えがお

まめふく

第一章 拾ってください

 「理笑、あなた大丈夫なのもう八時過ぎてるわよ」


 階段の下から私を呼ぶ母の声が聞こえる。


 「うそ!だって帯が締められないんだもん。うぅぅもうなにこれ」

「ほんと何してるの。貸しなさい」


 そう言いながら呆れた顔で部屋に入って来た母が言う


 「ちょっと虹笑にこ持ってて」

 「虹笑!今日もあんたは可愛いね」

 「あぁもうちょっと動かないでピシッとしてなさい」

 「ごめんごめんお母さんはやくはやく卒業式なのに遅刻とかやだよ」

 「寝坊したのはあんたでしょ」

 「だってぇぇ」

 「ほら、出来たよ」

 「ありがとうお母さん!じゃ行ってきまーす」

 「ちょっと待ちなさい」


 今さっき駆け下りてきた階段の上からそう呼び止める母の声がした。


 「もうなに、ほんとに遅れちゃうよ」


 足をバタバタさせながらちょっと不機嫌気味に答えると、


 「ほらこれ時間あったら食べなさい」


 そう言ってアルミホイルに包まれたおにぎりを上から投げた。朝ごはん用に作ってあったのだろう。


 「っと。ナイスキャッチ!」


 勢いよく飛んできた三角ボールを胸の前でしっかりキャッチして、そう言った。うちではよくある光景だ。


 「お母さん行けないけどしっかりすんのよ」

 「はーい。虹笑をよろしくね」


 うちは今日も卒業式だってのにバタバタだ。


× × × × × ×

     

 

 「うわぁなんか気持ち悪いぐらいの青空だね。さっきまでの土砂降りが嘘みたい」

 「はは、ほんとだね」


 そう笑いながらせっちゃんが言う。せっちゃんこと池波節子いけなみせつこは小学校からの幼なじみで口が悪いとか態度がねとかよく言われてるけどほんとはめちゃくちゃ優しくてピンチな時にいつも救ってくれるヒーローって感じの親友。


 「明日から高校最後の夏休みだよ。せっちゃんは何か予定ある?」

 「なーんにも。みんな受験やら就職活動やらで忙しいみたいだし、うちは実家の八百屋継ぐからな。理笑は卒業したらなにするか決めた?」

 「ううん。まだ」

 「理笑も笑顔の郷継げばいいじゃん」


 笑顔の郷というのは私の祖母からやってる養護施設で、今は10人の子供を預かっている。養護施設とは親がいない子供や虐待を受けている子供が生活できる施設で基本は国からの支給金で子供全員の食費や生活費をやしなわなければならない。なのでうちみたいな個人経営のところはほとんどが赤字だ。


 「うーん。今更受験勉強とか無理だし、なりより家にはお金がないからね」

 「ま、なんとかなるよまだ時間あるしゆっくりしたらいいんじゃない」

 「なんとかってなにそれ」


 せっちゃんはいつもこんな感じだ


 「はは、なんとかはなんとかだよ理笑なら大丈夫!じゃあね」

 「うん。バイバーイ」


 いつもの学校帰り。今日は終業式だけで普段より早く終わった。まだ1時前だ。次の角を右に曲がれば家がある1階は子供達が遊んだり勉強したりする居間と大部屋がある。玄関横の和室がお母さんの部屋で階段を上がってすぐの部屋が私の部屋だ。奥には幸子さちこれんの部屋がある。うちの施設は高校生になると個室が貰えるのだ。


『進路、どうしよっかなぁ。正直笑顔の郷は継ぎたくないし』


 そんなことを思いながらふと雨上がりの空を見ると雲一つない青空に綺麗な七色の虹がかかっていた。虹に見とれながら歩いていると気づけば玄関前に立っていた。その時、なにかが足に当たった気がした。下を見るとそこには膝下ぐらいまでの大きさがあるダンボールがあった。上面には拾ってくださいとマーカーで書かれている。恐る恐る半開きのダンボールを開けてみると、そこにはまだ産まれて間もないであろう赤ん坊の姿があった。胸の鼓動が速くなるのが自分でもよく分かった。赤ん坊は泣くこともなく、なんなら笑っていように見えた。5分ほどだろうかなにをするわけでもなくただただその赤ん坊を上から呆然と眺めていた。その間その赤ん坊はずっと笑顔のようだった。 


