知らない国

片手で足りるほどの旅行

片手で足りるほどの海外


偶然であった

テレビから聞こえた「サイパン」という言葉

ああ、そういえば、この国にもいったなあ

と、思い出した

なぜ、この独り言を書いている時、思い出さなかったのだろうか

頭の中で云々唸りながら引き出していた海外旅行についての独り言

やはり、記憶から消えていた

行ったはずなのだ、その国に

ああ、そうだ、そうだなあ、忘れてしまうよなあ

と、思った

撮影しただろう写真が見つからなかったのだ

そうか、とひと段落して書いている

別段、特別な国ではない。思い出もないし

一緒に行った両親の顔さえ思い出せない

たぶん、忘れたかったから忘れている

単語を聞いたから「そうだったなあ」と

ゆるやかにい行った事実だけ思い出した

ふと、これを書いている途中だけれども、本当に行ったのだろうか

頭の中では「行った」と響くのに、やはり記憶にないものは現実ではないのだろう

『おそらくだけれどもサイパンには行ったことがあるはずだ』

知らない国だけれども

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