第10話 私が守る

お母様から頂いた結婚の指輪


2つで1つの指輪


装備すれば相手の居場所が分かる魔法の指輪


これをつければ いつでも一緒に


…今も毎日一緒だけど……


どうしよう


どうやって渡そう


言葉は通じなくても 分かってくれるはず


私はお母様に似て綺麗だし 女神と言われていた勇者すず様にも似てるって言われるし…


きっと受け入れてくれる……


どのタイミングで……




渡せぬまま 何日も過ぎてしまった


その間も何組もの勇者のパーティーが魔王を倒しにきた


各国の最強の勇者達が……


そして魔王に倒され燃やされた


最近 魔王の剣技が……なんだか綺麗に見える


……魔王に対して仲間意識でも……


いや違う……魔王が上達しているだけよ


魔王が強く……これでいいの?


私が強くなるよりも魔王が強くなるスピードのほうが……


はぁ~ どうして勇者様は魔王に剣の稽古を


……暇潰しで?


「はぁ」


29本のオリハルコンの剣の前でため息をつく


人族の国は50


オリハルコンを装備出来るのは国で一番強い勇者のみ


つまり世界には50セットのオリハルコン装備がある


ここに29本のオリハルコンの剣が


魔王がこの城を襲ってきたとき この国には沢山の勇者がいた


この国最強の勇者も 他の国の最強の勇者も何人も


城の外で魔王や魔王の手下と戦い敗れた勇者達


その装備が…きっと沢山のオリハルコン装備がこの城の外に転がっている


最強の勇者を名乗れる勇者は10人もいないかも知れない


最強の勇者の中でも最強だと言われた勇者カグンも……


「はぁ」


きっと魔王を倒せる勇者はいない


……


私の勇者を除いては


私の勇者様が魔王を倒してくれたら……


でも きっと無理


魔王は私と私の勇者様に敵意を見せない


剣の稽古も一緒に楽しそうにしているし……


料理の本を見て 何を食べるか一緒に楽しそうに選んでるし……


「はぁ」


(イリス……勇者様と結婚して何か困ったことになったら……)


お父様……


お父様の言葉を思い出した……まだ結婚してないけど……このままでは魔王を倒せない


私は寝室に行く前に古文書のある部屋についてきてもらった


「ちょっと 勝手に見ないでよ」


魔王が魔族語で書かれた古文書を読み出した


私が文句を言うと棚に……あった魔族語で書かれた古文書が全て無くなった


「返しなさいよ」


魔王に言ったが……無視された……通じてないのかな……私には読めないからいいけど……


「はぁ」


勇者様は伝説の武具が描かれた画集を手に持っていた


勇者様はいいけど……


引き出しを開け古文書を持って私達は寝室に戻った


寝室までは勇者様と手をつないで……


魔王邪魔……



表紙にすず様が描かれている古文書


そして最古の勇者についての古文書



まず読むのは大好きな伝説の勇者すず様の話ね。


わくわくしながら古文書を開く


古文書に書かれていた話は私の知らない勇者すず様の話だった……


24歳の時に魔王討伐に……


魔王討伐に向かった勇者すず様が魔王に敗れた話が……私の知っている話とは違った


1人で逃げ帰り 2度と魔王討伐に向かうことがなかったと……


……魔王に負けたの? でもそれなら魔王からは逃げられないはず……この話は間違い?……それとも逃げる方法が……


話には続きが……


21年後 世界会議で魔王討伐が決まる


各国の精鋭を集めた30万の軍 50組の勇者のパーティー そして勇者すず様も参加


……その時 勇者すず様には子供が……子供のために参加……もしくは子供を人質に捕られて強制的に参加と書かれていた


……酷い


その後の話は結果が……


魔王討伐が成功してクレーナガ地方と魔王城クレーナガ城が人の領域になったと……


30万の軍 50組の勇者のパーティー そして勇者すず様 誰1人 生きて帰って来なかったと……


調査の結果 クレーナガ地方と魔王城クレーナガ城は無人 30万の軍は全滅 50組の勇者のパーティーの死亡が確認されたと……


しかし勇者すず様の遺体だけが無かったと……


王達は勇者すず様が魔王を倒し 元の世界に戻ったと伝え 魔王討伐の功績として勇者すず様の子供アデルをクレーナガ地方の王としたと……


えっ


私は勇者すず様の子孫?


私とお母様は勇者すず様に似ていると何度も言われてきたけど……勇者すず様の……


私は古文書を閉じた



もう1つの古文書


最古の勇者について


2000年以上前のお話


最古の勇者の名前は……タナトス


仲間には獅子族 猫人族 犬族 エルフ 人族 そして魔族までいたと……


勇者は全ての種族の平和を望み 種族間の架け橋となった


しかし戦争が起こった 止めることが出来なかったと……


勇者は狂い 虐殺をし そして国を作り支配したと


古文書の最後に 本当に狂ったのか それとも情報操作だったのか わかっていないと書かれていた



全ての種族の平和を願った勇者タナトス様……


お父様はこの古文書を見つけてから考えがかわった


それまでは14歳になったら 王族 貴族が集まるパーティーで好きな人を自分で選んでいいと言っていた


しかしお父様は私に頭を下げた


伝説の勇者と結婚して導いて欲しいと……


なぜ……


タナトス様のようにならないように?


勇者タナトス様と勇者すず様 最後はどうなったのかな……


私は勇者様を見た


私が導いてあげないと……


私が守ってあげないと……


眠っている勇者様に近づき そっとキスをした

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