 「あら、もう帰ってたの汗かいてるでしょ先にお風呂入っちゃいなさい」


 裏口の方から母が出てきた。手にはバケツと柄杓を持っている。水撒きでもするつもりだったのだろう。なにも言わない私を不審に思ったのか母がどうしたのと近づいてきた。


 「ん?」


 そう言いながらダンボールの中を覗いた母はすぐにこの状況を理解したのか呆気にとられながらも赤ん坊を抱きかかえ家の中に戻った。そしてすぐに、


 「理笑、警察に行ってくるから他の子達見ててくれる?」


と言いながら、また外へ出てきた。


 「・・・」


 「りーえ!なにボーッと立ってんのそこ早くどきなさいお母さん通れないでしょ」


 母の声で我に返った私はやっと今の状況をのみ込むことができた。母はそんな私を見ながら続ける。


 「理笑、分かった?他の子達お願いできるよね?」

 「う、うん。いってらっしゃい、、」


私は何も出来ず、母の勢いにおされ咄嗟にそう答えたと同時に母の冷静に関心していた。



× × × × × × 

    


 「はぁ」


 警察署を出てすぐにため息をついた。外はすっかり暗くなり、そばにあった時計を見上げると十時を過ぎていた。


 「すぅぅはぁぁぁぁ」


 一度大きく深呼吸をした。今さっきまでの出来事にまだ頭がついていけていなかった。今日は暑く、玄関外に水でも撒こうかと昼過ぎに裏口から玄関へ出た時だった。娘が玄関前で呆然と立ち尽くしている。足元には大きめのダンボール箱があった。持っていたバケツと柄杓を置いて覗いてみると、そこには産まれて間もないのかまだ肌が赤い赤ん坊が毛布に包まれていた。一瞬なにがあったのか理解出来なかった。顔をあげると理笑が真っ青な顔で立っていた。次の瞬間まだ小さな赤ん坊を抱え家の中に粉ミルクと財布を持ち次にひと息ついた時にはタクシーの中で赤ん坊に粉ミルクを飲ませていた。小さな赤ん坊を抱いて警察署に行く私を運転手さんはどう思ったのだろうか。警察署に着いてからは長い長い事情聴取とやらに付き合わされ、その後の赤ん坊がどうなるかの説明を受けた。正直、その内容などほとんど覚えていない。どこで見つけたとか、いつ見つけたとかそんなことを何度も聞かれた気がする。赤ん坊はどこかへ引き取られるのだろうか。今日のところは赤ん坊を置いて帰ってくださいと言われた。私一人だけの帰りをみて理笑はなんと言うだろうか。子供達は私がいないで晩御飯を食べれただろうか、ちゃんと寝ただろうか。そんなことを考えているうちに電車は横須賀に着いていた。重い腰をあげ、ゆっくりと帰路についた。


 

   × × × × × ×


 

 何時間待っただろうか。まだ母は帰ってこない。あれからなにをするにも気力がなく、カバンを玄関に投げ捨て居間で何もせずに何時間もボーッとしていた。気づくと誰かに肩を揺らされていた。


 「理笑ちゃん。ごはん作って」


 やんちゃ好きの健人がそう隣で言っている。疲れて眠ってしまったようだ。


 「あれ?和香子さんいないの」


 和香子さんというのは私の母のことだ。みんなにはこう呼ばれている。


 「どっか行ってから帰ってきてないよ」


 時計の針は8時を指している。『まだお母さん帰ってきてないんだ』そう思いながら母の代わりに晩御飯を作ることにした。といっても料理は上手くないので先日残ったカレーを温めて出しただけだった。後片付けをしてからみんなを寝かしつけ、居間に戻ったところだった。


