第160話、コモリのダンジョン
買い物を終えた翌日。
オルトリンデたちは、コモリのダンジョンの入り口にやってきた。
ダンジョンの入り口は広場になっていて、様々な冒険者グループが集まっている。
仲間の勧誘をしたり、自らの存在を見せつけて威圧したり、店を広げてアイテムを売る商人だったり、入り口だけで小さな村のような人口だ。
そんな中、やはりオルトリンデたちは目立っていた。
3人の美少女と、居住車を一人で引いていたタンクトップハゲ。
ライオットがいなければ間違いなく、数多のパーティから勧誘されていたであろう。だが、どんな力自慢でも居住車を引くなど難しい。それを容易く実行する怪力が仲間にいたのだ。声をかけるパーティはいなかった。
もしかして、あの大男が少女たちを………なんて、考える輩もいた。
「おいハゲ、遅れんな!!」
「うっす!! 申し訳ありません姐さん!!」
ポニーテールの銀髪美少女が、タンクトップハゲの頭を『バッシィィン!!』と叩いた。タンクトップハゲはポニーテール少女に頭を下げている……すぐに大男がパーティの序列最下位なのがわかった。
そして、中堅から熟練の冒険者グループは見た。
純白の吸血鬼にしてS級冒険者の『
不眠ペンギンを抱きしめ、タンクトップハゲが頭を下げるのをやめさせようとワタワタしてる。見た目は可憐な少女だが、近づくだけで敗北すると言われている、恐ろしい少女だった。
そして、そんなS級冒険者と共にいる仲間たち。
いつの間にか、オルトリンデたちは警戒されつつも尊敬の視線を浴びていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
視線には気が付いたが、オルトリンデたちは無視していた。
エレオノールも、S級冒険者ということで注目されることが多く、この程度の視線には慣れっこだ。
「ダンジョンは冒険者ギルドが管理しています。冒険者の資格がなくても入れますが、ダンジョン内に入れば完全な自己責任です」
「ふーん」
「わかりましたわ」
「うっす!!」
「············」
エレオノールは、万が一ということも考えたが、どう考えてもあり得ないと感じた。
なので、ダンジョン入口に列を作る冒険者たちに並ぶ。
「入口は四ヶ所あるみたいです。わたしたちは」
「どこでもいい。どーせ変わんねぇよ」
「あ、あはは······そ、そうですね」
多分、オルトリンデならそう言う気がしたので、比較的空いてる入口に並び、入る順番を待った。
そして、オルトリンデたちの順番が来た。
入口を進むと魔法陣があり、その上に乗ると一瞬で景色が切り替わった。
まるで、煉瓦造りの迷宮のような、誰が灯したのかわからない松明の明かりだけがある、薄暗い通路だった。
「原理は解明されてませんけど、ダンジョンは地下深くまで続いているそうです。階層を下れば下るほど、モンスターも強力になっていきます」
「ま、全部射ち殺せば問題ねぇだろ」
「お姉さま······」
「ライオット、エレオノールを守れ。道中の雑魚はアタシが始末する」
「うっす!!」
「あ、あの、オルトリンデさん」
「言いたいことはわかるがアタシにやらせろ。たまには運動しねーと身体が錆び付くからな」
オルトリンデは、両手に大型拳銃を異空間から転送させた。
クルクルと回し、どこか嬉しそうに構える。
「誰も見てねぇし、いいよなヴァルトラウテ」
「······はぁ、お好きにしてくださいな」
「へへっ、そうこなくっちゃ!」
オルトリンデの
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
最初に現れたのは、ゴブリンだった。
ドンドンドンドン!! と、大型拳銃が火を吹く。
発射された45口径のマグナム弾は、ゴブリンの頭を吹き飛ばし脳漿を飛び散らせる。
「う、うわぁ······」
「うっす······」
「んだよオメーら?」
弾切れの大型拳銃を投げ捨てると、今度は大型のアサルトライフルを転送させる。大型拳銃は粒子となり異空間へ転送された。
『ジュルルルルッ!!』『ブシャァァァァーーーッ!!』
次に現れたのは、気色悪い緑の巨大芋虫だった。
ボボボボボボッ!! と、アサルトライフルが弾丸の雨を降らせ、芋虫は原型を留めないほどメチャクチャになる。
撃ち終わったアサルトライフルを投げ捨て、今度は両手にガトリングガンを転送した。
エレオノールは、投げ捨てられたアサルトライフルを見て思う。
「あ、あの、この武器って」
「心配ないですわ。弾切れでも、一度粒子化して再構成すれば、弾薬も復活しますわ」
「ええと······は、はい」
ガトリングガンは、芋虫とゴブリンの集団を挽肉にしている。
オルトリンデも、どこか楽しそうだ。
カルヴァテイン・タスラムは複数の武器の集合体。バズーカは武器の一部に過ぎず、大型な武装は他にいくらでもある。
「くくくっ、湧いてくる湧いてくる。気が変わった、このまま一番下まで行くぞ。アタシの武器コレクション、たっぷり堪能してもらおうか」
「······お姉さま、『
「うっせ。つーかヴァルトラウテ、オメーも戦っていいんだぜ?」
「はいはい。お姉さまがピンチの時に戦いますわ。それまでエレオノールちゃんとのんびりおしゃべりしてますわ」
「あ、あの······きゃっ」
ヴァルトラウテは、エレオノールをギュッと抱きしめる。
「好きにしろよ。じゃあライオット、オメーも戦え。リミッターを外したType-LUKEの力、見せてみろよ」
「うっす!!」
ライオットが前に出て、オルトリンデはガトリングガンを構える。
無敵のパーティーだ。エレオノールはそう思った。
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