Code:RAVEN

久連 詩稀

Code:RAVEN-暁-

第1話 プロローグ

 鳥籠の中の鳥は憐れだ。


 よくそんなことを言えると思う。


 自分が鳥じゃないから?

 自分は籠に入れられないと思ってるから?

 それとも、自分は正義の味方だとでも?



 私はこの世界のこと、鳥籠みたいだって思ってるよ。



 これは私が日記の一ページ目に書いた一文。

 "社会の歯車"という見えないものに人を勝手に組み込んで。

 "マナー"だ? "ルール"だ? あげくに"他人を思いやれ"って?

 

 笑っちゃうよね。


 じゃあ聞くけど、社会の歯車に成り下がったところで私は何になるの?

 マナーって何、それを守ったら何になるの?

 ルールを守ったら何になるの?

 他人を思いやって何になるっていうの!


 私のことを思いやってくれないくせに、自分のことは思いやって欲しいって?


 笑いすぎて腹筋がよじれる。


 じゃあこの現状は何?


 私がいじめられてるこの現状は何だって言うの。

 学校に行けば机には落書き。

 トイレにいれば水をかけられ、金はカツアゲされ、終いには殴られる。


 私が何をしたんだ?


 なあ、マナーって、ルールって、他人を思いやるって何だって言うの!


 結局、この世界はこの程度。


 所詮、この程度なのだ。


 鳥籠の中の鳥が、隣の籠を見て「憐れ」だというのが滑稽なのと同時に、あなたがそう思った時点で滑稽なのだよ。


 だけどもし。


 空想してしまう。


 どうにかならないとは知ってるが、もし。


 この鳥籠から出られたのならば。


 いや、出られなくてもいい。


 出られなくてもいいから、どうか。


「私に友達をください」

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