ハンデ付き再対局

@tsukishiro_sun

第1話

焦燥感に包まれながら、暗くなった街を歩く。


**


何にも手がつかず、けれど、何か気がまぎれるものを探す。そんな日々が続いた。

この一週間、すぐに手を出せて、それも家から出ずにできることーー詰碁や詰将棋の本を小学生ぶりにクローゼットから引き出して解いてみたりした。

そんなことをしても、すぐに気がまぎれないことに気づいて辞めた。


家にはもう何もない、外に買い出しにいこうと外にでた。

外に出て、向いのコンビニに行こうと道路を横切ろうとしたら、車にはねられた。

その直前に「人生そんなもんなんだな」と思った。よけれないし、よけられない。


そう思った記憶があるということは、生きているということだ。

今、自分の目線の先には天井がある。目線を横にやるとカーテンがある。

自分の身体に目をやると、目立った傷がない。おかしい。

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