十七の鼓動【詩集】

恵海沢友良

桜の葉

思い出は桜の花と吹かれて

見慣れた背中は遠ざかる

雲間の陽射しに溜め息一つ

日付の無いカレンダーを

めくったけど一人


花が風に乗る意味は

花が散りゆく意味は

芽吹いた若葉は燦々と

生きる鼓動を響かせる

空気が揺れて

大地が波打ち

僕の瞳を震わせた


今 空を仰げば

広大な水色が澄んでいた

迷う心に薫風を吹き込もう

同じ瞳に流れた時間

ここに立つ僕と

一秒先の僕と繋ごう

地平線の先を見据えて


透き通った晴れの日の

桜の道を踏みしめた

一歩ずつ、一歩ずつ

目の前の背中に近づきながら

未だ見ぬ僕を迎えに行く


青く萌える桜の葉は

春の終わりを携えて

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