険者か……、いいね!!


 ……お、なんか強くなってね?

 HPとMPは回復しと考えればおかしくはないけど、他の能力値がぼちぼち上がってんだよなぁ。

 あれかな、疲労困憊からの超回復ってやつかな?

 とりあえずレベルアップなしでも、能力がは上がるみたいだな。

 まあ、トレーニングで強くなれないとか、ちょっと考えたらおかしいもんな。

 あと、【所持金】【所持アイテム】【称号】ってのが増えてんな。

 なんとなくわかるけど、一応〈稲荷の加護〉の『能力把握』で確認しとくか。


――――――――――

【所持金】→現在の所持金

――――――――――


 現金とカードで別々に表示されるのはありがたいね。

 現金0だけど……。


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【所持アイテム】→現在所持しているアイテム。

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 せっかくだし、新たに買ったアイテムも確認しとこう。


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歯ブラシ→オークの体毛を束ねた歯磨き用ブラシ。

――――――――――


 オークって、ブタ人間みたいな奴か? やっぱいるんだな、この世界には。そういや昔はブタの毛で歯ブラシ作ってたっていうし、理にかなってんのか?


――――――――――

洗口液→ミドゥークダの葉の煮汁を主原料とした浄化液。飲み過ぎると毒。一口分の水に対して2~3滴垂らすのが適量。

――――――――――


 まあ元の世界の洗口液だって飲み過ぎたら毒だもんな。しかし、アルコール原料じゃないのな。


――――――――――

革の巾着→ゴブリンの皮の端切れで作られた巾着。

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 おう……今度はゴブリンか。やっぱいんのね、そのへんの定番モンスターは。


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【称号】→行動や功績に応じて付与される。ステータスやスキルに影響する場合も。

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 照合も見ればわかるけど、効果があるかもしれないから、一応確認だ。


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Gランク冒険者→冒険者ギルドに登録したことで取得。効果:なし

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 残念、冒険者ランクは持ってても特典はなし、と。



  あと、やっぱスタート地点変わってんな

  この街はトセマの街っていうのね、覚えとこう。



 ステータスの確認はこんなもんでいいか。


 つーかさ、〈鑑定〉スキルはないけど、装備したり所持したりでアイテムの詳細は見れんのね。

 これもまたチートだな。

 お稲荷さん、ありがとう!!


 よし! そろそろ行くか!!


「ごちそうさん。美味しかったよ!」

「まいどー! また来てねー!」


 食器を返した後、俺は再び2階へもどる。

 食後も歯磨きをしないと、気が済まないタチなので。

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