第27話
そんなこんなで会議の方は無事に終わったので、エイミーさん達と合流した。
「お帰りエルライナ。会議の方はどうだったの?」
「会議の方は順調に終わりました。明日には砦に向かうそうです」
俺がそう言うと、エイミーさん達は険しい顔になった。
「あの・・・・・・皆さん、なにか心配事があるんですか?」
「え? あ、いやね。このまま何事ともなければ良いなぁ〜。って思ってね」
まぁ確かに。ミュリーナさんの言う事に一理ある。
「出陣する前に偵察部隊が先に行って様子を見るみたいなので、送られて来る情報を元に行動すれば大丈夫だと思います」
絶対という事はないが、恐らく全滅になりそうなほどの危険は避けられるはずだ。
「そうね・・・・・・因みにエルライナはどうするの?」
「私の役割ですか? その話は聞いていないんですけどぉ。多分、皆さんと一緒に砦に向かうと思いますよ」
そう言ったらリズリナさんが目を輝かせながら俺の元へと来た。
「エルちゃんと一緒に行動出来るのぉ!」
「あ、いやぁ。まだ決まった事じゃないんで、喜ばないでください」
てか、そんなに俺と一緒にいたいのか?
「ねぇ、リズリナってホントエルライナの事が好きよねぇ?」
「そうねぇ。このまま放っておいたら結婚しちゃいそうな気がするわ」
「さっきも言ったけど、リードガルムじゃ同性婚は出来ないのよ。どうする気なの?」
「さぁ? でも同棲って形ならOKでしょ? 現に魔術師のあの男が兵士のアイツと・・・・・・」
「ああ、職場でも良い感じにしていたわね。あの二人」
ちょっと、俺の前でBLの話をしないで貰いたいなぁ。
そんな事を思っていたら、今度は横からネネちゃんが現れた!
「ダメです! お姉様は私と一緒に偵察任務をするのです!」
「いや、ネネちゃん。私の役目はまだ決まってないよ」
てか、仕事はどうしたの?
「ダ、ダメ! エルちゃんは私と一緒にいるのぉ!」
リズリナさんはそう言うと、身体に抱きついて来た!
「それこそダメです! お姉様は私と一緒にいるのです!」
今度はネネちゃんが反対側から抱きついて来た! しかもその様子を間近で見ていたリズリナさんが、今度はギュゥ〜ッとしてくる。
「私と一緒!」
「いいえ、私と一緒なのですぅ!」
「・・・・・・うぅ〜っ!?」
「ムゥ〜ッ!?」
ネネちゃんとリズリナさんは睨み合いを始める。
ちょっ、この状況でそんな事されると困るんですがぁ!
「二人共落ち着いて、先ずは離れようか」
俺がそう言ったら、二人が同時にこっちを向いて来た。
「ねぇ、エルちゃんはどっちが良いの?」
「え? どっち?」
「そうです! お姉様の最高のパートナーである私と、この女のどっちが良いんですかぁ?」
「いや、あのぉ・・・・・・それはねぇ〜・・・・・・・・・・・・」
しまった! 二人に声をかけたのは間違えだったか!
「ムム? これは修羅場というヤツなのかな?」
「そうね。ここでリズリナを選んだらネネに嫌われちゃうし、逆にネネを選んだら、リズリナに嫌われちゃうわ」
「両方って選択肢もありじゃない?」
「それを言ったら、二人に嫌われる可能性が高いわよ」
「イヤイヤイヤ! なに実況と解説みたいな事をしているんですかぁ!! 助けてくださいよぉっ!!」
俺がそう言うと、ミュリーナさん達が呆れた顔で近づいて来た。
「はいはい二人共、その辺にしなさい」
「そうよ。それにそんな風にエルライナに迫ったら、逆に嫌われちゃうわよ」
「そんな事ないです!」
「そうです! お姉様は優しい人なので、こんな事で嫌いになったりしません!」
抱きついているリズリナさん達は、今度はエイミーさん達を睨んだ。
この展開喜んで良いのか、それとも危機感を感じた方が良いのか・・・・・・って、そんな事よりも!
