4.運命の親友
婚活って……我ながらとんでもない言い訳考えたわねぇ。
いくら慌ててたとはいえ、もうちょっとマシなこと言えなかったのかしら、私ってば……。
まぁこの世界じゃ二十歳ぐらいで結婚するのが一般的だし、そう変な話でもないのが救いね。
「そっか……まぁ、学院で見つけられたら玉の輿だもんねぇ」
「そうよねそうよね? だからよ!」
学院には貴族やお金持ちの男子がいっぱい。
一部私達みたいな庶民もいるけど、推薦を受けるぐらいだから将来有望だものね。
意外とラフィも納得してくれそうだし、このまま勢いで押し切っちゃえ!
「まぁあれよ、条件が良かったとしても気の合う合わないもあるし、とりあえず知り合ってみたいな~っていう程度の気持ちなんだけどね? でも、選択肢は多いほうがいいかな~っていうか?」
「ドライだねぇ……シェリーってばせっかく可愛い顔してるのに、言ってることが残念だよ……」
「いやでも、選択肢や経験ってわりと重要じゃない? 色んな人も見ておかないと、失敗しちゃうわよ?」
って、オネエさんがテレビで言ってた気がする。
「ま、それはそうかもしれないけどさ~」
恋バナ好きのラフィも、現実と理想の差は分かってるみたいね。
一応、納得してもらえたみたいで良かったわ。
「わかった、そういう事なら色々と情報を集めてみるよ。聞きたいことがあったら何でも私に言ってね!」
「やーん、ありがとう! ラフィってばサイコ~♪」
やっぱり持つべきものは友ね!
これで今後は、ラフィから攻略対象の情報を聞けるわ!
……って、あれ?
攻略キャラの最新情報をあれやこれやと教えてくれる人物。
乙女ゲーによくいる便利キャラというか、サポートキャラっぽいわ……。
これってもしかして、そういう流れだったりするのかしら?
ラフィと友達になったのは去年だけど……。
そっかぁ、ラフィと友達になるのは決まってたことなのね……。
……運命の親友、ってやつね!
シェリーとラフィは……ズッ友だょ……!!
***
「シェリー、良い情報だよ~♪」
入学式と始業式も終わり、さぁ帰ろうというタイミングでラフィが飛びついてきた。
周りの席の子達がちょっと驚いてたけど、ラフィは全く気にしない。
まぁ、私もあんまり気にしないけどね。
ちなみに、今年もラフィと同じクラスだから安心したわ。
「情報って、朝に言ってた第三王子のこと?」
「そう! 今、一人で中庭にいるんだってさ。本人を見てみるには丁度良い機会じゃない?」
「ホント?! 行く行く!」
急いでカバンを取り、ラフィと教室を出る。
王子様は人気者らしいから、モタモタしてたら他の人に先を越されちゃう!
声を掛けてどんな人物なのか確かめてみたいんだけど、周りに人がいないタイミングが一番良いものね。
急げ急げ~い!
ラフィの案内で辿り着いたのは、校舎にある中庭の一角。
相手に気づかれないよう、なるべく物音を立てないようにそーっと近付く。
ターゲットはまだ一人っきりかしら……っと、いた!
王族特有の黒い髪に黒い瞳。
歴代の王がこれまでに散々美人のお嫁さんをもらってきた証拠であろう、整った顔。
更にはお肌のキメや髪の艶が違いすぎるせいで、他の男子とは違う人種に見えてしまう程。
同じ制服を着ているはずなのに、こうも差が出るとは……現実って残酷よねぇ……。
「うっわぁ~、これが王族の力ってやつなのね……」
「すごいよね……。んで、どう? シェリー的には合格?」
物陰に隠れたまま、二人でこそこそと話し合う。
「合格を通り越して選外にしたい気分だわ……」
「どういう意味?」
「あれだけおキレイだと、隣に並ぶのがイヤになりそうじゃない?」
綺麗過ぎる人って、むしろ近付きたくならないのよね……。
遠くで見てる分には目の保養なんだけど……。
「言いたいことも分かるけど、シェリーだってかなりの美人でしょ」
「うーん、まぁ自分でも顔は良い方だとは思ってるわよ? でもね、お肌のツヤツヤふっくら感とか、そういうところで負けてるっていうのも女心がフツザツで……」
「あぁ、それは少し分かるわ……」
いくら私に主人公補正があろうとも、所詮は庶民。
王子様とは美容にかけられる金額が違うのよ!
まだ十代だからいいけど、これから先はすごい差になってきそうで怖いわ……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます