TASさんの引力圏
オドラデク
ゲームを買う
いつも行っている中古販売店でゲームを買った。
ゲームを買うのにとてつもなく迷う。
まずネットで評価を確認して攻略wiki で序盤の進め方をチャート毎に分類しアップされている動画を見てキャラクターのイメージを想像して価格の妥当さを考えて買う。
ゲームをみんなでやろうとか考えない。人生の目的が欠如しかないのにみんなで楽しむとか虚無感を誘発させているとしか思えない。
ゲームとは楽しむためにやるものではなく義務を無理やり作り出して日常生活を脱線させて死のうという気持ちをひたすら画面の操作で機械的に突っ込むためにある。
スマホゲームだと民主主義を殺せとか核兵器で敵を焼き付くすとか無感情に素振りを繰り返して罠を発見するとかいう無意味さを強迫観念にできないので物足りない。ゲーム機を破壊できないという安全感覚が邪魔をする。
ゲームを適度にやるというのはなにか嘘くさい感じが漂う。破壊すべきなのが社会の常識なのに適度なのめり込みでどうして身体を構成するやりきれなさをぶっちぎることができるのか。
ゲームを家でするという自己暗示が耐えられない。ゲームは晴れた天気の青空でも曇りのうっとおしい憂鬱さでも雨のような生暖かい凍結でもやらなければならないという点に正しさがある。
というわけで私は自然公園でテントを張ってゲームをする。
給湯のためのガスコンロでカップラーメンを用意し防寒着を身につけてやる。
携帯用充電器を大量に用意し水筒にお茶を入れてマットを敷く。
後は来客が来たら完全に無視して操作を実行する。
以上終わり。
「ここにレベルの高い不登校者がいると聞いてきたんだけど」
彼女は優等生らしい黒々とした死んだ目をカッターで煌めかせ隣にいる蠢く凶蟲の蝶を肩にのせながら清楚なガスコンロを持って無関心さを突き破る呪文を唱えた。
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