周回プレイの人々へ

恋人が父母にならないように韻律機械に妹の触手を栽培して奈落魔法を孕ませる抑圧の記憶


なんという明るい時代に生きていることだろう

深刻で不幸なことばかりが行き交い話題になっている

笑わない者は絶望が根付いておらず今でも恐ろしい事態を待ち望んでいる

ありとあらゆる傷害と非行が語られ

やかましいものも静かなものも共に協力しあいながら食べている


普通の人々はいつも搾取と貧困に立ち向かい

社会的な教育の無知に嘆いているのに

そのどれひとつとして権力と無縁であり闘争を免れてある

彼らはありとあらゆる夢を叶えている

地球がこれほどまでに明るくなったことはなかった


僕達が異世界にやって来たのは平和の時代

愛と勇気が流行に沿って理想化されていき

著作権の季節を骨の髄までにじませながら

それでも偶然と評価の信頼を勝ち取り

自分の心の中のどんな善性も疑いつつ商品を買い続けた

虐殺者を安全な場所から批判し

核攻撃の記憶と植民地時代の圧政を責任転嫁し

技術の誇りを守りながら人生の大切さを歌っている

こうして私の流星は過ぎていった

地上で営まれる不変の飽食によって


ネットの世界で無数に忘却され消えていくキャラクターに

自分達の沈黙を託しゲームの世界で活躍できる必殺技を鍛えさせろ

事実匿名のプレイヤー達は

掲示板に書き連ねた黒歴史の数よりも多く衣装を取り替えて魔王と闘ったのだ

合法な処置だけがあっていかなる殲滅も存在せず

ひたすらレベルを上げるだけの毎日でも

終わらない素材集めの憎しみを下劣な正常さに対してぶつけることを

社会的な地位の歪み方がハラスメントとして解消される惑星で

透明な顔に呟き続けることを止めなかった


友愛がいつも画面上でのみ許され

ダブルスタンダードに寛容な差し伸べあいが寄進される世界を

破廉恥な心で告発し犯罪として訴えられる条例の健全さに

将来生まれる子供の視線を重ねて好きという感情を

無限にコンテニューして遊ばるざる得なかったのだ


思え、リセットされた階層の混沌を

銀河の因果を遡る無垢なる邪神の聖櫃で

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る