舞台脚本集

ほずみ

死人に口なし(50分程度)

登場人物

・荒木…男性、法学部二年、天文部所属

・穂坂…女性、理学部二年、天文部所属

・柳瀬…男性、経済学部三年、天文部所属

・佐伯加奈子…女性、薬学部二年、学生自治会所属

・不二…男性、二十六歳、捜査一課の警察官

・佐伯…女性、捜査一課のベテラン警察官

・穂坂のお母さん…五〇歳前後、スーパーのパート


舞台上には机一つと椅子二つ、舞台下も使うので段差等用意しておく。

難しい場合は適宜やりやすいように変更してください。


薄暗い中で舞台下中央に柳瀬が立っている。

柳「十分後、俺たちは再会する。みんな元気かな。あの頃は楽しかった、あの時までは。丁度、今日みたいな気持ちのいい晴れの日だった」

明転

柳瀬が学校(下手)を伺っている。そこに荒木がやってくる。

荒「おはようございまーす」

柳「おう、おはよー荒木、日曜なのに早いなー」

荒「柳瀬さんも。集合時間まであと一時間はありますよ」

柳「俺は早く行ってレポートやってようと思ってさ」

荒「またやってないんですか?」

柳「今回のはもうちょっとで終わるんだって。荒木は?」

荒「僕はゼミの資料取りに来ました」

柳「かーーー真面目くんめ」

荒「で、どうしたんですか? 部室集合じゃないですか」

柳「それなんだけど。あそこ見てみ、サークル棟の前」

荒「んーと、何人かたむろってますね」

柳「たむろってる奴らの服、ちゃんと見てみな」

荒「…あ、もしかしてあれって鑑識ってやつですか?」

柳「少なくとも火曜サスペンスの鑑識はああいう格好してる」

荒「じゃあ学校の中に科捜研とかいるんですかね」

柳「火のない所に科捜研は来ないって」

荒「ということは?」

柳「サスペンス?」

荒「ええ、それ入れないやつじゃないですか」

柳「かもね。部活もなくなるんじゃない」

荒「マジかあ」

柳「いいじゃん一日くらい」

荒「いや、でもなあ」

柳「あ、もしかして荒木お前」

荒「なんすか」

柳「穂坂ちゃんと会えなくなるからか?」

荒「穂坂? なんでまた」

柳「荒木ィ、俺は知ってんだぞ。お前、穂坂ちゃんのこと好」

荒「あー! きっこえないですね!」

柳「照れんなって小学生かよ」

荒「すいませんね小学生で! この前も高校生と勘違いされましたけど!」

柳「バタービールでも飲んどけよ」

荒「こちとら本物飲めるんですよ」

柳「サッポロ黒ラベルとか?」

荒「僕アサヒのほう好きですね」

柳「アサヒィ」

柳と荒「スーパードルァーイ」

荒「言ってる場合か」

柳「まあまあ落ち着け素直になれよ」

荒「煽っといてよく言えますね」

柳「いいだろ。穂坂ちゃん可愛いんだから」

荒「可愛いですよね」

柳「ゴリゴリのコミュ障なのが難点だけど」

荒「テンパる姿も可愛いですし。はぁ、」

荒&柳「ワンチャン付き合いてぇー」

荒木はびっくりして柳瀬を見る。柳瀬はそこそこ真剣な顔。

柳「お前だけだと思ったら大間違いだぞ」

荒「そ、そんな…いやでも、穂坂は」

穂坂が上手から来る。

穂「私?」

荒&柳「ウワーーーーー」

荒木と柳瀬は冷静を取り繕う。穂坂はびっくりする。

荒「あー穂坂おはよ」

柳「おはよう穂坂ちゃん」

穂「おはようございます…なにしてるんですか」

柳「そう! 忘れてた、今悩んでんだよ」

荒「悩んでる?」

柳「俺、サークル棟入りたいんだよね。レポート提出今日なんだけど、使う資料部室に置いてきちゃってさー」

荒「なにやってんすか」

柳「なあ入っちゃダメかな」

荒「入っても止められるんじゃ」

柳「いいや俺は入る。玄関が駄目なら窓から乗り込むぞ」

荒「そんなアグレッシブな」

柳「なあ穂坂ちゃん入ってもいいよな?」

穂「ぅえ」

荒「やめといた方がいいよね?」

穂「あ、、、えっと」

柳「ほら、パッと行って帰ってくればバレないって」

柳瀬は一人学校(下手)に向かう。

荒「えっ待ってくださいよ!」

荒木と穂坂は顔を見合わせる。

穂「…行く?」

荒「行くかあ」

荒木と穂坂も学校へ。

柳声「おっ来た来た。すぐ入れそうでしょ、ここ」

荒声「マジで窓から入るんですね」

柳声「いよっと。ほら、おいでおいで」

荒木と穂坂もそれぞれ学校に入る。

っていう体で舞台上の下手から学校の中へやってくる。

柳「おー誰もいない」

荒「早く帰りましょうって」

柳「こんなに誰もいない学校もレアだよね」

荒「ちょ、声大きいですって」

柳「レアついでに警察に出くわしたりして」

上手のほうへ向かおうとするが、丁度その時不二が上手からやってきて、出くわす。思わず立ち止まる三人

不「出くわしちゃうぜ、警察」

三人は慌てて下手に逃げようとするが、下手から佐伯がやってきて退路を塞ぐ。

佐「出くわしちゃうよ、警察」

不「確か玄関は封鎖してたと思うんだがな」

佐「少なくとも二時間は前からね」

不「佐伯さん、どうします?」

佐「そうだね、すこーしお話聞こうかな」

佐伯はゆっくり下手にはける。

不「だ、そうだ」

荒「と、いうと?」

不二はいい笑顔になる。

不「署までご同行願おうか」

三人は顔を見合わせて、同時に叫ぶ。

「やっちまったーーー」

三人は不二に上手に連れてかれる

(2秒くらい暗転からの明転、もしくは照明を変える)

