浮遊霊は茫然と

見学会、というものがある

ツイッターで宣伝されていた、それ

応募、お金、現地集合、ぞろぞろと

私は毎日百単位の人間が出入りする場所に来た

仰々しい門を通り、凸凹していないアスファルトを踏む

私の他には老若男女、夫婦と家族が多い

特に小さな子供を連れた家族

まあ、見学料も懐にひびが入らない額だし

少しの遠出、少しの電車、または車、いいんだろう

ああ、駄目だ

せっかく来たのに嫌なことがよぎる

そうだ、いつもそうだ、何か楽しい事を新しい事をしよう

見ようとすると頭の中がおかしくなる

「私は何をやっているんだ」

お前だけ、こんなことをして死んだ人もうかばれない

左右対称の建物は、どんな気持ちで建てたのだろうか

必要だから建てた、技術の進歩への架け橋、復興のモニュメント

分からない、ふわふわした絨毯も豪華絢爛な室内も

綺麗だなあ、テレビで見たことあるなあ、テレビじゃ映らないところはこうなっているのか

頭の中は思考する、でも私は私の上に浮いている、罪悪感が浮いている

謝罪などいらない、謝罪する必要がない、なのに

そうか、私は独りだから、嫉たんでいることの愚かさに謝罪を

ああ、人類滅びないかな

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