冬のかげろう

真っ白な 冬のかげろう


きみの肢体は命で膨れ 今にもはち切れんばかりに


痛々しいその姿を ぼくはずっと眺めていた



かげろう きみは生きていた


生きるべき土地も知らず 生きるべき時も知らず


生まれ落ちたその身のままで


つらくとも つらくとも


鋭い冬の空気が きみの薄羽根を裂いたろうに


生まれ落ちたその身のままで



かげろう きみは生きていた


きみは いのちそのものだった


かげろう ぼくは生きているか


ぼくのいのちは きみに誇れるか



かげろう かげろう 力強い命よ


路に落ちたきみの死が 拙いぼくを生かすのだ

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