【お急ぎの方へ☆サクッとネタバレ】Episode9 凄まじい女たちのオムニバスホラー3品
今回の凄まじい女たちのオムニバスホラー3品(A、B、C)も、それぞれ独立しており、話は全く繋がっておりません。
A 『ノブコちゃんへのプレゼント』
小学生の子供を持つ母である主人公の語りによって、物語は展開していく。
平成元年の秋。主人公の子供”が泣きじゃくりながら、学校から帰ってくる。話を聞くと、同級生のノブコちゃんのお誕生日会に今年も自分だけが呼ばれていない、と……
後日、主人公は子供とともに、呼ばれていないノブコちゃんのお誕生日会へと向かう。
子供の手には、主人公が綺麗にラッピングしてあげたノブコちゃんへのプレゼントがある。子供は、この秋の間、一生懸命に集めていた宝物をノブコちゃんにプレゼントしたいのだ。
だが、他人の気持ちなど全く考えない主人公たちは、当然のごとく、ノブコちゃんだけでなくノブコちゃんのお母さんにも家に入れてもらえなかった。
さらに言うなら、主人公は作中で自分の子を「うちの子」と言っていたが、この「うちの子」は女の子ではなく”男の子”だった。ノブコちゃんのお誕生日会に呼ばれている子たちも全員女の子であったのだから……
そして、半ば強引にノブコちゃんへのプレゼントを手渡した主人公たち。家へと帰る主人公たちの背中から――ノブコちゃんの家の方から幾人もの悲鳴が聞こえてきた。
それもそのはずだろう。
ノブコちゃんへのプレゼントとは、”うちの子が一生懸命に集めてきた計13個ものカマキリの卵の詰め合わせ”であった。
もはや、嫌がらせ以外の何物でもない(;´Д`)
B 『その鎌にかけて』
超絶イケメンの俺の語りによって、物語は展開していく。
俺は、複数いる彼女の1人とX県の山道でドライブデート中、他の彼女とのハメ撮り写真を見られてしまったことで喧嘩となる。
(彼女に体当たりを喰らった際に落ちてしまったスマホを取ろうとした)俺は、それほど急傾斜ではない崖の下にまで滑り落ちてしまい、足の骨を折り動けなくなる。
置き去りにされた俺は、このまま死んでしまうのか、と思っていた。だが、そんな俺の前に鎌を持った死神……ではなく、鎌を持った口裂け女が現れた!
筆談で口裂け女に助けを求める俺。
なんと、超絶イケメンの俺は口裂け女に一目惚れされてしまったらしい。”助けてあげるから、私の恋人になって”と……
命には代えられないと、俺は口裂け女の恋人となることを承諾し、その場で口裂け女とセックスする。ちなみに避妊は一切しなかった。
口裂け女に助けてもらった(足の骨折まで治してもらった)俺であるが、速攻で口裂け女を裏切る。口裂け女が持っていた”その鎌にかけて”の誓いをいとも簡単に破る。意外にナイスバディな口裂け女をヤリ捨てしたのだ。
※本作の口裂け女は、俺が住む隣の県であるX県から出ることができないため、俺は「X県に俺が再び足を踏み入れることがなれば、絶対にややこしいことにはならないはずだ」と高を括っていた。
10年後。
俺は、同僚の坂田(こいつも俺と同じくイケメン&独身)とともに、X県に小旅行に行くことに。あの口裂け女も、時代の流れとともにもういなくなっているだろう、と軽く考えていた俺。
けれども、坂田の運転する車で見覚えのある山道へと差し掛かった時、お約束の展開とばかりに口裂け女が俺を待っていた。
それだけじゃない!
