第249話、BOSS・鯨魔獣ケートス①/リザルド

「ひゃっほーっ!! これ楽しいッスーーーーーーっ!!」

「バカ止めろぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

「ちぃぃぃぃっ!! おいセンセイ、レギンレイブにハンドルを握らせるな!!」

「申し訳ありません、私に乗らないでください」


 現在、シャチの集落に向けて小型艇を飛ばしている。

 小型艇の中は狭く、レギンレイブが俺の太股の上に座る形になっているが、俺の運転を見てレギンレイブが運転したがった。ハンドルとアクセルを任せたらこいつ、アクセルをベタ踏みしやがった……。


 おかげで、時速200キロは出ている。

 しかも岩礁地帯を通っているから、岩と岩との隙間を縫うように進んでいる。ヘタにハンドルを奪おうものなら、岩に激突して死ぬのは間違いない。

 

「いぇいいぇいっ!! センセ、これ面白いっすよーーーーーーっ!!」

「頼むからもう少し減速しろぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

「っくそ、おいお前、私に触れるな!!」

「この狭さでは……」

「…………」


 後ろを見ると、シグルドリーヴァとハイネヨハイネが激しく絡み合っていた。しかも水着がズレてなんともけしからんことになっている……。


「ん? センセ股間「頼む運転に集中しろおぉぉぉっ!!」


 レギンレイブの肩を掴み、俺はひたすら絶叫した。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 1時間も走っただろうか……。


「お、なんかデカい反応をキャッチしたッス!」


 岩礁地帯を抜け、ようやく運転を代わった。レギンレイブは頭を押さえながら、反応とやらがあった場所を、小型艇のマップにマークする。


「これ、たぶんクジラちゃんッスね。というかでっかいッスねぇ……」

「シャチの集落との距離は?」

「えーと……だいたい10キロくらい離れてるッス。でも、クジラちゃんの向かってる方向は集落の方で間違いないッスよ」

「俺たちとの距離は?」

「ウチらとクジラちゃんの距離は5キロっす。ウチの索敵範囲ギリギリでよかったッスよぉ~」

「よし、急げば間に合う。シグルドリーヴァ、レギンレイブ、戦闘になったら頼むぞ!」

「ふん、任せておけ。少し暴れたい気分でな……」

「シグルド姉、そんなカッコで言われても……」

「…………」


 シグルドリーヴァは、ハイネヨハイネを押し倒していた。おいおい、水着ははだけてるわおっぱいはけしからんことになっているわ、眼福ですよ。

 狭い小型艇に感謝しつつ、ケートスの位置まで向かう。


「改めて聞くが、本当に大丈夫か?」

「問題ない。的が大きいだけで大したことはないだろう」

「油断大敵だ。なんせ相手は、この海最強のクジラだからな」

「センセ、英雄になっちゃうかもッスねぇ~」

「いやいや、戦うのはお前らだろ」

「……私は、お前の護衛だ。敵がいれば斬るだけ、それ以外は興味ない」

「ま、そういうことッス。センセ、めんどうなことはセンセにお任せ~」


 英雄なんて興味ないが、今はシャチの集落に向かうのが先決だ。

 オルカさんやリグくんがいる集落、帰る場所だけは破壊させない。


「シグルドリーヴァ、『騎熊王ウルスス・アークトゥルス』の使用を許可する。目的地に近付いたら先行して暴れろ」

「任せろ」

「レギンレイブ、お前は」

「あ、ウチは自前の翼があるんで大丈夫っす」

「わかった。あと……」


 ハイネヨハイネを見るが、何も言わずジッと俺を見る。

 こいつ、本当に一緒にいるだけだ。無害にもほどがある。

 ま、仕方ない。


「俺は離れた場所で援護する。ヴィングスコルニル、モーガン・ムインファウル、クルーマ・アクパーラを使ってな」

「おお! 遺産カーニバルっすね!」

「その言い方やめないか?」


 遺産カーニバルとか、さすがにちょっと……。

 目的地は近い。このまま一気に進んでBOSSBATTLEと行きますか!

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