あたらしい朝

万々実椰

第1話 櫻の園

 校歌斉唱。女性の声しか聞こえない。ここは女子校だ。クラスメートの初々しい表情とは裏腹に、パーマ頭で入学した私は中学浪人で1年遅れの高校生だった。


 教室で順番に自己紹介がはじまる。どこの中学出身とか、姉が同窓にいるだとか…。自分の番がきた。そつなくこなそうとしていたのに突如葛藤が。(歳のことはいずれバレる、噂で広まれば邪推されるし、面倒な気遣いは嫌だなぁ。。。)とか。


自己紹介の最後に「みなさんより一つ歳が多いのですけども…よろしくお願いします」。私は振り絞るようにしてことばにした。担任は笑顔。皆も笑顔。私はホッとしていた。清々しい高校生活のはじまりだった。

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