上手から不二と柳瀬が入ってくる。

不「ほら、入れ」

柳「おじゃましまーす」

不二は柳瀬を座らせてから反対側の椅子に座る。

柳「えー事情聴取とかはじめてッス」

不「だいたいそうだろうな」

柳「カツ丼出ます?」

不「出ねえよ」

柳「じゃあ特上寿司」

不「出るわけねえだろ。質問するの俺の方だからな」

柳「すんませーん」

不「まず名前と学年、所属を聞こうか」

不二はメモしながら話を聞く。

柳「はーい。柳瀬祐人、経済学部三年。天文部所属でーす」

不「柳瀬さんだな。じゃあ一つ目。さっきはどうしたんだ」

柳「あー、忘れ物取りに行ってました」

不「そうか、なに忘れたんだよ」

柳「レポートに使う資料」

不「いや回収して来いよ」

柳「あんたらに出くわしたから取り損ねたんだろ」

不「悪かったな!」

柳「それだけ?」

不「まだだ。校舎にはどうやって入った」

柳「窓から」

不「窓!?」

柳「いっこ鍵壊れてる窓あるんで」

不「よく知ってるな」

柳「いつ学校に閉じ込められても逃げれるんすよ」

不「そんな閉じ込められねえだろ」

柳「いや、ありますって。例えば夜セコムに引っ掛かんないように逃げる時とか」

不「早く帰れよ」

柳「それが俺ら天文部なんで、夜にならないと始まらないんスわ」

不「なるほど、大変だな」

柳「ええ、闇鍋とか人狼とか夜の方が楽しいでしょ」

不「それは帰れよ」

柳「とにかく、俺たちは怪しくないですって」

不「それを判断するのはこっちなんだが」

柳「えー、だって何もやってないもんなあ」

コンコン、とノックの音。佐伯が入ってくる。

佐「不二君、入るよ」

不「佐伯さん、お疲れっす」

佐「うん。柳瀬さん、次は私とお話しよっか」

不「えっ」

柳「いいっすよー」

不「どういうことっすか」

佐「お前は無駄口叩きすぎだ。ほら、どきな」

佐伯が不二の肩を押して不二を椅子からどかす。不二は戸惑った様子で佐伯に席を譲り後ろから様子をうかがう。

佐伯はゆっくり座る。

佐「私は佐伯といいます。よろしくね」

柳「よろしくお願いしまーす」

佐「早速なんだけど、君が使った窓の場所聞いても良い?」

佐伯は学校の地図を持っていたファイルから取り出す。

柳瀬は窓の場所を指差す。

柳「はい。ここっすね」

佐「ありがとう。窓が壊れていることはみんな知ってるのかな?」

柳「いや、知らないんじゃないっすかね。俺も部室の近くだから知ってるだけなんで」

佐「そっか。じゃあまた違う質問なんだけど、昨日の夕方四時から六時頃までは何してたかな」

柳「その時間は、確か部屋にいました」

佐「誰か一緒にいた?」

柳「いや、一人でした」

佐「なるほどね。天文部って言ったっけ?」

柳「はい」

佐「じゃあ、大変だったね。色々ドンパチしてさ」

柳瀬が少しだけ固まって、怪訝な顔をする。

柳「どういうことっすか?」

佐「第一発見者が用務員でね、通報が朝早かったんだ。もう捜査は始まってるんだよ」

柳「だから、なにが」

佐「被害者ね、きっと君が嫌いな人だよ」

不「ちょ、佐伯さんあんま言わない方が」

柳瀬はじわじわと緊張した面持ちになる。

柳「もしかして、本当に殺人事件?」

佐「…あんまり情報を漏らすのは良くないんだけどね」

柳「マジか…おい待て、被害者は誰だって」

佐「薬学部二年、学生自治会所属…佐伯加奈子さん」

柳瀬はガタッと立つ。

柳「…あいつかよ」

佐「そろそろお昼だし、ここらにするかな。ご協力ありがとう」

柳「…ウッス」

柳瀬は混乱した様子で立ち去る。上手にはける。

佐「被害者の事、やはり知っているようだね」

