第37話 魂の半身

 魂の半身は別々の場所で生まれた。

 魂の半身は生まれた時から半身がないので、本当の自分がわからない。

 本当の自分をとり戻すのだ。自分の半身を探せ。

 男は家具商人で、女は薬剤師だった。

 男は魂の半身を男だと思っていた。

 女は魂の半身を女だと思っていた。

 父と母が異なって生まれたが、魂の半身である。

 男は、自分が薬剤師だといううわさを聞いて、不思議がった。

 女は、自分が家具商人だといううわさを聞いて、不思議がった。

 見知らぬ土地に自分の痕跡がある。

 同じ体をもって生まれたはずだったおまえたちが、引き裂かれて生まれたのは、何のせいだ。

 出会えない系の半身たちは、待ったり、探したり。

 魂の半身が別の場所で生まれたのは、ネガティヴの悪魔のせいだ。


 ネガティヴの悪魔は自信がなかった。

 ネガティヴの悪魔は行動力がなかった。

 ネガティヴの悪魔は勝ち切ることができなかった。


 魂の半身は、ネガティヴの悪魔によって別々の場所で生まれる。

 そして、魂の半身は出会った。己の半身を見つけた。

 見つかってしまった、魂の半身が。

 なぜ、見つかったのかわからないが、見つかってしまったのだ。

 本当の自分とは、愛だった。

 半身は、男でも女でもなく、愛を伝えるものだった。

 愛がネガティヴの悪魔に引き裂かれていた。

 半身たちは、自分を見つけた喜びで、とても幸せだ。

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