     ガラガラ


 「ただいま」


 「お母さん!」


 反射的にそう呼んだ。母の右手には空のミルク瓶があった。そういえば出ていく時に持っていたような気がするが、よく覚えていない。そんなことよりさっきの赤ん坊の姿が見えないことに胸騒ぎがした。その場で聞きたかったがもうぐったりだったので母に言われるがまま今日は寝ることにした。


 

  × × × × × ×


 

 駅からの道のりは驚く程にはやく、憂鬱だった。玄関前で息を大きく吐いていつもの自分で振舞おうと決めた。


 「ただいま」


 少し声が震えていた。娘はお母さんといってすぐに近づいてきた。制服姿のままであれからずっと居間で私の帰りを待っていたのだろう。台所にはまだ濡れている食器が綺麗に並んでいる。その隣には空っぽの鍋が置かれていた。残りものをうまくわけたのだろう。


 「留守番ありがとう。今日はもう疲れたでしょ。さっさと着替えて寝なさい」


 娘は少し戸惑ったような様子だったが「はい」とだけ言って部屋を出ていった。私は少し安堵した。赤ん坊のことを聞かれたら上手く応答できる自信などなかった。日付を超える前に寝床に着くのはいつぶりだろうか。昨日までは短期入居の赤ん坊の夜泣きが酷くつききっきりだったが今日からは違う施設へ転居された。うちは一人なのでそれほど多くの子供達の世話は出来ない。



× × × × × ×

 

 

 「・・・え ・・・きて!」

 「んー?おかあさん?」

 「ちょっと!なに寝ぼけてんのよ卒業式終わったよ」

 「え!?」


 思わず大声をあげて椅子から立ち上がった。順番に退場中だったらしい生徒から体育館内にいる人全員の視線は一気に私に降り注いだ。


 「すいません」


 あまりの恥ずかしさに小さな声でそう言うことしかできなかった私を見ながらせっちゃんはお腹を抱えながら声を堪えて笑っている。


 「せっちゃん」


 泣きそうな声で助けを求めると、


 「ははは、理笑面白すぎ私の隣で始まってからずーっと寝てたよ」


 花道を歩きながらヒソヒソと卒業式での私の行動を聞いた。どうやら始まってすぐ校長先生の長い祝辞で寝たらしい。


 「今日も朝ギリギリだったし卒業式にも寝坊したの?」


 体育館を出た後、半分笑いながらせっちゃんが聞いてくる。


 「昨日緊張して眠れなかった」


 ほっぺを膨らせながらそう言うと、


 「あははは、はは、もうなにそれ遠足前日の小学生じゃん、あはは、緊張して寝れなかったって」


 せっちゃんは声を出して大笑いした。


 「あああ!せっちゃんやめてよ!」


 焦りながらそう言うと、


 「いいじゃんいいじゃん可愛いよ」


 なんて言いながら私の髪をクシャクシャっとしてきた。私は夢を見ていた。虹笑と初めて出会った時の夢。あの日からの日々はあっというまで、おそらく一生忘れられない出来事になった。

 

    

× × × × × ×


 

 「ふぁぁあ」


 『また眠れなかった』


昨日赤ん坊を拾った。正確にいえば私は見つけただけ、あの子どうなるんだろう。昨日からずっとあの赤ん坊の笑った顔が頭から離れない。部屋を出て、階段を降りると母が台所で朝ごはんを作っていた。


 「あら、起きたの。じゃあみんなを起こしてきちょうだい」


 母が私に気づいてそう言った。普段となんら変わらない。


 「ふん」


 曖昧な返事をした後にみんなのところへ向かった。施設の子達は居間の奥にある大部屋で雑魚寝している。ふすまを開けて皆を起こす。


 「理笑ちゃんおはよう」 


 何人かがそう言う声に、適当に答えるとその場を離れた。今はみんなとおしゃべりなどするような気分にはなれなかったのだ。居間に戻るとちゃぶ台の上には一人一人お盆でわけられた朝ごはんが用意されていた。ぞろぞろと寝室から人が出てきていつもの朝が始まった。食後洗い物を手伝いながら真隣にいる母親にふと昨日の話を聞いてみた。