不「…どうします、あの三人」

佐「徹底的に洗え。怠るなよ」

不「了解」

不二は上手にはける。

暗転 佐伯ははけて大学生ズは座っておく

明転、柳瀬の部屋

柳「第一回、勝手に捜査会議~~~!!」

※東海オンエアのノリ

荒「柳瀬さんの部屋初めて来ました」

柳「片付いてるだろ? なー穂坂ちゃん」

穂「ぅえ」

荒「でもほんとにやるんですか?」

柳「やるよ。だって暇だし」

荒「不謹慎ですね」

柳「急に部活休みになってもやる事ないじゃん」

荒「暇つぶしじゃないですか」

柳「別にいいだろ、なー穂坂ちゃん」

穂「ぇあ」

荒「柳瀬さん、穂坂困ってるじゃないですか」

柳「そうなのか? 黙ってちゃ分かんないぞー穂坂ちゃん」

荒「穂坂も好きでこんな性格してるんじゃないですよ」

柳「そうなのかー穂坂ちゃん?」

荒「柳瀬さん~~」

柳「やだあ荒木さんこわあい(裏声)」

荒「は?」

柳「こわいわあ前世はエチゼンクラゲだったんじゃないの(裏声)」

荒「なんですかその雑ないじりは」

柳「怖いだろエチゼンクラゲ」

荒「エチゼンクラゲになんか恨みでもあるんすか」

柳「ねえよ。それより捜査会議だ! 俺ら多分疑われてるじゃん?」

荒「考えすぎですって」

柳「いいや疑われてるね! じゃないと犯行時刻のアリバイなんて聞いてこないって!」

荒「疑わせとけばいいじゃないですか」

柳「我慢ならないんだよ。こうなったら俺が犯人捕まえてやる!」

荒「プロに任せときゃいいじゃないですか」

柳「そのプロに疑われてるんだよ俺たちは」

荒「はあ」

柳「まずは犯行時刻だ」

荒「確か夕方四時から六時ごろですっけ」

柳「俺、アリバイ証明できないんだよなー穂坂ちゃんは?」

穂「買い物に行っていたけど、レシート捨てちゃいました」

荒「僕は図書館にいましたけど、たぶん職員は僕の事覚えてないですね」

柳「それぞれ犯行できる説はあるわけだ」

荒「犯行現場も人気のない所でしたし」

柳「え、そうなんだ」

荒「聞かなかったんですか? サークル棟横の倉庫裏ですよ」

柳「倉庫って、俺らが使った窓の真ん前じゃん」

荒「だから疑われてるんですかね」

柳「ついてないなー」 ※ここらからじわじわシリアス

荒「で、あとは整理することありますかね」

穂「被害者の事とか」

柳「あ、それだ。…加奈子なんだよね」

荒「そうみたいです」

柳「荒木、仲良かったよな?」

荒「はい、僕も自治会入ってますし。実感はないですね」

柳「ないよな。そっかあの子か。佐伯加奈子」

下手舞台下に加奈子が現れる。動作等は演出に任せる。

柳「学生自治会所属。荒木たちと同期で、才色兼備の優等生」

荒「学内でも有名人でした」

柳「ま、おおかた悪い意味でね」

荒「彼女はやりすぎたんだ。そりゃあ、やろうとした事は分かるけど」

柳「予算を大幅に見直そうとしたんだよね」

荒「ええ、ずっと赤字続きだったので」

柳「でもやりすぎだよ。サークル潰しなんて」

荒「穂坂、茶道のサークルと掛け持ちしてたよな」

穂「うん」

穂坂のスマホが鳴る

穂「ちょっと、すみません」

穂坂は電話かけるのに上手にはける

舞台下の上手から穂坂が来る。加奈子に気付いてスマホをしまう。

加奈子に頼み込む。加奈子はそれを振り払ったり押しのけたりする。

荒「サークルを潰せば割り当てる予算は必要なくなる」

柳「結果を出してる所もあったのにね」

荒「多くあったサークルが、半分ほどになってしまった」

柳「さみしくなっちまった」

荒「それでは飽き足らず、部活まで潰しにかかってきた」

穂坂はがっくりして上手にはけ、舞台上の上手から戻ってくる

