第17話
「これからどうする?」
「え?」
どうするも何も、帰らないと
「帰っても1人でしょ?」
「そうだけど……」
私は計画上既に死んでいるから、その時点で計画が狂っている。
「どうするも何も、私にはもう選択肢はないでしょ」
「俺はあると思う」
……え?
「ど、どういう選択が?」
「生きるか死ぬか」
……「ざっくりしすぎ」
はははってまたサキが笑う。
「もう死にたくない?」
「……わからない」
「俺、優衣が好きなんだ」
「え、……」
「俺は優衣に来て欲しい」
「そ、そんな、……はは、ひどいー、私に死ねって言ってるじゃん」
冗談ぽくそう言ったけど、サキの"来て欲しい"は……ずっしりと重かった。
「俺はお前に幸せになって欲しい」
「……」
「この先お前がこの世に留まっていてもあんまりいい未来は期待できないと思う……」
「それは……そうかもしれないけど」
死んで欲しいと言われたら、死ぬのを躊躇ってしまう。たとえオブラートに包まれていたとしても意味は同じだ。
「だから、一緒に来世にいこう」
「……は?どうやって?」
「優衣は知ってるだろ?行き方」
「いや、知らないけど」
「あの時と逆方向に行くだけだよ」
「え、でもあれは私が見た幻想でしょ?」
サキが黙った。
え?違うの?
「確かに優衣が見たものは幻想だよ。でも、もしあの時来世を選んでいれば、俺はそれなりに誘導して、来世に行けた。」
「……???」
「俺が半ば強制的に、優衣にこの世に戻る方を選ばせた。選択が2つあるように見せかけて、本当はこの世に戻る選択しかない、という訳じゃないんだ。来世に行こうと思えば行けたんだよ」
「え……来世に……いけるの?」
「行こうと思えばね」
「……サキも?」
「……それが、わからない」
「え?」
「俺は、死んだ今も尚、この世に留まってる。だからどうやって来世に行けばいいのかわからない。」
「……行こう、一緒に!」
「……え?」
「え?って、サキが言い出したんじゃん!」
「でも……」
「2人でなら、必ず辿り着ける」
「え、本当?」
「いや、わかんないけど……」
「なんだよ笑」
「私もサキが好きなの…」
「え……」
「だから、来世に行って、お互いの事を忘れて、1からやり直すの」
「優衣……」
「それが私達にとってのベストだと、思う」
「………」
サキは目に涙を溢れさせていた。鼻をずるずる言わせて、小学生のがきんちょみたいだった。
そんなサキが、大好きだから。
本当に本当に、離れることに決めた。
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