第1話
「ああ〜・・・・・・疲れた。なんか報酬が見合わない気がするのは、気のせいなのかな?」
猫背になって歩きながらそう言ってると神様から通信が入って来たので、スクリーンに映るコールボタンを押す。すると神様がスクリーンに映る。
「もしもし?」
『もしもしエルライナちゃん。久しぶり、今朝は災難だったね!』
「・・・・・・見てたんですか?」
『見てたよ! いやぁ〜、ギルド長に良いように乗せられたね。やり取りを見てて面白かったよぉ〜!』
うわぁ・・・・・・最悪、あの光景を神様見てたんだ。
『それで、この前あげた能力を早速利用してるね。関心関心!』
「・・・・・・え? 」
身に覚えがない。
『キミ、スマホを買って勇者くん達に渡したでしょ? その事だよ』
「ああ〜・・・・・・」
そう、神様から新しく貰った能力はサポートプログラムの性能向上と情報の共有化。
詳しく説明するとサポートプログラムに敵の位置を知らせてくれる能力と知能が追加されて、ドローンやUAVやGUVなどがレーダー範囲外でもプログラムに聞けば場所を教えてくれて把握が出来る。
その上、操作をサポートプログラムにドローンなどの操作を任せれば自分で判断して動いてくれる上に、俺にどう言う状況になっているのかも伝えてくれる。
つまり頼もしいパートナーが出来たと言う事だ! ・・・・・・まぁコンピューターだけどね。そして、なんで俺がスマホを買って勇者達に渡したのか? と言うと。
『スマホで連絡が取れる! そしてキミが勇者くん達の居場所を把握出来るから渡したんだよね? もしかして違うの?』
「まぁうん、合ってますね」
勇者達にスマホを渡した時に、 スマホなのにネットに繋がらない!? ネットに繋げてよっ!! って文句を言ってきた上に他にもあれが欲しい。とかこれが欲しい。とか言ってきたのを覚えてる。
そうスマホも高性能な電子機器。位置情報システムを神様にちょっとだけ改良して貰い、居場所場をマップ把握出来るようにして貰ったがインターネット回線までやって貰ってない。てか異世界にインターネットがないからやる意味がない。
『いやぁ〜、スマホ改良を任せたリトレアスちゃんは、 バッテリーを魔力充電に改良するのにチョット苦労した。 って言ってたよ!』
「リトレアス?」
どっかで聞いた事ある名前だな。
『あれ? そう言えばキミはリトレアスちゃんに会った事がないから知らないんだっけ?』
「はい」
『リトレアスちゃんはね。この世界の女神の一人で、ラクスラード帝国が召喚した勇者の行動を見守ってサポートするが仕事なんだよ!』
見守ると言うより監視する。と言う方があってる気がする。
『それでリトレアスちゃんはね。 彼女に勇者くん達を助けてくれたお礼がしたい! って自分から言って来たからスマホの改造を任せたんだ』
「へぇ〜」
俺の知らないところでそう言う事があったんだぁ。
「その人、いや女神様にお礼を言いたいなぁ」
『ところでエルライナちゃん』
「ん?」
『明日昇格試験だよね?』
「えっ!? ええ、そうですね」
なんでその事を知ってるんだ?
『もうダンジョンで使う装備とか考えてるの?』
「まぁ一応、使う装備は大体決まっていますよ」
『教えて! 教えて! ねぇ、教えてぇ~っ!!』
・・・・・・まぁ神様なら教えてもいっか。
「今回はいつものACE32ではなく、ショットガンにいつもの装備を持って行こうと思ってます」
後、神様には言わないが安全の為にプレートキャリアの中にチタンプレートを一枚入れようとも考えている。
『ショットガン? レミントンのM870使うの?』
「ん~、一番最初にそれが出てきたんですけど、M870はちょっとぉ・・・・・・」
『そう? じゃあ、M1014なのかな?』
「ん~、どちらも悩みどころがあるんですよねぇ〜」
『一発撃ったらコッキングでしたっけ? その行動の
『あっ!』
「・・・・・・え?」
この人は誰?