柳「活動内容を無視した独断だ。野球部は残ったのに軽音部は無くなった」

荒「僕ら天文部も、今年度で廃部が決定しました」

柳「しかも俺らは、抵抗しちゃったからさ」

荒「目を付けられましたね」

柳「次俺たちが入ったサークルは、十中八九潰されるだろうね」

穂坂が舞台上から下に投げかける。

穂「どうしてあんたはそうやって私の邪魔をするんだ」

加奈子は言い返すが、声は聞こえない。

荒「問い詰めたいくらいだけど」

穂「…死人に口なしだ」

穂坂は肩を落として座る。加奈子も下手にはける。

柳「まあ、恨みは結構買ってただろうね」

荒「それで殺すのもどうかと思いますけどね」

柳「俺たちが疑われたのも、動機がありそうだったからかな」

荒「そういうもんなのかな」

柳「気にすること無いよ。だって俺たちは誰もやってないんだから」

荒「関係ないですもんね」

柳「関係ないけど、でも加奈子だったんだね」

穂「昨日まで、元気にしてた」

荒「僕は昨日会えなかった。自治会室を覗いたときは、いなかったから」

柳「もしかしたら、その居ない間に」

荒「やめてくださいよ!」

柳「…ごめん」

重い空気。

荒「もうやめにしませんか」

柳「ああ、やめだやめ。気が滅入るだけだ」

荒「僕そろそろ帰りますね」

柳「おう。ごめんな、警察帰りに連れ込んじゃってさ」

荒「いえ。穂坂は?」

穂「…帰ります」

穂坂はかばんを取りに下手端に移動

柳「荒木、穂坂ちゃん家まで送ってけよ」

荒「え、いいんですか?」

柳「腹立つけどな、穂坂ちゃん実家勢だから少し遠いだろ。頼んだ」

荒「…分かりました。穂坂、一緒に帰ろう」

穂「? うん」

荒「じゃあ、お邪魔しました」

穂「お邪魔しました」

荒木と穂坂が下手にはける。

柳瀬は手を振って見送る。

柳「…さて、どうなるかな」

柳瀬は上手にはける。舞台少し暗くなる。

荒木と穂坂は舞台下に下手から入ってくる

荒「穂坂、ちょっと座ってこーぜ」

穂「どうしたの」

荒「このまま帰っても胸糞悪いだろ。飲み物奢ってやるからさ」

穂「わかった」

荒「じゃ、そこのコンビニ行ってくるから」

荒木は上手にはける。穂坂は舞台に座る。

穂「…どうして加奈子は、私の邪魔ばかりするんだ」

下手に加奈子が現れる。

照明はやや暗くなる。

加「仕方なかったのよ。こうするしかなかったの」

加奈子はじっと穂坂を見るが穂坂は気づいていない。

加「聞こえてないの? 死人に口なしって言うけど、貴方が聞こうとしないだけじゃない」

加奈子は穂坂に近づいて、割と大声で言う。

加「どうして貴方は、私の邪魔ばかりするんだ!」

加奈子は穂坂をぎっと睨んで、上手にはける。地明かりに戻る。

穂坂は上手の方を見る。

丁度そこに荒木が上手からお茶を持って戻ってくる。

荒「おまたせー」

穂「荒木、なんか言った?」

荒「え? 特におまたせ以外言ってないけど」

穂「そっか」

荒「はい、お茶で良かった?」

穂「うん、ありがと」

穂坂は荒木からお茶を受け取る。

荒「あ、もう夕暮れか。今何時だろ」

穂坂はスマホを見る

穂「6時だって」

荒「そっか、どうりで…今日は天の川よく見えるかな」

穂「もうすぐ七夕だね」

荒「てことはもうすぐ夏まつりかあ。去年はテストと被って…あと、凄い雨だったんだっけ。今年はどうだろうね」

穂「予報は晴れだよ」

荒「お、やったじゃん。楽しみだなー…あ、あのさ穂坂。もし良かったら、その…いや、何でもない」

穂「どうしたの?」

荒「何でもないよ、ほんと何でもないから」

穂「そう…荒木」

荒「な、なに?」

