「ありがとうございXXX」

最近は痛風気味

感謝の意

 私は、「ありがとうございXXX」という言葉が、嫌いだった。家業が商売をしているという事もあり、お代を頂戴したお客様に、父がその言葉とともに店からお客様をお送りするのであるが、対価に対する媚び諂いに聞こえて幼ないながら嫌悪感を覚えた。とはいえ、その言葉が父の口から出なければ、私の今は無い。


 私は高校時分、鮨やでアルバイトをした。其処の大将は、「有難う御座いまして」と送り出していた。当時は、然して気にも留めなかったが、今思うと心地良い響きだと思う。「〜した」では、その場で終わるようで、何だか味気ない。

「ありがとうございました」のフレーズは、スポーツ等の試合終了後の挨拶には適当だが、こと商売となると、如何なものかと残心だ。

 商売に限らず、人間関係に於いても感謝の心があってこそ成り立つ。

たかが語尾、ひいては一字で人の心が動く時もある。日本語の素晴らしさ、難しさを痛感する。

「覆水盆に返らず」で、口から出たものは、取り戻すことが出来ない。

感謝の心は言葉で表す事が多々あるが、誠意と共にあるものだ。上っ面では明け透けだ。

 人に感謝の意を伝える事は難しい。だが、些細なことを変える、考えるだけでも人の気持ちは変わる。私の感謝は、人に届いているだろうか?

 かく言う私も感謝の意は「ありがとうございXXX」を使うが、気持ちを込めて言う事を心掛けたい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

「ありがとうございXXX」 最近は痛風気味 @Kdsird1730

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