第16話
「俺ら死に場所も死に方も一緒!」
「嬉しくない」
ふふ。
やっと会話ができるくらい落ち着いた時は、サキと隣に座って笑っていた。
「そう言えば、あれはなんなの?私異世界に行ってたわけ?サキなら分かるでしょ?」
「え?何が?」
「え、だから、、その、私がこの世に戻るとか言ってたの。あれって、私はあの世にいた訳?」
「え?この世だけど」
「……ん?いやいや、大きなトラックとか、暗い道とか、そのー、トンネルとか、電車?サキが誘導してくれたじゃない。」
「……ああ……あれは、ここだけど」
「???」
「あの後この世に戻るって、ロープ取って、神社から、駅まで戻ったんでしょ?帰ったんでしょ?」
「……え。」私が。「自力でこの道を?」
「え、うん」
「いや、私、読めない看板とかあったよ、ほら、それにマイガハラとかいう終点」
何言ってるの?といわんばかりのサキの顔。
「終点はマイガハラじゃなくて、笹柳じゃん。俺らの地元。それにマイガハラって、お前の名前じゃん。舞ヶ原 優衣。」
……あれ?そうだっけ。。
「なんか不思議な体験をしたみたいだけど、自分の名字が駅名に見えたとか」
ぎゃははっとサキが笑う。
「いや、違」
「よっぽど思い出したかったんだよ。自分の記憶。」
「……え」
「思い出したい、自分のことだし。でも脳は思い出してしまったらこの上なく辛い思いをするって、制御してたんじゃない?」
……ああ……
「心と身体が思うように動けなくて、居心地悪かったんだね。だから変な体験したって思ってるんだ。」
……そう、なのか……
「戻った後のことは知らないけど」
「改札抜けたら、病院だった」
「え!?ほんと?それ記憶ぶっ飛び過ぎてない?」
え、そうなの?
サキが ふっと笑うから、
私もつられて笑う。
私は異世界にとんだんだ、とか思っていたけど、その時のサキの見方と私の見方が違っただけで、
私達は同じ世界にいたんだ……。
いや、サキは幽霊、なのか?だとしたら世界違うじゃん。
まあもう、なんでもいいや。
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