穂「夏まつり、一緒に行こう」

荒「え、」

穂「きっと楽しいよ」

荒「穂坂…! 行こう、絶対行こう! あー、めっちゃ楽しみ」

穂「ふふ、明日も会うじゃん」

荒「あ、やっぱり明日って普通に講義あるよね」

穂「そうじゃないかな」

荒「なんか行きたくないな。折角明日、天体観測の日なのに」

穂「木星見るんだっけ」

荒「そう。見てみたいな、縞模様」

穂「どれくらい大きいのかな」

荒「でも気分乗らなさそう。行くか迷うなあ」

穂「私は行く。今年で、無くなっちゃうから」

荒「あー、確かにそうだな」

穂「…あのさ、部活無くなっても、友達でいてくれる?」

荒「え、どうした急に」

穂「不安になって」

荒「そっか。大丈夫、僕は穂坂の側にいるよ」

穂「…ありがとう」

荒「いいや。よーし帰るか。課題まだしてないんだよなー」

穂「珍しいね」

荒「こっからやれば大丈夫でしょ」

穂「余裕だよ」

荒「よっしゃ。穂坂の家こっちだっけ」

穂「うん。ここでいいよ」

荒「え、送ってくよ」

穂「すぐそこだから」

荒「そこまで言うなら、じゃあここで」

穂「また明日」

荒木は下手、穂坂は上手にはける。

穂坂は上手から舞台上に入る。鍵を開けてドアを開ける動作

穂「ただいまー」

穂坂は椅子に座って一息つく。

穂「母さん、まだ仕事か」

テレビをつけるとニュースがやっている。

『本日未明、女性の遺体が発見されました。現場は大学構内の人気のない場所で…』

穂「だって、仕方ないでしょ」

穂坂うなだれる。

穂「…母さん遅いな」

『加奈子さんについて近隣の方は

「ええーって感じです。いい子だったのに」』

穂「そうでもないよ」

『「白昼堂々でしょう? 物騒ですね、早く犯人が捕まればいいと思います」』

穂「悪かったね物騒で」

『現在警察が殺人事件の疑いで捜査を進めています。次のニュースです。動物園からサルが逃げ出しました』

穂坂はテレビを消す。

穂「母さん遅いな。父さんはどこ行ったんだよ」

机の上にある写真を手に取って眺める。

穂「父さん、この顔しか知らないんだよな」

写真をまた机に置く。

穂坂の母が上手から帰ってくる。

母「ただいまー」

穂「おかえり」

母「あんた電気くらいつけなさいよ…そういやニュース見たわよ。あんたの行ってる大学じゃないの」

穂「ああ、そうだね」

母「怖いわねえ。あんた何かされてない? 大丈夫?」

穂「大丈夫だよ、心配性だな」

母「心配にもなるわよ。ほら、今もニュースやってるんじゃないの」

母がテレビをつけるとチャンネルを色々切り替える。(他のチャンネルの音声は脚本の最後に書いてあります)

そのうちテレビの音声フルバージョンが聞こえる。

母「あれ、佐伯加奈子ちゃんって…」

穂「知ってるの」

母「…いや、気のせいだわ。あんたは知ってるの、この子」

穂「まあね」

母「そう。残念ね、あんたと同い年じゃないの」

穂「そうだね」

母「学校行くとき母さんついてく?」

穂「やめてよ。過保護だな」

母「そう? でも心配くらいさせてよ」

穂「はーい」

母「あら、なつかしい写真持ってるわねあんた。どこにあったの」

穂「アルバム捨てる前に一枚とった」

母「そんなことしてたの。どうせもう会わないんだから、なくてもいいでしょ」

穂「父さん?」

母「そう。でも、こんな頃もあったわね。あんたはこの時二歳だったかしら。顔変わんないわねえ」

穂「…父さんってさ、どんな人だったの」

母「それは大きくなってからの約束でしょ」

穂「離婚っていうけど別れてから一度も会ってないの」

母「言わないってば」(食い気味)

