一線を超えている
例えば、警察に捕まるようなこと。家を無くすこと。生活の保護を受けること。借りた金を返さないこと。
貧しい暮らしは、やすやすと人の心を荒ませ、麻痺させる力を持っている。
そんな荒んだ心の状態が長く続くと、人間は大事なものを失ってしまう。それは「信じる」という言葉に関するもののほとんどだ。
そして、気がついた時は既に一線を越えた後だ。後の祭り。チープスリルなどは若い者だけが味わえる特権のようなものだ。
黒猫もある一線を越えてしまっているが、鶏小屋の夢を見続けているせいで、自分では越えてしまっていることが見えないままだ。言わば、一線を越えている自分ですら無かったことにしてしまっている。
そう、無かったことにさえしていれば、何度でもやり直しがきくかのように。愚かな黒猫の夢が作り上げた、堂々巡りの思い込み。そして、見ようともしない現実。
だから黒猫から何らかの損害を受けたことのある人はみな同じ事を言う。 あいつには人として終わっている部分があり、その中でも一番どうしようもないのはあいつがその事に気がついていないことだ、と。
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