遠い日の
絵本のとおり
かたん かたん と音がする
のるねえ のったねえ おそとみる
昼間の空いた電車の中
ちいさい靴が転がって
はやいねえ すごいねえ
にこにこ 笑顔で語るかんばせ
暖かい日差しが降り注ぐ
遠くに流れる白い雲
おうちがいっぱい すごいねえ
必死に 必死に 隣の人に言い続け
膝をついて外を見る小さな背中を
大きな手で支えてあげる
感嘆の瞳に緩む頬
愛らしいと思う心
隣の人も嬉しそうに笑っている
すごいねえ 凄いねえ
はやいねえ 早いね
何度も何度も繰り返された
ぽつぽつ まばらな 車両内
ひとは めをつむり めをほそめ
機械をいじり 音楽をきき
透き通る子供の声を背景音楽に
心情も環境も目的も分からないけれども
だれひとり いやなかおせず
子と同じ風景を頭の中で見ていた
それは遠い日の自分と
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