穂「私、もう十分大きいよ」

母「駄目ったら駄目。ほら、ごはん置くから机片付けて」

穂「…うん」

母は下手にはける。穂坂は頬杖をつく。

穂「私もいなくなったら、母さん悲しむかな」

穂坂上手にはける

不二と佐伯が上手から入ってくる

佐「不二、本当に大丈夫か」

不「大丈夫ですって。心配しすぎっすよ」

佐「やっぱり私がやっても良いんだよ」

不「いや、俺じゃないと駄目です。もし自白だったら、佐伯さん殴っちまうでしょ」

佐「殴らないとは言い切れないね」

不「ほら、戻った戻った。ヤツが来ちゃいますよ」

佐「じゃあ、うまくやりなよ」

不「任せてください」

佐「…頼んだよ」

不「了解」

佐伯は上手にはけて不二は下手側の椅子に座る。

穂坂がノックして上手から入ってくる。

不「よぉ。元気だったか」

穂「はい、まあ」

不「どうしたんだ。急に話があるって」

穂「それが…あの、その」

穂坂はなかなか言う事ができない。

不「ゆっくりでいいよ。そうだな、世間話でもしようか」

穂「世間話ですか」

不「ああ。最近気になってる事とか」

穂「それなら…聞きたいことが」

不「お、なんだ」

穂「加奈子の母さんって、この前の刑事さんですか」

不二は気まずそうな顔をする。

不「…ああ。佐伯さんは、佐伯加奈子の母親だ。こういう時、普通は捜査から外されるんだが、本人の希望でな」

穂「きっと、辛いですよね」

不「ずっと、辛いだろうな」

穂「私だったら、犯人をこの手で殺してしまいたい」

不「佐伯さんも、法が許すならそうするだろうさ」

穂「もしかしたら、犯人にも事情はあるかもしれないけど」

不「それでも、殺したことに変わりはないからな」

穂「…不二さん、私言います」

穂坂は勇気を絞り出して言う。ぐっと頭を下げる。

穂「私が、やりました」

不「んな訳ねえだろ」

穂「…え、」

穂坂が驚いて顔を上げる。不二は呆れている。

不「呆れた。お前警察ナメてんだろ」

穂「そんな、私は自白を」

不「だから、お前が犯人な訳ないだろ」

穂「は?」

不「大体この前の証言は何だったんだよ」

穂「それは嘘を」

不「残念だが、お前の動きは全て裏をとってある。お前はあの時間、買い物をして帰っただけだ」

穂「…じゃあ、私は加奈子を殺せないの?」

不「ああ。俺たちはな、お前が思ってる以上に冷徹だぜ」

穂「…怖いですね」

不「そうだろ」

穂「正直、先を越されただけかもしれません。私も、あの子が殺したいほど嫌いだった」

不「警察の目の前でよく言うな」

穂「だから、いっそ私が殺したことにしたかった」

不「悪かったな、お前の無実を暴いてさ」

穂「…不二さんは、もう目星ついてるんですか」

不「犯人か?」

穂「はい」

不「ああ。あとは証拠を集めて退路を塞ぐだけだ」

穂「なんだ、無駄だったんだ」

不「もしかして、お前も検討ついてるのか」

穂「…証拠はあまり無いですけど」

不「そうか。俺は仕事戻るからな。お前も落ち着いたら帰れよ」

不二は上手にはける。穂坂はスマホを取り出して電話をかける。

穂「もしもし…私、どうしたらいいんですか」

暗転

シーン4 真相が明かされるシリアスパート

柳「いやーごめんね、また呼び出してさ」

荒「いえ。捜査会議ですか?」

柳「それはもう十分かな」

荒「ですよねー。じゃあスマブラですか?」

柳「いいや。お前に聞きたいことがあってさ」

荒「…何ですか」

柳「まどろっこしいのは抜きにする。荒木、加奈子を殺したのはお前か」

明転

舞台上に穂坂、荒木、柳瀬。上が今、下が回想

荒「どうしてそう思うんですか」

柳「まず疑問に思ったのは、事件現場を知っていたこと」

荒「僕の取り調べの時にはたまたまその話になったんですよ」

柳「それから、サークル棟に入り込む俺の後を追ったこと」

荒「犯人なら怪しい行動は控えるものじゃないですか」

柳「学校に入るのが目的じゃない。窓の真向かいの事件現場に何か残していないか見るため、もしくは残っていた足跡を踏み荒らすためか」

荒「言うだけならなんとでも言えますよ」

柳「最後に。穂坂ちゃんが、買い物からの帰り道でお前を見てる」

荒「え、」

穂「…急いでたね」

柳「お前、図書館にいたんじゃなかったか」

穂「荒木は、そんなことしないって思ってた」

荒「…そっとしておいてほしかったのにな」

穂「ねえ、なんで。どうして、こんなこと」

荒「…うるさいな」

穂「え、」

荒「うるさいな! どうしてって、全部お前のせいだよ!」

柳「やめろ荒木!」

穂坂に掴みかかろうとする荒木を柳瀬が止める。

穂「どういう、こと」

荒「どうもこうも…クソ、何から話したらいいんだ」

穂「荒木、どうしたの」

荒「近寄んな!」

穂「…側にいるって言ったのに」

荒木はバツの悪い顔をして座る。

荒「どうして、だっけ」

穂「うん」

荒「長い話になるけど、それでもいい」

穂「いいよ、聞かせて」

荒「そう」

荒木は大きく息を吸って吐く。

荒「加奈子に、僕の弱みを握られててさ。脅されたんだ、言う事を聞かなければ穂坂にバラすぞって」

穂「私に?」

荒「穂坂に一番知ってほしくないことだったからさ。やっぱりそれは嫌だった。それで、加奈子の要求を呑んだんだ」

穂「…加奈子の要求っていうのは?」

荒「そうだね、加奈子の補佐が中心かな。例えば、茶道サークルを潰すための資料づくりとか」

穂「え、」

荒「穂坂に秘密を知ってほしくなくて、穂坂の居場所を奪ったんだ。身勝手だよね。そこまでやったのに、それなのに。加奈子は天文部も潰して、そして僕の秘密を穂坂にばらそうとしたんだ」

