第3話

もちろん私には全く覚えがありません。


でも私には純ちゃんのようなカリスマ性がありませんでしたので、けっこうな数の人がその噂を信じたのです。


オカルトの噂よりも下ネタのほうがより現実的でしたし。


そんな人たちの私を見る目、陰口。


いじめこそありませんでしたが、「あなたのような人は純ちゃんと仲良くするにはふさわしくない」と手紙、そして面と向かって抗議をされました。


そんな日々の中、純ちゃんが言いました。


「まなちゃん、大丈夫。私がなんとかするから」


それからの純ちゃんは神がかっていました。


私を擁護する熱弁を、あちこちでふるったのです。


噂の信憑性の的確で明確な否定。


自分の変な噂の後に私の噂が急に広まったことの不自然さ。


そして最後に、私との時間がどれほど楽しかったか、私が噂で語られている人間とどれほど違うのか。


全身を使って熱く語ったのです。


何年もたった今でも、当時の純ちゃんを見た人たちは「あのときの純ちゃんはすごかった」と言います。


あれほどまでに学校中に広まっていた私の噂は、いつの間にか消え去りました。


私に面と向かって抗議してきた女の子は、頭を下げ、涙ながらに謝罪をしてきたのです。


私は純ちゃんに言いました。


「ありがとう。おかげで助かったわ。一時はどうなることかと思った」


「いいのよ。だってまなちゃんは私の親友だもの。それにしてもあの三人、絶対に許せないわね」


「あの三人って?」

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