『おはようございます! 勇者様達がお世話になりましたのですっ! とても可愛いエルライナ様っ!!』
「フワァッ!? ヒャイッッッ!!!?」
この人、もしかして・・・・・・。
『申し遅れました! 私はアナタの生きている世界で女神の一人、リトレアスなのですっ!!』
「フニャァァァァ〜〜〜〜〜~・・・・・・ど、どうみょ、こちりゃこしょ・・・・・・あ、ありきゃとうございましゅぅ〜・・・・・・」
呂律がぁ・・・・・・呂律が回らないよ〜。
『あれ? リトレアスちゃん』
『はい、なんでしょうか?』
『僕がキミに任せた仕事は終わらせたの?』
『はい! 終わらせて来たのでここに来たのですっ!!』
『なるほど・・・・・・この前言ってたエルライナちゃんにお礼を言いたいから、パパッとお仕事終わらせてから来たんだね』
『そうなのですよ! 通信を繋げて貰おうと神様に来てみたら神様がエルライナ様と通信していたので、ちょうど良かったのですっ!!』
へぇ~、律儀な人だなぁ~。
『それで、さっきの続きなんですけどぉ・・・・・・もしかしてサイガ12Kとかを使うんですか?』
「う〜ん、それもちょっとなぁ〜・・・・・・まぁそこら辺のショットガンを使おうかどうか迷ってますね」
そうサイガ12Kみたいなショットガンはセミオートマチックだから一回一回フォアエンドを引っ張る必要がないし、なによりもボックスマガジンを使うのでM870のようにリロードに時間がかからない。
『なるほどぉ・・・・・・それでカスタマイズの方はどう考えてるのですか?』
「それは使う銃とフィールドに合わせてカスタマイズするので、まだ考えてませんよ。ダットサイトかホロサイトを付けるのは決まってますけど」
『そうなんだぁ〜』
『私もてっきり、カスタマイズをもう考えてると思ってたのです!!』
「アハハ、そうですか」
まぁ、あのFPSゲーム内の大半の人は自分好みに銃をカスタマイズしたらそのまま使い続ける人が多いけど、俺がいる異世界は仮想空間じゃなくて現実だからよく考えてカスタマイズするようにしている・・・・・・とかなんとか言って間に総合ギルドに着いてしまった。
「そろそろ総合ギルドの中に入るん・・・・・・ん?」
『エルライナちゃん、どうしたの? ってあれ?』
『騒ぎ声が聞こえてきますね! 一体なにがあったのですかね?』
ホント、総合ギルドの中でなにが起きてるんだ? ふざけんじゃないわよっ!! とか、 そんなの知らないわよっ!! とか女性の言葉が総合ギルドの外まで聞こえてくる。
「なんだろう・・・・・・気になる」
ゴーゼスの時のような事件があるからなぁ・・・・・・でもまたあの時のように称えられるのは流石にぃ・・・・・・う〜ん。
『行って見てみれば良いと思うよ』
『そうです! こう言う時は確認するのが一番なのですっ!!』
「・・・・・・そうですね」
とりあえず先ずは遠くからようすを見て、ヤバそうだったら介入しよう・・・・・・かなぁ?
「それじゃあ、通信を『あぁ、待って!』・・・・・・はい?」
『通信はこのままにしておいてよ。なにかあれば僕がサポートするからさ!』
なぬ? ・・・・・・神様が通信ごしに俺のサポートするのかぁ。
『なんでそんなにイヤそうな顔をするの!』
「いえ、イヤじゃない・・・・・・・ですよ?」
『ウソだよ! 絶対その言葉ウソだよっ!!』
目に涙を浮かべながら必死に言ってくる。
「・・・・なんでそう思うんですか?」
『言葉の
「・・・・・・そうですか」
ぶっちゃけ言えば神様よりもメルティナさんの方が頼りになるし。
『お二人共、それよりも総合ギルドの中に入って状況の確認をした方が良いと思うのです!』
「それもそうですね。通信はこのまま繋げておきますね」
今すぐ通信を切りたいんだけれども、通信を切ったら文句を言ってきそうだし・・・・・・。
『それじゃあ原因解決の為にぃ〜、ゴォォォ〜〜〜ッ!!』
「・・・・・・止めに入るか入らないかは、状況を見て判断しますよ」
『えぇ〜っ!? それじゃつまんないよぉ〜っっっ!!』
神様の文句を聞きながら総合ギルドの中に入って行くと受けつけの前に人だかりが出来ていた。
「見ようにも、この人だかりじゃ見れないですね」
『ドローンを使って上から見てみれば?』
「確かに見れるんですけど、もしドローンがなにかの拍子で落ちたら大変な事になりますよ」
しかもそれが誰かの頭に当たったとなると大惨事だ。
『人のいないところで自分の頭上に飛ばせば良いと思うのですが、いかがですか?』
なるほど・・・・・・自分の頭上に飛ばした後に向こうをズームすれば見れるな。
「それなら問題なさそうですね。じゃあさっそくやってみますか」
周りを見渡して人が少ないところを見つけたらドローンを出してすぐに真上に飛ばす。そして、カメラモニターとドローン本体を交互に見て高さ調整をする。
・・・・・・もうちょい上に行けそうだな。よし、ここら辺で止めよう。
そして人だかりの中心にドローンのカメラを向るとズームしていく。
あれは・・・・・・エイドさんだ! その向かい側に獣人と、なぜか怒っている魔族の少女がいた。
「・・・・・・この状況って?」
『ギルド職員があの二人の対応をしているだけだね』
『話の内容だと・・・・・・総合ギルド直属の指名依頼を受けるように言ってるですけど、頼まれてる人が拒否している感じですね』
「見るからにエイドさんが説得していますね」
しかし・・・・・・なんで獣人の男性が怒っているんじゃなくて、あの魔族の女の子が怒ってるんだ? う〜ん・・・・・・あっ!?