穂「どうして、そんな事」

柳「加奈子は荒木と穂坂が嫌いだったからだな」

荒「柳瀬さん、」

柳「何で嫌いかっていうと、話は十五年前に遡るんだけどさ」

荒「柳瀬さんやめてください」

穂「そんな昔に、加奈子のこと知らないよ」

柳「知ってるよ。親父さんの事も、どうして自分が臆病な性格なのかも」

穂「知らないよ、そんなこと」

柳「知ってるんだよ。勝手に忘れてるだけだ。なあ、荒木」

穂「…なにがあったの?」

柳瀬と穂坂は荒木を見る。

荒「…十五年前、ある女の子が誘拐された。名前は佐伯加奈子ちゃん」

☆モブ=冬公演のモブ鬼の格好した奴 穂坂母、不二、佐伯役の人がやるといいかな?

舞台下の下手に加奈子、上手にモブが現れる。モブは加奈子を捕まえ、上手端に追いやる。

荒「誘拐現場を目撃して追いかけたのが、穂坂、お前だ」

穂「私?」

荒「ああ」

穂坂は戸惑った様子で舞台下に移動する。

荒「穂坂は警察に通報してから誘拐犯を追いかけた。しかし小さい子供のやる事だ、すぐに誘拐犯に見つかってしまう」

モブ鬼の格好した奴が穂坂を殴るジェスチャー、穂坂は殴り飛ばされる。

荒「そこに警察がやってきた。勇敢な警官たちはいたいけな子供二人を救おうとする」

下手からモブ鬼×2が来る

荒「しかし、警官の一人は誘拐犯が持っていた刃物によって、穂坂の目の前で殺される」

下手モブ鬼の一人と上手モブ鬼が中央で取っ組み合い、下手側が倒れる。

荒「なあ穂坂、その死んだ方、誰だ?」

穂「…父さん!」

穂坂は動転して父(モブ)をゆすったり声をかけたりするが、父は全く反応しない。

荒「その後、もう一人の警官が誘拐犯の腕を撃ち抜いて、事態はようやく収まった。撃った警官は」

柳「俺の親父だよ。そんで、誘拐犯は荒木の親父さんだ」

穂坂は上手のモブを見、次に荒木を見て、下手に後ずさる。

加「穂坂、あんたが出しゃばってこなければ、私は血の匂いなんて、つんざく悲鳴なんて知らなかった」

モブがゆっくりはけだす

加「今でもたまに夢に見る。それなのに、あんたは勝手に忘れてる。どうしてあんたは、あたしの邪魔ばかりするんだ!」

加奈子は中央で叫ぶ。

荒「だからって追い詰めなくてもいいじゃないか」

荒木は舞台下に移動。

加「無理言わないでよ! やっと忘れ始めたと思ったのに、こんな所であんたたちに会うなんて」

荒「僕も穂坂も悪いことなんてしてないだろ!」

加「あんたも穂坂も、存在自体が悪なんだよ!」

荒「そんなの、やってられるかよ!」

荒木は地面にあったブロックで加奈子を殴る(っていうマイム)