 「警察、行ったの?」


 「うん」


 少し驚いたような表情でこちらを見たがすぐに目線を手元に移して頷いた。


 「どうだった。あの子どうなっちゃうの」

 「さぁね、どうなるのかな」


 母の解答は驚く程に素っ気なかった。この施設を経営している限りもう少し親身になっているものだと思っていた。


「・・・」


「・・・」


 「私、あの子育てたい」


 沈黙を破るように放たれた言葉はその場をさらに静寂にした。そして、発した自分自身が一番驚いた。私は子供はあまり好きではない。なんならこの施設が嫌いだ。母は私が小さい頃からずっと施設の子供達につききっきりだった。私の学校行事などには一切来たことがなく、おまけにこの施設のおかげでうちは貧乏。私にとって施設の子供達は敵同然だった。今までは行くとこもないので、仕方なく手伝いながらいつかここを出ようと思っていた。洗い物はこのお皿で最後だ。さっきの私の言葉からお互いなにも喋らなかった。洗い物が終わり手を拭いている母がボソリと呟いた。


 「いいよ」

 「え?」

 「だからいいってあんたの勝手にしなさい」

 「え?ほんとに?」


 私は嬉しくて母の腕を掴んでいた。絶対に無理だと思っていた。うちの養護施設はもう手一杯でこの前も長期入居希望の1才児を謝りながら断るのを見たところだった。しかも、赤ん坊は24時間の監視が必要だ。そんなことを考えていると母が眉間に皺をよせながら顔を近づけてきて


 「でも」


 と力強く言ってからこう続けた。


 「あんたは高校を卒業したらここを手伝うこと。それとあの子の面倒は理笑が出来るだけ見ること。わかった?」


 顔は怖いが少し楽しそうだった。私が子供を育てたいと言ったことが嬉しかったようだった。帽子を被った母が近づいてきて


 「ほら、警察署に赤ん坊いるんだから迎えに行こ」

 「他の子達はどうするの?」

 「今日はもともと山下さんが朝から来てくれる予定だったから、あとは幸子に任せれば大丈夫よ」


 山下さんとは人手が足りない時、ボランティアでたまに来てもらっている近所の優しいおばさんだ。普段は保育士をしているので安心できる。幸子は高校1年のしっかりもの。ここに来たのは十年前だ。


 「うん。わかった用意してくる」


 そう言って階段を素早く上がった。昨日からの重い空気に代わって体が軽かった。警察署には電車で1時間ほどで着いた。今母が窓口で昨日貰ったという名刺を差し出している。10分ほどベンチに座って待っていると背が高くて細い警官が近づいてきた。ヒョロっとしているが目つきは私の警官像そのものだった。