そんな事を考えていたらエイドさんがなにかに気づいたようすを見せると話しを止めて周りを見始めた。
『こっちに気づいた』
『しかも歩いて来ましたのです』
こっちに歩いてくるとなると・・・・・・ドローンを飛ばしている事を怒られるか、それか俺関連の面倒ごとしか考えられない。
「エルライナ、ちょうど良いところにいたな」
「ちょうど良いところ・・・・・・ですか?」
「あぁ、手取り早く説明すると魔族の嬢ちゃんが向こうにいるだろう?」
「え? あ、はい!」
魔族の嬢ちゃんってあの子だよね。あの子がどうしたんだ?
「明日お前のDランク昇格試験のサポートをする事になった魔族のミハルだ」
「サ、サポートですかっ!?」
あんな小さな子供がサポートって・・・・・・総合ギルドは一体なにを考えているんだ?
「エイドさんっ!!」
「ど、どうした?」
「あの子まだ子供じゃないですか! それにサポートって・・・・・・私一人が戦わなきゃいけないのに、それじゃあ試験になりませんよ!!」
「まぁ落ち着け、落ち着けって!! これからちゃんと説明してやるからな?」
・・・・・・なにも理解してないのに否定するのは余り良くないな。
「ムゥ〜! ・・・・・・分かりましたよ」
俺のようすを見たエイドさんはホッとした顔を見せたのだが、もう一方の方が落ち着いてはいなかった。
「ちょっとアンタ!」
「ん?」
「そこのエルなんとか言う
そんな事を思っていると魔族の少女のミハルちゃんが、なぜか眉を吊り上げながら目の前まで歩いてきた。
「アンタ、ランクがEなんでしょ?」
「まぁ・・・・・・そうだけど」
「ハルはね。Dランクなの! つまりアンタより上なんだから敬意を払いなさいよっ!!」
「・・・・・・はぁ、そうですか」
『ププッ! 一つしか違わないじゃん!』
神様・・・・・・俺もそう思ったよ。
「なによ! シャキッとしない返事ね。まぁ良いわ」
彼女はそう言うと左手を腰に当て右手の指をさしながらこう言ってきた。
「このハルがDランクに相応しいかアンタの実力を見てあげるわ! だから今すぐハルと勝負しなさいっ!!」
「はぁ?」
なに言ってんだこの子は? 馬鹿なのか?
「どうしたのよ? ハルとの
呆れた顔でミハルを見ていたら突然獣人の男性がミハルの側に来て、ゲンコツをかまして床に沈めた。
「ウチの弟子が失礼な事をした。すまない」
「は、はぁ・・・・・・」
足をピクピクさせながら床に突っ伏してるけど・・・・・・本当に大丈夫なのか?
「それではエイド教官。彼女に話の続きを頼む」
「あ、あぁ・・・・・・分かった」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
「どうした?」
「この子・・・・・・起こさなくて良いんですか?」
「ああ〜、死んでないから大丈夫だ。それに起こさない方が話がスムーズに進むからほっといてくれ」
「はぁ・・・・・・そうですか。分かりました・・・・・・はい」
俺はそう言った後にエイドさんに体を向けて話しを聞き始めるのであった。
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