口裂け女の傍らには、”赤いコートに白いマスクの小学校中学年ぐらいの女の子”――間違いなく”俺と口裂け女の間にできた娘”が立っていた。
慌て逃げようとした俺と坂田。
尋常じゃないほどに怒っているのは明らかな口裂け女と口裂け娘はそれぞれの手の鎌を振りかざし、俺たちが乗った車を凄まじいスピードで追い上げてきていた。
トンネルの中、車のバックランプに照らし出される口裂け母娘の姿はみるみるうちに大きくなっていく……
おそらく俺は鎌でズッタズタにされる絶望の最期を迎えるであろう。
その巻き添えをくらう坂田さん、カワイソス(´;ω;`)ウッ…
C 『あなたは私のお母さん』
地の文は一切なく、2人の女の会話で物語は展開していく。
公子(38才、独身)の元に、幼稚園からの幼馴染で”大親友”の芙由美(38才、兼業主婦、夫と中学1年生の娘あり)から電話がかかってくる。
娘が不登校になったりと、相当に深刻な事態となっているらしい芙由美。
話を聞くと、芙由美はサイコに目を付けられてしまっていた。
以下がサイコ――佐神沙雪(18才)――についての、ザックリとした概要である。
・ 今年の4月、佐神沙雪が芙由美の勤め先の会社に入社した。
・ まだ仕事にも環境にも慣れない彼女に丁寧に仕事を教えていた芙由美は懐かれてしまい、彼女に「お母さん」とまで呼ばれる恐怖の事態に。
・ 佐神沙雪は、芙由美の履歴書を見ようと人事課で暴れ、妊娠中の社員を突き飛ばしたことで、3か月の試用期間が終わる前に解雇。※妊娠中の社員の赤ちゃんは無事だった。
・ 娘が会社で迷惑をかけたことで、佐神沙雪の”両親”が菓子折りを持って謝りに来た。なんと、他人を「お母さん」と呼ぶ佐神沙雪には、母親がいたのだ。
・ 佐神沙雪は昔から、同性の先生や先輩に「お母さん」なんて付き纏って問題になったことは一度や二度じゃなかったとの話。何が目的なのか、ターゲットを決めて同じことを繰り返していた。
そして――
9月に入ったばかりのころ、”妊娠中の佐神沙雪”が芙由美の家を訪ねてくる。
『お母さんが(私のお腹の中の子供の)面倒みてくれるってちゃんと約束してくれなきゃ、私、この子を死神の鎌の前に差し出さなきゃならなくなっちゃうよ』と佐神沙雪はのたまった。
芙由美は理解する。
佐神沙雪は、”母”を求めていたんじゃない。単に自分に服従させる相手を探していたんだと。”胎児の命”を盾に人を脅迫し、服従させて自分の思い通りに動かそうとしているんだと!
芙由美にブチ切れられ、その日は帰った佐神沙雪。
しかし、その後、中絶したうえに、芙由美の娘が通う中学校前にて誰彼構わず声をかけまくり、『お母さんが子供の面倒を見るのが嫌だって言うから、私は赤ちゃんを死神の鎌の前に差し出すことを選択しなきゃなかったの。ひどいお母さんでしょ。私のお腹の中の赤ちゃんを間接的に殺したのはお母さんよ。そんなひどいお母さんの血を引く娘がこの中学校に通っているのよ……」と言いふらす。
よって、芙由美の娘が『人殺しの娘』としてと陰口を叩かれてしまい、不登校になったというわけであった。
芙由美は、娘も転校させて、”今から”この町を出て行くつもりだと公子に告げる。サイコからは逃げるしかないのだ。
新しい住所を教えてくれ、という公子に芙由美は「あなたに転居先を教えるつもりはない」と……
実は芙由美は、30年来の付き合いである公子のことが嫌いで嫌いでたまらなかった。公子は勝手に芙由美のことを”大親友”に認定し、芙由美の家庭にズカズカ入り込んできていたからだ。
佐神沙雪の方が数段強い毒を保有しているが、芙由美からすれば、公子も充分に”佐神沙雪みたいな人たち”のカテゴリーに該当しているのだ。
芙由美は、佐神沙雪の執着の対象を自分から公子に移そうと、佐神沙雪の家に手紙を送り、”公子”のことを紹介したと公子に伝える。
佐神沙雪の次なる”あなたは私のお母さん”は、公子となるかもしれない。
毒を持って毒を制す結末となった(´・ω・`)
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