加奈子は倒れる。

荒「…凄いよね。縁ってあるものだと思わない?」

荒木舞台上に移動

穂「嘘だ」

荒「僕、聞いたことがあるよ。人は、トラウマが過ぎると忘れるんだって。でも、トラウマがありすぎて、穂坂は人が怖くなった。そういうことだよ」

柳「これが、荒木の弱みだ」

荒「僕、ずっと犯罪者の子供だって苛められてたんだ。親戚にだって村八分、母さんは実家に帰りがちになって」

穂坂は舞台上に移動

荒「穂坂の側が、僕の初めての居場所だったんだ」

穂「…私は、父さんの仇の側にいたの」

柳「おい、穂坂ちゃん」

穂「父さんを返してよ。いつか会えると思ってたのに。寂しかったのに!」

柳「穂坂!」

穂「黙っててください!」

柳「そいつがやったんじゃない! やったのは父親だ。そいつがやったんじゃない」

荒「こうなるから、嫌だったんだ」

穂坂は納得がいかないまま、気持ちを落ち着かせる。

穂「私の側で良かったの」

荒「穂坂がよかったんだよ。しがらみもなにもかも取っ払って、穂坂の側にいたかった」

柳「…でも荒木、お前は加奈子を殺した」

荒「ああ、結局親も子も」

柳「そうじゃない。一人の命を潰したんだ」

荒「…潰した」

柳「加奈子はもう二度と光を見る事ができない。思いを伝える事も、笑うこともできない」

荒「僕、取り返しのつかないことしたんだ」

柳「荒木は辛かった。そして、加奈子の親御さんは、これからずっと辛い」

荒「ずっと、死ぬまで辛いだろうな」

柳「ずっと、荒木を恨み続ける」

荒「ずっと、僕は謝り続けるんだ」

穂「…荒木はこんなことしないって思ってた」

荒「こんなことを、僕はしてしまった」

荒木は座り込んでしまう。

穂「荒木、自白しよう」

荒「…自白か」

穂「逮捕状が出る前に、一日でも早く」

荒「少しでも、勇気があったら」

穂「甘ったれないで。どうせあんたは、死ぬまで詫びるんだ」

荒「分かってるよ、痛いほど分かるよ」

穂「…私も一緒に行くから」

荒「え?」

穂「警察署まで、私が側にいる。側にいるよ」

荒「…側に」

穂「荒木」

荒「…なに?」

穂「話してくれて、ありがとう」

荒「…うん」

荒木は穂坂に連れられて、上手へはける

それを見送って柳瀬は下手へはける

穂坂母、下手から来て机を拭く

そこに穂坂が上手から来る

穂坂「ただいま」

穂坂母「おかえりなさい。今日のご飯はカレーにしたわよ」

穂「ねえ、母さん」

母「なあに?」

穂「父さんの話、聞いてきた」

母「…え?」

穂「最期のこと」

母「…うそ。誰よ、誰から聞いたの」

穂「友達だよ。荒木っていう」

母「荒木!? あんた、どうして母さんに言わなかったの!」

穂「言う訳ない。いちいち友達の事なんて」

母「殺されるかもしれないのよ!」

穂「でも、荒木は私の友達だよ」

母はかなりショックを受けたようで、一旦椅子に座る

母「そんな…」

穂「ねえ、母さんからも聞きたいな」

母「あの人の、最期のこと?」

穂「それから、どんな素敵な人だったかも」

母「ずっと話さないつもりでいたんだけどな」

穂「聞いても良い?」

母「…ええ。カレー食べながらでもいい? 今日はあの人が好きだったキーマカレーなの」

暗転

シーン5 エンディングというか後日譚

明転

刑事三人で舞台上にいる

不「あれから何年だって?」

柳「五年ですね」

佐「早いものだね」

柳「俺も立派な社会人ですし」

不「立派か? にしても、意外だったな」

柳「なにがですか?」

不「お前が、俺の後輩になったこと」

柳「明日付で捜査一課に配属されます、柳瀬です」

不「五年ぶりの再会がこれだもんな」

佐「五年か。早かったね」

不「今朝も墓参り行ってきたんですっけ」

佐「ああ。寂しがらせちゃいけないだろ」

柳「元気にしてました?」

佐「さあ。便りがないのは元気な証拠だからね」

不「じゃ、きっと元気っすね」

柳「にしても五年すか…てことは、穂坂の親父さんが死んでからもう二十年になるんですね」

佐「知ってたんだね、あの事件」

柳「はい。新入部員で二人が入ってきたとき、正直複雑でした」

佐「私なら、是が非でもあの二人は近づけないけどね」

柳「でも結局どっちも可愛い後輩ですから。それに、この子らなら一緒にいても大丈夫だって思ったんです」

不「大丈夫ではなかったな」

柳「大丈夫ですよ。荒木はこれから償えばいいし、穂坂は勇気を出していけばいい」

不「そうか」

佐「荒木は出所まであと五年だったか」

柳「今年でようやく折り返しですね」

不「面会には行ってるのか」

柳「それが、今日がその五年ぶりの面会なんですよ」

不「お、そうなのか」

柳「穂坂ちゃんと一緒に、会いに行くんです」

佐「そう言えば穂坂さんは今何をやってるの」

柳「記者ですよ。あの臆病な穂坂ちゃんが」

佐「良いんじゃない。あの子、話を聞くのは向いてるよ」

不「穂坂と言えば…良かったのか」

柳「何がですか?」

不「手を出したって良かっただろ」

柳「ああ、正直後悔してますよ」

不「報われねえな」

柳「いいんです。穂坂ちゃんの側は、俺のための場所じゃなかったから」

不「殊勝だな」

佐「じゃ、私と不二はそろそろ仕事に戻るよ」

不「あ、もうそんな時間か。面会は何時からなんだ」

柳「実はもう十分後っす」

不「はあ!? 急げよ!」

柳「今から行けば丁度なんで。俺も行きますね」

佐「気を付けろよ」

柳「ええ。ま、あの二人のことは俺に任せてください。明日から宜しくお願いしますね」

不「おう」

佐「じゃあな」

不二と佐伯は上手にはける。柳瀬は舞台下中央へ。

柳「早いもんだ、あれから五年…十分後、俺たちは再会する。」


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