第5話 SOFT BALLETとシーケンサー

SOFT BALLET、噛み砕いて言うと日本のテクノロックバンドです。それ違うとその界隈の方に言われても、そう一言で説明せざるしかないです。


テクノロックバンド、現在ありふれているじゃないですけど。SOFT BALLETはまあ規模がまるで違います。

1990年11月28日発売のミニアルバム『3 (drai)』(注.1)の全国ツアーを札幌のライブハウスPENNY LANE 24で見たのですが、入っていきなり度肝抜かれました。フルラック5,6台に、アカイのサンプラーS1000・S1100、そしてローランドのシーケンサーMC-500mkIIが敷き詰められ、無人でSEのアンビエント曲を奏でてました。音楽はここまで来たのかと、一気に未来見せられました。

YMOでさえ、ほぼ人力演奏だったのに、驚愕せざる得ませんでしたね。


とは言え、いざライブが始まるとメンバーがきっちり介在します。

サポートギターの石塚伯広さんが唸らせ、サポートドラムの上領亘(注.2)さんもトリガーを使いつつ圧倒的なドラミングを魅せます。

シーケンサーが走るのは、ほぼ上ものと呼ばれる単音シンセ、ストリングス、グロッケン、ヒット音、ピアノも敢えてそれだったかなと。あとドラムマシンのシーケンスもですね。

それではフロントメンバーは何しているかというと、ボーカルの遠藤遼一はクールに熱唱、藤井麻輝はこの時期はギター持っていなかったのでシンセと言うよりはパーカッション、森岡賢はシンセをたまに弾くも踊ってはくねってはいました。エンタメ違うと言っても目で楽しめましたね。


そのライブ演奏って、現行のバンドのあるあるでしょうけど、現在ではmacbook1台でほぼ補完出来ます。

四半世紀前はどうやっていたかと言うと、それこそフルラック満載の機材群です。今にしてみれば、総費用でスーパーカー買えますよね。


まあ、それだけ機材あれば音楽なんて容易いと思うでしょうけど、そこはnonで。

私も音楽やっていて、MC-500mkIIの普及期MC-50使っていましたが、全然使いこなせませんでした。1ソングで最大16トラックを作成出来るのですけど、今のDTMと程遠くモニター画面がえらい小さく全然視認性が有りません。手元の譜面びっしり書いてから入力していかないと完成などしません。思った以上に気軽に音楽作れなかったなと。


その変遷と、開発メーカーへのフィードバックがあればこそ、今日ここの音楽制作ですよね。

何と言うべきか、平成の音楽機器はシーケンサーとの格闘に明け暮れ、現在のPro Tools始めとする波形処理との格闘に移行する訳です。



昔のシーケンサーは大変だったと書いて、漸くSOFT BALLETに触れますけど。アルファレコード時代の前期のSOFT BALLETのオリジナリティが好きです。『EARTH BORN』『DOCUMENT』『3 (drai)』『愛と平和』本当飽きないですよね。

コアな方程、ビクターの後期時代が好きと言えば、諸手を上げて喜ばれますけど。まあ確かに唯一無二の音色は好きですけどね。私は、やっぱりそこまでの境地には辿り付けないのですよね。


そう、前期のサンプラーとシーケンサーで奮闘する姿勢が、どうしても好きなのですよね。人智を越えたシーケンスにライブでの爆音サウンドも、オーディエンスは驚愕しかなくて、そのライブでの積み重ねが『愛と平和』のチャートインに繋がる訳です。ある雑誌ではチャートの1位にまで上り詰めたので、えっつ、このサウンド受け入れちゃうの、平成とんでもない時代になったなと、切に思った次第です。


そして平成の次の新時代の幕開けもそこです。とんでもない音圧のバンドが現れて欲しいけど、もう一巡してるしと思いつつ…思い切って、SOFT BALLET復活しないものかなと。

森岡さん召されたけど、遠藤さんと藤井さんならゲストメンバー迎えて、前期のサウンドだけでも充分受け入れられると思うのですよ。復活後YMOの様に、何をやっても目新しい解釈でステージに立たれると、SOFT BALLETにも出来ない訳も無いと思う次第です。



最後の動画は、前期のアルファ・後期のビクター・復活のワーナーも、公式動画有りませんのでパスします。

この状況何時迄もよく有りませんよね。原盤一括管理の為に、SOFT BALLET復活しても、全然格好悪くないですよ。本当に。




『3 (drai)』(注.1)

SOFT BALLETのミニアルバム。全アルバムで通しで聞くと、実に等身大かなと思います。自然体の「BACK LASH」もクリスマスソング的な「EXIST」も最高。この上に遠藤藤井森岡諸氏のソロ曲も有り、充実感有ります。

札幌公演のもはやクリスマスシーズンに聞いた「EXIST」。聞く度に初雪が舞い降りようかの彼の地を思い出します。作曲した賢ちゃんいないけど、クリスマスは毎年巡ってきます。


上領亘(注.2)

元GRASS VALLEYのdr担当も方向性の相違で脱退。時置かずSOFT BALLETのサポートメンバーに入ります。いやサポートと言うか、ブレイクアルバムの『愛と平和』では思いっきりラウドネスなドラム叩いているので、本当におかずたっぷりのドラム叩いていたGRASS VALLEYの方だったのかなと信じられません。

因みに札幌公演では、賢ちゃんが「グラスからソフトへ〜♫」と「BODY TO BODY」のメロディーに乗せてメンバー紹介していました。他の会場でもやってたのかな。


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