「ミュリーナさん。引き剥がす演技をしながら、私の胸を揉まないでください」
「あっ!? バレてた?」
モミモミしているんだから、バレるに決まっているでしょうがぁ!
そんなこんなで二人はネネちゃんとリズリナさんを引き剥がしてくれたが、引き剥がした後もバタバタ暴れている。
「私がエルちゃんと一緒にいるのぉ!」
「違いますぅ! 私がお姉様と一緒にいるんですぅ!!」
「もぉ〜、二人共ホントォ〜・・・・・・・に! 落ち着いてください!!」
「そうよ! そうしないとエルライナの晩御飯抜きになっちゃうわよ!」
エイミーさんのその言葉を聞いたリズリナさん達は、暴れるのを止めた。
「それは困るわ!」
「お姉様の料理を食べられないなんて、拷問にも等しいのですぅ!」
「それなら、エルライナを困らせるのを止めなさい」
「「分かりましたぁ・・・・・・」」
二人はそう言うと大人しくなった。
「ありがとうございます。エイミーさん、ミュリーナさん」
「大した事じゃないわ。でも、晩御飯楽しみにしているわね」
そう言ってウィンクするミュリーナさんを見て、 ああ、これは断れないヤツだなぁ〜。 と実感した。
「今日の晩御飯はなにが良いんですか?」
「パン系」
ざっくりした答えですね。
「カレーが食べたいのです!」
「カレー? 昨日はシチューだったけど、大丈夫?」
「ここのところ身体を動かしてばかりだったので、脂っこいものでも食べられそうです!」
まぁ人は疲れると濃い味を求めたり、大味になっても気にしなくなったりするって聞いた事があるけど・・・・・・後者の方は迷信だろう。
「ネネちゃんがカレーが良いって言うけど、リズリナさん達はどうかな?」
「カレー?」
「聞いた事ある?」
「はい! 私甘口が良い!」
リズリナさんの反応を見た二人は驚いた表情をさせる。
「ちょっとリズリナ! もしかしてカレーを食べた事あるの?」
「うん、お家に遊びに行った時に食べさせて貰ったよ」
いやいや! 家に引越ししたばかりの頃にリズリナさんが急に遊びに来て、俺用に作っていたレトルトカレーを見て、自分も食べたい! って言って来たのが始まりだったじゃん!
因みに、ネネちゃんの場合は一緒に別大陸に行っている時に手作りをあげました!
「へぇ〜・・・・・・」
「そうなのねぇ〜・・・・・・」
自慢げにしているリズリナさんとネネちゃん。しかし、食べていない勢の二人はジト目で俺の事を見つめて来る。
「あ〜、うん。作りますから、そんな顔をしないでください」
俺がそう言った瞬間、柔かな顔をするエイミーさん達。
「楽しみにしているわ」
「今日もよろしくね!」
クソッ! なんか腹立つぅ! 辛口にして食べ難くしてやろうかなぁ〜?
「お姉様。カレーを作る時は私も協力いたします!」
「わ、私もお料理を手伝うよ!」
二人共ぉ・・・・・・。
「あれ? なんだろう? 目の端から水が出て来たよ。そうだよね。リズリナさん達は、戦う事しか脳のない人や、私の胸を触って遊ぶ人とは違うもんね」
やっぱり、リズリナさんは親友だぁ!
「誰が戦う事しか脳のない人よぉ!」
「そうよ! 私だって他の人の胸を揉んだりするわよ!」
うわぁ、怒って来たよコイツら。
「てか、怒りながら揉まないでくださいよ。ミュリーナさん」
「私の怒りを鎮められるのは、目の前に映る胸しかないからこうしているのよ!」
・・・・・・いや、絶対にそんな事はないと思う。
そんな事を思っていると、ネネちゃんが引き剥がしてくれた。
「そんな事をしていたら、カレーが作れませんよ!」
「そうだったわね。また後で揉んであげるから、楽しみにしていてちょうだいね」
「周りの目があるので、やらないでください。とりあえず、晩御飯の準備したいから、私のテントに行きましょうか」
「はい!」
「分かったぁ!」
みんなと共に、俺のテントへと向かうのであった。
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