Op.8 第十三樹械兵連隊
アルテシア王国における支援要請の議決を見越して、シュタール連邦共和国はアルテシア王国との国境に、
宿営地。
地元の子供たちと付き人の少女――クリファに弦楽器を弾き聴かせながら、アルテシア王国からの支援要請を待ち受けていた第十三
ライドは事態の真偽を見極めるため、部下たちにアルテシア王国への進軍を命じる。
「司令部への打診は?」
そんなライドに対し、副官のヘレン・フレーゲルが意見した。
「必要ない」
「軍規に反します。それに計画のためにも、今は視線を集める行動は控えるべきかと」
「責任というものから可能な限り逃れたがる……それが責任者という人種の習性だ。見て見ぬふりをしてもらえるさ。それに情報が欲しいのは、司令部も同じだ。俺たちの独断専行は渡りに船だろう」
ライドは飄々と言い放つ。
(あなたもその責任者の一人でしょう……)
心の声を呑み込み、ヘレンは反論する。
「しかし、相手国の承諾を得ないままでの越境となると、偶発的な戦闘を招きかねません。ひいては不要な戦争に発展する恐れがあります」
「不要な戦争など存在しない。戦争は起きるべくして起きるものだ。逆に言えば、起きるべきでない時は、どうやっても起こりはしない」
告げながら、ライドは不敵に口許を緩めた。
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