「こちらへどうぞ」


その警官の案内のもと小さな会議室に通された。普段はあまり使わないのか部屋に入った時にホコリっぽい匂いがした。いくつかのパイプ椅子と机が1つと殺風景な部屋だった。


「昨日は夜遅くまで失礼しました」


椅子に座るなり警官がこう言った。母が名刺を貰った人のようだ。名前は東雲しののめというらしい。警官は母がいえいえと手を振るしぐさを見てからゆっくりと続けた。


「先程係のものから説明は聞きました。保護した乳児のことですが・・・」

「引き取りたいです。私が育てます」


警官の言葉を遮るようにそう言った。目の前の男は先程の目つきとはうって変わって目を丸くした。恐らく母が引き取りたくてここに来たと思っていたのだろう。


「えっと、あのね子供を育てるのゆうのはとっても大変でお金もかかって」


そういう警官をもとに今度は母が遮るように言った


「大丈夫です。私はこの20年間で34人の子供たちを育てて来ました」


こう言う母に警官はなにを言っているのか理解できないようでキョトンとしている。そんな姿を見た母は少し慌てたように、


「ごめんなさい、なんか大袈裟に私は笑顔の郷という養護施設の管理人なんです」


そういうと警官は合点したように頭を掻きながら


「そういうことでしたか、いやこちらこそ申し訳ないです。まだ乳児の入居先は決まっておりませんし・・・」


と言い、ここに住所とお名前をお願いしますと紙とペンを出してきたその後は私には理解出来ないような少し詳しい話をして30分ほどで部屋を出た。


「お母さん、どうなったの?」

「来週から仮入居だって今は念の為病院みたい場所教えてもらったけど今から行く?」

「うん!」


即答で答えた。あと母はおそらくあの赤ん坊には戸籍がないこと、名前がわからないこと、なにか進展があれば随時施設へ電話することになったことなど東雲さんと話した内容を病院までの時間で教えてくれた。

病院にはたくさんの赤ん坊が一人一人ベットに入れられ並べられていた。そこを流れるように歩いていき奥から3つめのベットだけ名札にはなにも書いてなかった。それを見て私は少し心がいたんだ。すると唐突に母が


「この子の名前決めないとね。私が付けていい?理笑つける?」

「つける!名ずけ親だ!」


名前を何にしようかと名無しの名札と赤ん坊の顔を交互に見ていた。赤ん坊は捨てられていた時のような笑顔だった。


「ね、私は決めた」

「え?この子の名前?」

「うん!虹笑。雨上あまかけ虹笑」

「理笑にしてはセンスありじゃない?ふふ」


そういうながら母は笑った。夏の雨上がり虹の出てる空のしたで笑ってたから雨上虹笑。


「でしょ。私名ずけ親のセンスあるかも」

「調子にのんないの!」

「いひひ。虹笑、あんたは今日から虹笑だ。よろしくね」


そう言いながらまだ小さい手を握って握手した。虹笑は相変わらずの笑顔で握り返してくれたような気がした。



× × × × × ×



「終わったぁぁ」


せっちゃんが帰り道にそう言った。


「はぁ卒業式もう1回やりたい」

「あはは、いいじゃん理笑のことだしまた寝ちゃうんじゃない、ははは」

「もう、せっちゃん」

「でも、ほんとに終わっちゃったね」


そう、私達の高校生活はこれで終わりだ。明日から私は笑顔の郷で働く。せっちゃんは商店街の八百屋さんで同級生には東京に行く人とか大学行く人とか、今までみたいにもう毎日は会えなくなるんだよね。


「理笑、何泣いてんの」

「え、うそ。なんかみんなのこと考えてたら泣けてきちゃった」

「はは、卒業式で泣かないで今泣くって最後まで理笑全開だね」

「だってなんか悲しくなっちゃったんだもん」

「でもうちらはいつでも会えるよ。だって徒歩1分なんだから」

「そうだね、毎日行く!」

「いつでもおいでーーー。理笑!」


せっちゃんは思い出したように立ち止まって私の手を取って言った


「理笑、卒業してからもなんとかなるって言ったでしょ。笑顔の郷、頑張れ」

「うん!ありがとせっちゃん」


それだけ言って私達はまた歩き始めた。別れ際「私も虹笑見にあんたのとこ行くからね」とだけ言ってせっちゃんは帰って行った。せっちゃんには虹笑を引き取るって決めた次の日にあったことを全部話した。私が笑顔の郷で働くって言ったらすごく喜んでくれた。


「ただいまー!」

「おかえり」


母の声だ。虹笑を抱っこしたまま近づいてくる。


「はい、これ。理笑今日からビシバシ働いて貰うよ」


貰ったのは食材が書いてある紙と母の財布。買ってこいってことだね。紙にはひき肉に玉ねぎに牛乳に今日の晩御飯はハンバーグかな。私の大好物だ。


「ほらつっ立ってないではやく着替えて行ってきなさい」

「はーーーい」






 

 

 

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えがお まめふく @mamefuku68

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